通常ぎょうむ?
「こんにちは、お金返してください。」
ドアを開けてもらい、開口一番にニッコリ営業スマイル。
「嬢王様じゃないっすか。すいません、今お金ないのでまた今度にしてもらえます?ちょっと今から女の子くるんで、かんべんしてもらえませんか?」
と、男は言いながらドアをしめようとした。
ガン
ドアの間にブーツを挟み込ませ閉めさせない。
だからノックしただけでドア開けたのか…しかたない
「ちょっ!なんで勝手にあがるんすか?マジなんなんすか!?マジなんにもないっすよ!?」
いちいちカンに障る喋り方だ。ぶん殴りたいけど、ぐっ!と我慢する。
「再三にわたる返済の勧告を無視した挙げ句、先日私の留守中にギルドからお金をかりたでしょう?冒険者でランクBだからってギルドも何時までも黙って貸すと思うなよ?あとルクスを騙すな!最近ギルドに入ったばっかりなのもう支部長に怒られてめちゃめちゃへこんでたんだからね」
「いやいや?あいつの間抜さもどうかと思うぞ?言われるままにハイハイ貸すのもアホだろ?」
「ダッショー!?さすが、ダガーさんワッカルー。だってアイツー、オレがちょーっとお金貸してって言ったら、ギルドから借りてくださいって言うからさー?だからオレさ、冒険者カード出してコレで頼むーって感じで?そしたら案の定借金全然返してないからカードを水晶に通すとエラーでるじゃん?それなのにアイツ何回も通してそのたびに「アレ?アレ?」っていってイラつかせるからさ?分かるっしょ?」
気持ちは分かるが、私はお前にもイラつく。
「でね?仕方ないからアイツにとりあえずメモにでも水晶の調子が悪いとでも書いておけばよくね?そんでお金だけ出してよ?っていったらね?それは盲点だったみたいな目の輝きさせて俺に金貸してくれたワケよ?すごくね?」
お前等2人そろって凄いよ。とツッコミそうになったが、黙ってノシノシと部屋にあがり込んだ。部屋のおくに入っていくとそこには…
「これなに?」
「なにって鎧?見て分かんない?」
「いや、分かるよ?いやいやごめん勢いで分かるといったけど?鎧?え?」
「ソーダヨ?嬢王様知らないのー?オックレテルー」
「へー今の世の中これが鎧って言うのかー?なんか普通の服よりダメージとか入りそうじゃね?ぺらっぺらに薄いしな」
「バッカ、ダガーさん分かってないねー?これ何で出来てると思ってるの?ミスリルよミスリル!ミスリルを編んだ生地で出来てるワケよ。だから防御力もハンパないし、魔法にも強いわけ!もうマジぱなくない?」
そうだねー、お前の頭がハンパないねー、まじパナイネー。
「うん、それは分かった…ごめんごめん、何が分かったかって言って嘘、勢いで分かったって言った。確かに良いものだと思う。生地は良いものだと思う。というか凄いと思う。でもこれ露出度高くない?っていうかこれ水着でしょ?それとも何?この先端にちょこっと着いてる部分?ミスリルのかたまり?え?何これ」
そう、これは水着だ!たぶんこの金属粒みたいなアクセサリーもミスリルだ。
「下着?」
「水着って言ってるだろう?この変態ダガー」
「いやいや?鎧だって言ってるでしょー?」
「この何もないところに当たったらどうするの?死ぬの?あんた馬鹿なの?」
「違うって、きっとこのミスリルの魔法的な加護がすっげー効果をだな!!」
「え、マジで!ダガーさんそこんとこ詳しく!」
「「お前が知らんのかい!!」」
あーだこーだと混沌としてきたこの空気に終止符を打つべく私は聞いた
「で、誰が着るの?アンタ着るの?変態?」
「その冗談ウケナーイ」
「誰が着るの?そんなの?」
「そんなの扱いないわー。マジないわー」
お前のそのしゃべり方の方がないわ。
「なるほど。つまり今から来る子に着せようというわけね?この変態!」
鎧と称して薄々防具を着せるとは…
「いやー今から来る子は別の子」
「え?」
