03.父さんの秘密
短いです。
自己紹介が、遅れました。ごめんなさい。
僕の名前は結城 光太。普通の中学1年生。バスケ部に所属。
そして僕の親友、ハジメと明日花。
皮肉屋で何考えてんだかわかんないけど頼りになる五十嵐 一。
優しくて可愛いんだけど、人間恐怖症の美山 明日花。
この2人になら僕は何でも話せる。
照れ臭いけど、とても大切な親友だ。
僕ら一家があんなことになったけど、2人のおかげで僕はどうにか現実を見ることができた。昨日は、さんざんハジメの家で泣いたから、赤く腫らした目をして家に帰った時には9時を過ぎていた。
母さんはリビングのソファーで、泣き疲れて寝ていた。
僕は寝室からタオルケットを持ってきてかけてあげた。
「できるだけ、おふくろさん支えてやれよ。今、おふくろさんにはお前しかいないんだから」
ハジメの言葉が頭の中で響いている。
僕も、そうするつもりだ。いや、そう決めた。
僕が母さんを支えてあげるんだ。
幸いにも翌日は土曜だったから、母さんとゆっくり話すことができた。
だいぶ落ち着いた様で、母さんはゆっくりと僕に話してくれた。
「こんなこと…光太に話すことじゃないのよ。でもね、あんたもちゃんと知っておかないといけないでしょ? 光太は母さんと……父さんの子なんだし」
そう前置きして、母さんの話が始まった。 簡単に言っちゃえば、父さんの浮気のこと。はっきり言っちゃった。
父さんに女の人の影が見え隠れし始めたのは、半年前、去年の12月あたりかららしい。 僕は全然気付かなかった。
それからたまに父さんの背広から女物の香水の匂いがしたり、洗濯物に明らかに母さんのものではない髪の毛がついてたり、とそれらしいことはあったらしい。
でも、母さんは信じてたんだ。父さんが必ず帰ってくるって。
でも、そんなことはなくて……そして昨日…。
相手の女の人がどんな人なのかは知らない。
今まで何度も母さんは離婚に踏み出そうとしたけど、でもできなかったそうだ。父さんを信じてたから。それに僕がいたから。
僕は、それはもう驚いた。
我が家の水面下に決して表に出さない深い問題があったなんて。
最後までちゃんと聞いた僕は、2つコップを出して麦茶を注いだ。その1つを母さんに渡して言った。
「僕は母さんのしたいようにすればいいと思うよ」
母さんは、また泣きそうになりながら「ありがとう」と小さく呟いた。
父さんの秘密でもなんてもなかったですね。妻はお見通しだったと言うことです。