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プロローグ

 皆さんこんにちは。

 私は現在異世界にトリップして3年目になってしまった、本来なら素敵な高校生活を過ごしているはずの早野真里ハヤノマリ17歳です。

 ちなみに私の前には筋骨隆々のマッチョが、パンツ一丁で身体中に痣をつけて、恍惚の笑みで失神しています。涙と涎でナイスガイの顔はぐちゃぐちゃですが、幸せそうです。

 私の右手には黒光りする鞭が先程までとはうってかわって大人しく鎮座しています。


「今日もおっちゃんいい嬌声をあげてたな。さすがマリ!嬢王様!」


 私が鞭を拭いてなおしていると、腰のポシェット付近から声が聞こえてきた。


「嬢王いうな!この変態魔王!黙ってないと溶鉱炉に突っ込むよ!?」


 腰に着けている黒光りするダガーに告げると魔王と呼ばれたダガーは、カバーのなかでカタカタ軽快に震えながら


「はん!溶鉱炉なんかに突っ込んだくらいで俺がどうにかなると思ってるのかよ!さすが嬢王と言われるだけあってあまちゃんだな!」


 さらにカバーのなかでガタガタ言い出した。

 あまり効果のない脅しに自分でもイライラするが、これ以上相手にしても仕方がないので、私をバカにして笑っているこの馬鹿魔王を放って、仕事をはじめる。

 部屋の中を一回りし、軽く棚などを物色したあと目当てのものがないので仕方なく簡易ベッドの下を覗いてみる。奥に箱を発見!


「ベッドのしたで箱か…最近ウォルトさんどんどんあからさまになってくるな…」


「この前は皿の上にのってたな?あれはどういう意味なんだ?マリ。」


「さあ?その事については特に聞かなかったから…意味なんてないんじゃない?」


「まあ、今回は俺的に超期待出来る!」


 私は小さく溜め息をつき、ベッドのしたから取り出した箱を取り出した。

 予想通り箱の上には、


「マリちゃんへ。今日もお仕事お疲れさまでした。 返済金は箱のなかに入っています。あ、箱の中身は僕の宝物です。恥ずかしいのであまり見ないでください。

 PS、報酬は僕の宝物の間に大事に挟んであります。破らないでね。」


 見て欲しいのか、欲しくないのか…とりあえずフタを開けて、一番上の「利息分入り」と書いてある袋を取るとその下からは、


「夜の癒やし手」

「昼の聖騎士、夜は性騎士」

「性拳3」

「魔の森のレンジャー 仕組まれた罠」

「夜ギルド 淫靡なるクエスト」

「狂会 捧げられる聖職者」などなど怪しいタイトルの小冊子が見える。最後のは教会に見つかったら裁かれるんじゃないだろうか?


「…確かウォルトさんのパーティーって回復、騎士、レンジャー、魔法使い、だっけ…パーティーに不満でもあるのかな?そういえば何かの大会があるかで王都まで格闘家みたいな人の護衛してたような…それにしても自分の趣味を晒すなんて…分かっていたけど、変態だ…変態。」


 

「さすが変態さん!自分の性癖までさらして興奮したんだろうな!?おおっと!マリ!中身を読んではダメだ!きっとマリが読んで困惑しているのを想像しているに違いない!尚且つ今夜眠れなくなったマリが自分を慰める姿をも想像している!そう!きっと奴は昨夜はお前をおぉぉ!」


 バシッ!バシッッ!


 私はダガーをカバーにいれたまま腰から外し、床になんども叩きつけた。


「なんでこんな奴ばっかりなのよ!あんた何か私に怨みでもあるの?呪いでもかけてるの?」


「アガッ!」


 バシ!


「まって!」


 ガン!


「まだ!」


 ビシ!


「内容が!」


 ビシ!


「おっちゃんが変態か!」


 グリグリ


「どんなのか分かって!」


 ガン!

「最後まで!」


 ガン!シュッ!ガン!ボス!


 蹴っ飛ばしたダガーがいい角度でゴミ箱に突っ込んでいった。


「いってないのにいぃぃ…あれ?なんだかこのゴミ箱臭いよ!?ねぇ!超生臭いんですけど!ねぇ!ねぇってば!」



 ゴミ箱の中でガタガタしているダガーを何重にも重ねた紙でつまんで引っ張りあげ、


「次余計な事をしゃべったら、無理矢理魔力で鞭に変形させて、あんたでむさいおっちゃん達をしばくからね?分かってるとは思うけど、顔も脇も尻も叩くからまあそれなりにイロイロなものもあんたにつくからね?」



