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15.捜査開始

久しぶりの更新です。待っていて下さった方、お待たせしました。(…待っていてくれた人っているのか…?)

とりあえず、どおぞお楽しみください。

夏休みが始まった。


中学生の夏休みは、結構忙しい。部活に大量の宿題。それらをどうにかして、僕達3人は事件を捜査するための、まとまった時間が必要だった。

僕は1学期中に、あんなことになっていたから、部活の休みをもらうのに、そう苦労はしなかった。

明日花の所属する華道部も、夏休みには部活はない。

1番大変だったのが、ハジメだ。ハジメは弓道部の1年生エースとして、秋の新人戦でも期待の星なのだ。そんな弓道部の若きエースを、僕の個人的なお願いの為に駆り出したと分かれば、僕の背中に矢が一斉射撃されてしまう。でも、ハジメは上手いこと言って、部活を休むことに成功したらしい。



と、いうことで、何とか貴重な休みを獲得した僕達3人は、今電車に揺られている。

捜査初日。僕らが向かっているのは、殺害現場となった礼子さんの住んでいたアパート。

紫雨町から駅2つ離れた、川橋町にある。




川橋町に着き外に出ると、灼熱の太陽が街を人を焼いていた。夏真っ盛り。立っているだけで大量の汗が吹き出してくる。


「とりあえず行こう」

ハジメのあとを僕と明日花は追った。



住所を頼りに、汗だくになりながら20分ほど歩いて、やっと見つけた例のアパート。

くすんだ白い外壁、1階と2階に5つずつある玄関の扉。ごく普通のアパートだ。

名前は、『丸江コーポ』何の変哲もないアパート。だけど、その中の1室だけが異様だった。2階の右から2番目の部屋。見た瞬間に分かった。礼子さんが殺されたのは、あの部屋だ。

その部屋の玄関には『立ち入り禁止』のロープ。玄関の両脇に1人ずつ、警察官が立っている。


僕らは2階に上がり、右から2番目の部屋、202号室に向かった。


「何だい君たち?」

両脇の警察官が僕らを見下ろす。

「えっと、僕らこの事件を…」

僕がどもっていると、ハジメがフォローしてくれた。

「熊本警部の知り合いの者です」

警察官は、いぶかしげにジロジロ見てきた。

そこへ、本当の救いの手が。

「あれ? 光太君?」

部屋の奥から、聞き慣れた声がする。小泉さんだ。良かった。この人は頼りになる。ショートカットの髪を暑そうに掻き分けながら、奥の部屋から出てきた。

「早速来たのね。入るといいわ。熊本警部からちゃんとお達しがきてるから。質問も答えられる限りのことは答えてあげなさいって」

「熊本警部が…」

僕達は熊本警部の優しさに感動しながら、

「おじゃまします」と言って室内に入った。


「はい。これつけてね」

小泉さんは、薄い白い生地の手袋を3組取り出した。

よく、サスペンスとかで刑事さん達が事件現場でしてるやつだ。

僕達はそれをはめた。冷房もなにもついていない室内は蒸していて、とんでもなく暑かった。


玄関を入って、向かって右側にすぐにキッチン。左側には洗面所とトイレ、浴室がある。そして奥へ行くと、6帖ほどのフローリングの部屋。広いとはお世辞でも言えない部屋だけど、1人暮らしにはこれくらいが丁度いいのかも。

それにしても、ここに礼子さんと父さん、2人で暮らしてたなんて随分と窮屈だなぁ。


部屋は想像していたよりもスッキリしている。女の子らしいピンクのカーテンとおそろいのピンクのベッドカバーに枕カバー。部屋の真ん中には白い木製の座卓。タンスが1つと、カラーボックスが1つ。


「このベッドに寝かされていたんですよね?礼子さん」

ハジメが小泉さんにきく。

「そうよ。まったく、ご丁寧にちゃんと布団までかかってて、暗闇の中じゃ寝てるのか、死んでるのか分からない様になってたの」

「それにしてもきれいな部屋。殺人がおきた部屋とは思えないよ」

明日花がキョロキョロしながら言った。

「そうなのよ。これが、またね。ただきれいな部屋じゃなくて、本当にここから何にも物的証拠が出てこないのよ。当たり前だけど、指紋も。それに、いくら睡眠薬を飲ませてから殺したからとは言っても、何も無さすぎなのよ。睡眠薬を混入されたと思われる飲み物、コップ、どれも出てきてないし。犯人はとっても証拠を消すのが上手だったのかしらね。」

小泉さんは、お手上げと言わんばかりに肩をすくめた。

「でも、凶器のストッキングは、この部屋のゴミ箱から出てきたんでしょ?」

僕が聞くと、小泉さんが溜め息まじりに

「そうなんだけどね」と言った。

「それがね、そのストッキングは1度も履かれていない新品だったのよ。サイズも礼子さんの履いているものとは違うし、犯人がこの殺人の為に買ったものみたいよ」

「へー」

これだけじゃ、全然分からない。


「ねぇ、この後は、まだどこか行くの?」

「はい。今日は小林さんの所に行こうかと思ってます」

僕が答えた。

ハジメはなにやら考えこんでて、小泉さんの言葉なんて耳に入ってないみたいだから。


「そっか。でも危険なまねは、絶対しちゃだめだからね。警部も心配してるんだから。」「熊本警部?」

「そうよ。警部にも中学2年生の娘さんと、小学5年生の息子さんがいるのよ。だから光太君の気持ち、警部としてではなく父親として、尊重したいと思ってるみたいよ」


そうだったんだ。

だから、僕達のこんなわがままもきいてくれたんだ。


熊本警部、ありがとう。

サブタイトルの通り、やっと動きだした光太、ハジメ、明日花。ここまで来るのが長かった…。

ここでちょっと裏話的な(?)話をしたいと思います。読むのが面倒な方はとばしちゃって下さい。


この話を書き始める時に、登場人物の詳しい設定を一応考えて、基本設定として書いといたんですが、その時点ではハジメは弓道部ではなく、将棋部でした。1年生エースって言うのは変わりませんが。でも、光太も運動部だしってことで運動部にしてみました。どっちでもいいですね。そんなの。それと、明日花の所属する華道部は私が華道部なので、そうしました。あと明日花のお母さんとおばあちゃんが華道の先生なので。こんな話読んでも面白くないと思いますが、カミングアウトしちゃいます。多分、この『僕の父さんは殺人犯』が終わったら色々とまたカミングアウトしたいなって思ってます。では、これからも光太達をよろしくお願いします。

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