表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/33

31

リリカが確認したところによると、

鋼の砦には都市の主がいないらしい。


エルブンハイムには世界樹様がいて、

ユージンと向かう場所にはヴァンパイアが頂点に立っている。


鋼の砦には主はいないというが、

だからといって管理する人員がいないわけでもなく、ここは他とは違い、鍛冶の腕で砦を管理できる人員を選ぶのだという。先日会ったギズモもその一人だった。


マスターになるほどの腕があれば誰でも挑戦できるという話だが、聞こえてくる話によれば、全員ドワーフだそうだ。


「先に行け」


一瞬の騒ぎはあったものの、リリカは自分を呼ぶというドワーフに会うことにした。


敵というものは、見えるよりも見えないものの方が脅威である。

方法は洗練されておらず粗野だが、こうして名乗り出て自分を訪ねてきたのだから、脅威はなくなったと判断したのだ。


それより違和感を覚えたのは別のところだった。

明らかにこの件とは関係なさそうなのに、

彼女に従ってくる獣人がいた。


「なぜついてくるのですか?」

「姉さんに何かあれば、私がユージン兄さんに顔向けできませんよね。兄さんの仲間なら、私の仲間や同然ですから!」


感じる気配からして、覚醒はしているようだ。

それでも、彼女より強くはないと感じた。


誰が誰を心配しているのか分からないが、止める必要性は感じなかった。

そして、あの大きな獣人がそばにいれば、雰囲気を作るときに役立つだろう。


「···お好きにどうぞ」

「はい!」


リリカとゴムゴムは、彼らに従ってマスターのいる場所へ向かった。

到着すると、そこには二人のドワーフが待っていた。


「お前が今回、上段を率いて我ら鋼の砦に入った魔族か?」

「そっちは違うだろ。隣のエルフだ」

「そうか?最近忙しくてな。知らなくても仕方ないだろう。なんで大声を出すんだ?」


年配のドワーフ二人が椅子に座ってやり取りする様子から、二人の間に序列の上下はないことが分かった。


「ふう···客が来たんだから、その話は後にしよう」

「はい」


一方のドワーフは、言われたことで拗ねた様子を見せた。

自由奔放と言うべきか···?


その様子を見たもう一人が首を振り、

何事もなかったかのように鋭い目つきに変えた。


「ここに呼んだ理由が気になるだろう」

「はい。おそらく上段に関する話でしょう」

「そうだ。長くは言わん。突然訪ねてきて、見慣れぬ酒をあれだけ売ると言えば、安定していた市場が乱される」


今の言葉で、認めたも同然だ。

エルブンハイムから持ち込んだ酒の販売を妨げたと。


「味見したが、美味かった。私はいいと思った」


その間に少し撒いたものを味見したのだろう。


「クフム、私も完全に反対しているわけではないと分かってほしい。美味しい酒は多ければ多いほど良いのだから」

「でも、なぜ販売を止めるのですか?」

「ご存じの通り、魔界は厳しい場所だ。今後、友になるかもしれない相手に簡単に場所を譲れないということだ」


つまり、誠意を示せということか。


「私たちはどうすればいいのですか?」

「クフム、まあ···大きなことを望むわけではない。小さな信頼を一つほしいだけだ」

「鋼の砦は名も知れぬ古いダンジョンの上に建てられた。ダンジョンで出る資源を使っていたが、採算が合わず閉鎖した。しかし管理人がいないせいか、モンスターが溢れ出て外に出るのだ」

「モンスターの処理を任せてもらえれば、我々はエルフとの関係改善に尽力すると約束しよう。どうだ?」


拒否するならやってみろと言わんばかりの顔。

ちょうど訪れたエルフを傭兵として使うために、今回のことを仕組んだのだ。


「やりましょう」


モンスターを処理することで、

彼らの言う信頼を得られるなら、

それ以上安いものはないとリリカは考えた。


「出陣する日時を知らせてもらえれば、案内役の兵を付けよう」

「今、行きます」

「そうか···それなら少し待てば案内するドワーフを付ける」


ダンジョンをよく知る者を待つ間、

隣にいた獣人が珍しく囁いた。


「私が最後まで姉さんをお守りします」

「よろしくお願いします」

「任せてください」


しばらくして、案内役のドワーフがやってきた。

彼に従い、ダンジョンのある場所へ移動した。

しかし、なぜか手伝う兵士の姿は見えなかった。


「他の兵士はいつ合流するのですか?」

「え?私以外の兵士も来るのですか?聞いてませんが。えっと···エルフ側で増員するのではなかったですか?」

「……」


どうやら支援してくれると言ったのは、案内役だけということだったらしい。


「…ああ、先にどんな場所か視察に来たわけか。まあ、初めてだから大勢で行く必要はないな。元々はそうではなかったのに、ある時からモンスターが多く出て、雇った傭兵でも手に負えなくなったというわけだ」


