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夏生詩集3

前進の末

作者: 夏生

まだ何も解決していない

誰も元に戻っていない

前を向きましょう、の声が

行き場をなくした沢山の人たちを

押し退けていく


新聞の片隅

インターネットの最下位

世に流れる大きさは

小さく小さくなっていた


差しのべるのは

大きな手ではなく

痛みにより近い人たち

ごく一部の奇特な団体

世間は横目で見て通り過ぎてゆく


この国の民は

忘れ上手だ

前を向いていればいいと

踏んではいけないものを踏んで

置いてはいけないものを置いて

どんどんどんどん進んできた


その背中を真っ赤な眼が

睨んでいるとも知らず

知っていても振り向かず

省みず進んできた


国の盾となり守るべし

己のあやまちを隠すために

数えきれないほどの命を

暮らしを、人であることを

奪ったのは同じ国の者


もういいじゃない

過ぎたことは忘れましょう

前向きの声が押し流してしまった


押し流されたものは

また押し寄せてくる

幾層にも重なって巨大な渦となって














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