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完璧な支配を可能にする機械

「この機械が完成してからは全てがうまくいっているな」

 王は満足そうに頷きながら一人でそう呟いた。

「はい。それは間違いありません。民はみな深い満足感の中にあります」

 側近の一人が王の言葉に頷きながらそう答えた。そして側近の言葉通りこの国の民はみな満足していた。

 だがこの王が善政を敷いているというわけではない。むしろその逆で、民はみな食うや食わずといったギリギリの生活をしており、王だけが豪華な食事を取り、他国から呼び寄せた女を侍らせて豪勢な生活を送っているのだ。

 側近たちですら例外ではなく、彼らはみな一様にやせ衰えていたのだが、王だけはでっぷりと肥えていた。だがそのことに不満を持つ国民は誰一人としていない。

 その理由がこの機械なのだ。

 この機械はこの国に昔住んでいた科学者が開発したもので、国民の感情をコントロールするものである。無論この機械を作った科学者はすでに処刑している。この機械に対抗する機械を作られても困るからだ。

 これがあるからこそ王がどれだけ横暴な政治を行っても国民は満足感に包まれているのだ。

「うむ、これがあれば私の支配は盤石だな」

 王は深い満足とともに頷いていた。


 この機械を直せる人物がいないことに王が気が付くのは、それから数年が経ってからだった。

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