 そう告げたらダガーがガタガタ震えだした…


 が多分コイツすぐ忘れそうだな?と思って私はもう一度ゴミ箱へカバーから出して、そっとダガーをゴミ箱へ捨てた。


 中のゴミが飛び出るのじゃないかと思うほどガタガタ震え、叫んでいたいたダガーは、その五分後に唐突にその震えを止め静かになった。


 私は静かに、そして何か湿っぽくなったなんともいえないダガーを、先程よりもさらに何重にもかさねた紙で拾い上げようとすると


「汚されちゃった…身体中汚れちゃった…もうお婿にいけない…まだ…なにも知らなかったのに…」


 ブツブツと感情の消えた声が聞こえる…。


 そのまま異臭のするダガーをつまみあげ、素材を入れる革袋にしっかりと紙でくるくる巻きにしてから放り込んだ。

 これで臭いは大丈夫!ちょっとブツブツうるさいのでもう一回り大きいバッグに入れて…よし、ほとんど聞こえない。


 後片付けの為に私はウォルトさん(変態さん)に回復魔法をかけて痣を消していく。左腕は消さないでいてよいと言われいるのでこれは放置。

 以前なぜ残しておくのか?と聞くと、


「不甲斐ない自分を戒める為さ…」


 少し興奮したように潤んだ瞳で言っていた。借金しないようにかと思って感心していた私が恥ずかしい。

 そんな感心していた頃にダガー(魔王)は、


「これもプレーか…やるなー。」


 と呟いていたのはもう遠い昔だ。


 とりとめのない事を考えながらも私はどんどん仕事を進めていった。

 回収台帳にウォルトさん(変態さん)回収済み。ギルド金貨2枚とギルド銀貨5枚。正規のギルド職員としての私の仕事は終わったが、アルバイトの報酬を受け取らなければならない。


「問題はこの本に挟まっているアルバイト料か…見るのも触るのも嫌だけど、諦める訳にはいかないなー。」


 と、年頃の娘らしく手袋を着けて1冊づつ抜いていく。


「夜の癒し手」を抜いたところで違和感を感じた。少し真ん中が膨らんでいるようなので、少し振ってみるとギルド白金貨が1枚と紙が落ちてきた。


「よく見つけたね。今回の報酬だよ。あと、このページなかなかいいだろう?」


 ふざけたことを書いていたので、顔に落書きしておく。髭と瞼に目を書いておこう。腹に顔を書いて完成だ!!今日はこのくらいにしておいてやろう。


「しかし白金貨とはかなり多いわね。」

  

 大体金貨1万円銀貨1000円銅貨100円程で、金貨は10万円といったところだ。


 貰いすぎてもなんか怖いので白金貨を1枚いただき、金貨を5枚置いてメモを挟んで箱に入れておいた。こんな事にこんなに使って…まあ、お金の使い方は人それぞれだし納得してるならいいのかな?


 部屋につけていた防音魔法具を回収し、よし、完了!

 

 「さあ、次に行こうか魔王…」


 ああ…汚れちゃったからね…


 帰ったら手入れをしてあげよう。そんな事を考えながら私は変態さんの部屋を後にした。


 そんな私のお仕事は、ギルドの借金取立屋さんです。

 


 

 冒頭のウオルトさんとの掛け合いがあまりにもあまりにもだったのでカットしましたが、興味のある方は読んでみて下さい。

 


 ヒュン!!ビチッツツツツツ!!


 「フンッ!!」


 私のスナップを効かせた鞭が男の肌に食い込む。その痛みに男は耐えるような息がこぼれる。それに対して私は続けて鞭をふるう。


 「そろそろいいんじゃないですか?」 


 バシイッツ!!

 

 「アッ!!アァァァァァーーーー!!!」


 良いところに決まったのだろうか、先程とは違う声がでている。これはいけない。私は声をかける。


 「お金の在処を教えて下さい。」


 ビュルルン、パシ!


 一度鞭を止め床を叩いてから手に戻す。すでに20回以上叩いているのだ、そろそろ体力的にも限界だと思うのですが、


 「まだだ!!そんな鞭さばきでは私から回収できん…バシィ!!んん!!」


 バシィ!!

 

 顔面と、続けざまに喉に鞭を叩きつける。

 男は声が出ないようでその場でうずくまっている。


 「誰が在処以外の事を喋っていいと言った。」


 若干棒読みではあるが私は努めて感情を出さずに呟いた。少し間をおいてからうずくまっている男の耳元で、


 「だ、大丈夫ですか!?やりすぎましたか?」


 男は片腕をあげて親指をグッ!っと力強く立ち上げた。そしてか細い声で、


 「もっと、もっとだ…もう少しなんだ…止めるな、続けてくれ!!」


 喋ってるうちにテンションが上がってきたのだろうか?声に力が戻ってきた!?


 ビシッ!! 


「アウッ!」


 尻を突き上げもっと、もっととばかりに左右に振っている声が出ないのか無言のままだ。


 「良いね!!マリ!次はそうだな言葉でもナジるんだ!そうだな筋肉だるまとか!この変態脳筋野郎とか!!」


 私が鞭を振るっている最中ずっと小声でアドバイスしていたのだが、興奮してきたのか声が大きくなって。その声の主は私の腰についている黒い刃のダガーだ。その声に男は反応し、

 

 「ダガー君黙っていたまえ!!今良いところなのだ!!興ざめではないか!!」


 先程までの情けない顔がキリッ!っとなり文句をつける。


 「悪い、悪い。もう黙っておくよ…」


 「しかし、ナイスアイデアだ…言葉責めももっと激しくしていただきたい。」


 注文が増えてしまった…

 

 「さあ、続きを…」


 言葉が終わる前に私は鞭を振るい叫んだ。


 「この変態が!!」


 ビシュルルルッウウ!!


 凄まじい勢いで振るった鞭は、男の尻を包むかのようにシンボルの一部まで打ち付け一際大きな嬌声をあげ男最後に一言呟きは果てた。


 「嬢王さま…」 





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