その言葉を黙って聞いていたゴムゴムが、胸をポンポンと叩きながら言った。


「今まで弱っちい奴ばかり雇ってたんだな。今回は俺たちが来たんだ、心配すんな」


自信がすごかった。

戦闘では些細な差が勝敗を分ける。

自信があるだけでなく実力も十分なら、後ろを任せても問題ないだろう。

リリカは彼をおまけのように思ったが、実際どうかは見てみないと分からないことだった。


「着きました。誰もいないせいか、薄気味悪いですね」


彼の言う通り、ダンジョンの奥深くから冷たい風が吹き込んできた。

ダンジョンに入る前、リリカは新鮮な空気を大きく吸い込み、言った。


「先に行っていただけますか?」


その言葉に、案内役のドワーフはぴょんと跳ねた。


「この人数で降りるのですか?私は戦闘員ではないので、スライムでも出たら死にます」

「···それなら、私が前に立ちますので、後ろから道を教えてください」

「クフム。それなら······」


結局、リリカとゴムゴムが前に立ち、

案内役は後ろから道を示すことになった。


ダンジョンに入ると、光一つなく暗かった。

それでもエルフは夜目が利くので、少し気をつければ歩けないほどではなかった。


「お二人とも大丈夫ですか?」

「この程度なら問題ありません」


ゴムゴムも平気そうだ。


「暗いな···どれどれ」


ドワーフは懐を探り、火打石を取り出した。

そして壁に近づけて何度か打つと、壁に沿って炎が立ち上り、内部を明るく照らした。


ドワーフは見せつけるように笑いながら言った。


「これで大丈夫です。行きましょう」


これでは対応が遅れるのも仕方がない······

そんなことが起きないことを願うばかりだ。

入口付近のためか、まだモンスターの姿は見えなかった。

後ろから聞こえる荒い息遣いと足音が静寂を破った。


どれだけ奥まで進んだだろうか。

モンスターの気配を感じた。


「来ます」


ゴムゴムも気づいた。

ドワーフの唾を飲む音も大きく聞こえた。


パッ。


リリカは手首のブレスレットから武器を取り出した。

驚く視線を感じながらも、前だけを見つめた。


迫りくるモンスター。


スッ。


簡単な手の動きでモンスターを倒すリリカ。

それが始まりだったのか、絶え間なくモンスターが現れた。


「私が前に出ます。うおらっ!」


ゴムゴムが前で防いでくれるので、

攻撃するだけで済み、素早く片付けることができた。


「おお、お二人ともすごい実力ですね」

「今までこんな奴らに手こずってたのか?この程度なら時間の問題だな」

「ふう···どこから出てくるのか、尽きることがありませんね。だから最初は金稼ぎ用に傭兵が駆けつけたのに、物量の前に太刀打ちできず、一人また一人と死んでいったので、誰も来なくなったのです。聞くところによれば、プラチナ以上の傭兵を呼ぶと言っていましたが、それが皆さんですか?」


リリカとゴムゴムの実力を確認したドワーフは、最初より緊張が解けた。

以前案内を担当した傭兵たちとは明らかに違う実力、前回のような危険なことは起きないだろうと思ったのだ。


「いや、私はシルバー等級ですけど、リリカさんはどうなんです?」

「うーん···残念ながら、私は傭兵等級というものはありませんが······」

「あはは···そんな等級が重要ですか。そんなこともありますよね。やはり実力が優先でしょう。ははは!」


口が滑らかになったドワーフは、その後もダンジョンについて多くのことを話した。

ダンジョン内にある希少鉱石や食べられるモンスターなどについて。


「それより、このような事態が起きた理由、心当たりはありますか?」

「うーん···あまりにも突然のことなので······」

「では、ダンジョン内で特異な現象が起きる場所や、人為的な地形のある場所があるか、一度考えてみてください」


リリカの言葉に、ドワーフはうなずき、思いを巡らせた。

足で地面を軽く蹴りながらダンジョンを思い出すと、いくつかそんな場所が思い浮かんだ。


「いくつかあるようですが、行っても何もないでしょう。ダンジョンが古いので、すでにすべて明らかになっていますから」

「そうでしょうね。それでも、とりあえず確認してもらえるよう案内をお願いします」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