母の名、子の名、そして菜の花
最新エピソード掲載日:2026/03/25
聖域フィルネで暮らす少女『菜の花』は、薬師の母ノナから、勇者と聖女の物語を聞いて育った。
十四歳になった彼女が夢中になっているのは、勇者でも聖女でもなく、異世界の言葉だ。
学舎の講義で、異世界の文字「ひらがな」を目にして以来、菜の花は図書館に通いつめている。司書エルドンから日本語を学び、幼なじみのリーネとミラに呆れられながらも、のめり込む日々。
ある日、エルドンが日本語の『回文』を教えた。最初から読んでも、最後から読んでも同じになる、不思議な言葉。
エルドンと話すうち、菜の花は、奇妙な回文を発見する。
「しましまの服でエマ消えた。三田駅前で食ふのマシマシ」
「しましまのふくでえまきえた。みたえきまえでくふのましまし」
エマとは誰か。マシマシとは何か。
分からなかった。でも、背筋が痺れた。
三田駅前の麺屋では、マシマシという呪文で何かを増やしていたらしい。一種の儀式だったのではないか——エルドンは言った。
本当だろうか。謎は、マシマシ深まる。
その日から菜の花は、回文に取り憑かれた。作るというより、膨大な言葉の組み合わせの中から、『見つける』という感覚。自分でも、なぜこんなに惹かれるのか、分からなかった。
一方、聖域フィルネでは、異変が起きていた。
十五年ほど前、勇者と聖女とその仲間は『魔王ハノ』を封印し、勇者たちも同時に倒れた。
いま、その封印が弱まり、瘴気が漏れ出している。魔物は増え、森の木が枯れ、生き物を蝕んでいる。病人も増えた。
けれど、魔王が封じられて以来、勇者も聖女も現れていない。神官と巫女が『祈りの塔』で祈りを捧げ、瘴気を抑えている。それが現状だった。
いま一度、浄化の力を持つ聖女と、結界の力を持つ勇者が『封魔の森』へ行き、封印を強化しなければならない。
これは、回文をめぐる、ちょっと変わった異世界ストーリー。笑って泣いて、ときどき金ぴかになる、家族と言葉の物語です。何の役にも立たないけれど、ちょっとした奇跡めいたものを見つけられる、かもしれません。
※本作は完結まで執筆済みで、全56話・約14.9万字です。
※3月29日(日)まで、毎日20時に更新予定です。⇒変更しました3月27日(金)まで、随時更新予定です。
※カクヨムとの重複投稿をしています。
十四歳になった彼女が夢中になっているのは、勇者でも聖女でもなく、異世界の言葉だ。
学舎の講義で、異世界の文字「ひらがな」を目にして以来、菜の花は図書館に通いつめている。司書エルドンから日本語を学び、幼なじみのリーネとミラに呆れられながらも、のめり込む日々。
ある日、エルドンが日本語の『回文』を教えた。最初から読んでも、最後から読んでも同じになる、不思議な言葉。
エルドンと話すうち、菜の花は、奇妙な回文を発見する。
「しましまの服でエマ消えた。三田駅前で食ふのマシマシ」
「しましまのふくでえまきえた。みたえきまえでくふのましまし」
エマとは誰か。マシマシとは何か。
分からなかった。でも、背筋が痺れた。
三田駅前の麺屋では、マシマシという呪文で何かを増やしていたらしい。一種の儀式だったのではないか——エルドンは言った。
本当だろうか。謎は、マシマシ深まる。
その日から菜の花は、回文に取り憑かれた。作るというより、膨大な言葉の組み合わせの中から、『見つける』という感覚。自分でも、なぜこんなに惹かれるのか、分からなかった。
一方、聖域フィルネでは、異変が起きていた。
十五年ほど前、勇者と聖女とその仲間は『魔王ハノ』を封印し、勇者たちも同時に倒れた。
いま、その封印が弱まり、瘴気が漏れ出している。魔物は増え、森の木が枯れ、生き物を蝕んでいる。病人も増えた。
けれど、魔王が封じられて以来、勇者も聖女も現れていない。神官と巫女が『祈りの塔』で祈りを捧げ、瘴気を抑えている。それが現状だった。
いま一度、浄化の力を持つ聖女と、結界の力を持つ勇者が『封魔の森』へ行き、封印を強化しなければならない。
これは、回文をめぐる、ちょっと変わった異世界ストーリー。笑って泣いて、ときどき金ぴかになる、家族と言葉の物語です。何の役にも立たないけれど、ちょっとした奇跡めいたものを見つけられる、かもしれません。
※本作は完結まで執筆済みで、全56話・約14.9万字です。
※3月29日(日)まで、毎日20時に更新予定です。⇒変更しました3月27日(金)まで、随時更新予定です。
※カクヨムとの重複投稿をしています。
プロローグ
菜の花という名前の子
2026/03/15 20:00
(改)
第一章 菜の花
春、聖域の朝
2026/03/15 20:00
出会い
2026/03/15 20:00
初夏、学舎
2026/03/15 20:00
放課後
2026/03/15 20:00
夕食
2026/03/15 20:00
秋、回る言葉
2026/03/16 20:00
なりたいもの
2026/03/16 20:00
冬、見つける日々
2026/03/16 20:00
リーネとミラ
2026/03/16 20:00
名
2026/03/16 20:00
翌朝
2026/03/16 20:00
第二章 成人の儀
春、成人の儀の朝
2026/03/17 20:00
聖堂
2026/03/17 20:00
菜の花
2026/03/17 20:00
リオン
2026/03/17 20:00
シオナ
2026/03/18 20:00
美しく咲く花
2026/03/18 20:00
帰り道
2026/03/18 20:00
(改)
夜
2026/03/18 20:00
(改)
美咲
2026/03/19 12:00
アルヴィン
2026/03/19 18:00
スオヤラ
2026/03/19 19:00
ノナ
2026/03/19 20:00
戦い
2026/03/19 23:00
戦いの後
2026/03/20 06:00
美咲との夜話
2026/03/20 12:00
空白の一年間
2026/03/20 18:00
二度目の戦い
2026/03/20 19:00
答え
2026/03/20 20:00
決意
2026/03/20 23:00
第三章 旅
しっくり来るもの
2026/03/21 06:00
旅のしおり①
2026/03/21 12:00
旅のしおり②
2026/03/21 17:00
質問の時間
2026/03/21 18:00
訓練
2026/03/21 19:00
リーネとミラ
2026/03/21 23:00
(改)
旅立ち
2026/03/22 06:00
帰還
2026/03/22 12:00
ノナ
2026/03/22 17:00
シオナ
2026/03/22 18:00
それから
2026/03/22 19:00
小さなノナ
2026/03/22 20:00
第四章 お届けもの
エルドン
2026/03/23 06:00
シオナ
2026/03/23 12:00
推測
2026/03/23 20:00
塔
2026/03/24 06:00
成人の儀
2026/03/24 12:00
手紙
2026/03/24 20:00
帰還
2026/03/25 12:00
ハノの母
2026/03/25 20:00