「アレはパーティーのリズちゃんに着てもらうやつ」
「は?」
「じゃあ今から来る子は…?」
トントン
「エルー来たわよ?開けるわね?」
「ちょっ、まってー」
「ん?なんかイヤな予感がするぞマリ?」
「奇遇ね、私もよ。とてつもなく面倒くさい事が起こるとしか思えないわ」
ガチャリとトビラが開いて女性が入ってくる。長身でグラマラスな女性が入ってくるそして…
「だれよこの女!ははーん分かったわこの子がリズって女ね?でも駄目よ?エルは私のオトコ、ワカる?ワタシノオトコなんだから!」
ほら、メンドクサいことになった。だいたいそうなるんじゃないかなと思った。そんな流れよね?しょうがないよね?でも一応言っておこう。
「「違います」」
なぜかエルまで一緒に合わせて言った。ばっかお前までそんなこと言ったら
「じゃあ誰よ?そのちんちくりん、アンタいつからそんなロリコンになったのよ?分かった!もう私に飽きたんでしょう?さんざん私に『君のその素晴らしい果実を味あわせてくれ』とか『収穫祭だ!収穫祭だ!』って言って楽しんだじゃないの…それなのにそんなに未熟な果実な方がいいの?」
なんだかそうとう楽しそうな言い方をしているがこの男そんなことを言っていたのか。それにしても私17なんですが…未熟な果実…軽くショックを受けて黙っていると、
「はっ!分かった…後腐れなくってやつね…だってあれギルドの制服しかもあえて受付のタイプではない、むしろマニアックね。所々改造している…いや、もともと正規のものに似せて作っているというあれか…?エルってばそんなのにお金使って…そんな事なら私がいろんな服を着て…」
なんだかいかがわしい方向に思考が行ってるのか、口からブツブツと出ている独り言がやばい。
「その薄い下着的な物もこの子に着せるんじゃないでしょうね?この変態!!」
帰ってきたと思ったらとんでもないことを口走り始めた。
「ちょっ待って!話を」
「いいえ!いわせてもらうわ」
そう言うとその女性は、
「この下着はもっと胸のある女性!つまり私のような女が着るものよ!!」
仰るとおりです。
「それをこんな子供に着せるなんて、どんなプレイよ!」
プレイとか言っちゃいました。
「言われてるぞマリ!息してるか?」
ダガーが心配して声をかけてくる。大丈夫、まだよっっつく言われてる事だから大丈夫、自分に声をかけて自制心を確認する。
「おい!言い過ぎだぞ!」
いつものチャライ感じではなく、初めてみるような真剣な声にハッとなる。この男意外といい声でいやがる?
「イイカタ、イイカタ。」
私の心の声を聞いたのか、ダガーが私に声をかける。
「嬢王様、いや、マリは17歳なんだ!子供扱いしないでくれ」
紳士なイケメンボイスでコイツ何言ってくれちゃってんの?
「だから、俺はロリコンなんて倒錯的なもんじゃない!確かにマリはちょっと子供っぽくて胸もなくて身長も低くて顔も子供っぽいが17歳なんだ!それに俺はマリにちっとも欲情しないし、部屋に入られてもちっとも恥ずかしくない!なぜなら、マリは俺にとっての近所の親戚の子供みたいな感覚だから!分かるだろう!」
「近所の親戚の子の職場からお金を借りないで下さい。」
「親戚の方が借りやすくね?」
「借りやすくなんかねえよ!!」
笑顔で馴れ馴れしく肩を抱いてきてついでに胸をポンポンと叩きながら耳元でそう言ってきたので、ドスッ!!とグーパンチでボディーブローを打ち込んでしまった。ああ…とうとう手が出てしまった。手にいや、拳にいい感じで感覚が残っている。
そして、エルはいい笑顔そのまま膝をついて崩れ落ちてしまった。
「エル!エル!何てことするのこの暴力少女!訴えてやる!」
「むぅ、むしろ私が訴えたいよ」
「なにを言ってるのよ!アンタ商売女のくせに!エル、貴方の仇はこのジズが討ってあげるから…」
かっこいいなー、一般の方なのに凄まじい殺気を感じる。これは愛の力か?
「チンチクリンのクセに私の男に手を出しやがって…許さん!」
愛?かな?
「あのー誤解を解きたいのですが、えージズさんはエルの彼女さんということでよろしいのでしょうか?」
「ええ!当たり前でしょ」
そうか、それなら
「あのー実は私ギルドの職員で彼、エルはこちらに借金をしていまして、」
「なにそれ?知らないわよ」
「それでお金を返してもらいにきました」
「そういうシュチュエーション?」
「いいえ、ガチです」
「誤魔化そうとしてない?」
「むしろ面倒に巻き込まれたくないので、何でも正直にこちらが話したいです」
彼女は少し考えたあと、
「しょ、証拠をお願いします」
少しずつ現実とすり合わせようとしているのか、証拠を提示を求めてきたのでギルドの職員カード、冒険者カードを出してみた。
「冒険者カードはともかく、職員カード…本物かどうかが分からない」
ジズさんは納得いかないようだ。
「あと、借金台帳がありますんで見てみます?他の方のは見せれませんが、特別に身内の方ということで…」
「…けっこうな金額ですね…」
「まあ、入るときはガツンと入りますから、彼のランクならまあ少し無理すれば返せる額かと…」
「それ本物?騙そうとしていない?誤魔化そうとしていない?ちなみにどれくらい無理したら?」
「本物ですとしか言えませんね…お金さえ返していただければすぐにでも帰りますよ?まあ、一括ではきついと思いますので、少しでも…なんならジズさんから返してもらっても良いですよ?ちなみにぎりぎりの討伐、具体的にいえば彼らのランクで受けれる最高額の魔物の討伐なんで油断するとまあ死にます」
彼女はあたまを抱えだした、こちらをチラチラみながらホント?騙してない?と言ってくる。
「そうですね、ギルド行きますか?」
らちがあかないので提案してみた。そういうと
「そんなこと言って、どっかにさらうんでしょう?」
「へいへい姉ちゃん、良いからだしてんじゃねえか?ちょっと俺握ってみない?大丈夫、大丈夫怖いのは最初だけだからさギルドも一緒一緒!怖くない」
「お前は余計な事言うな!」
「腹話術で1人漫才?そんなことで誤魔化すの?」
「あ、すいません。こいつしゃべるダガーなんであんまり気にしないで下さい」
「そうそう、俺は高貴な魔剣、じゃなかった、高貴なダガーなんだよ?こんな業物そうそうないぜ?」
「しゃべる道具なんて見たことないわよ!!やっぱり怪しい」
「しょうがないな…金目の物を差し押さえしておくか?」
「そうね、今日のところは預かりにしとこうか…価値があるのはこのミスリルの水着か…」
「ちょっと勝手に持って行かないでよね!?この泥棒!!」
また混沌とした雰囲気になり始めた頃、この男を蹴っ飛ばしてことの真偽を確かめようとなったところでドアがノックされた。
「エルー、リズだけど次の依頼の件で相談なんだけど開けていい?」
外から声がかかった。ジズの目が剣呑としたものに変わった。こ、困った…絶対禄な事にならない気配をヒシヒシと感じる。そして、ジズが
「ちょっと待って下さい。今開けます」
わざと大きな声でジズが返事をしてドアを開けに行った…
「なあ!これって修羅場か?修羅場ってやつか?」
妙にわくわくした声で私に聞いてきたダガーの声に私は心底うんざりした。