第八十話 伝説の勇者は悪役で復活する
〇マリーVS教皇
――謁見の間の前の扉。
「ちょっと待ちなさいよー
あなた、こんな場面じゃなきゃ抱きたい…じゃなかった
マリリンの忠告を忘れたの?」
「ポポ待たないもんねー
忘れてないから待たないもんねー
でも、ここまでポ
―――ポイ!散々贅沢させたんだから働けポ!」
謁見の間の玉座
周りに縛られた女性や、蝋燭攻めの後の女性、女体盛りの後の女性
そして中央には玉座に座る
気だるそうにしていたブランの弟、マルコがいた
「えーなんでー
僕は働かないよー今が楽しいもんー」
「待ちなさい!
その子でどうすんの?」
マリーの光の矢が教皇の横玉座をかすめる。
「ひぃ…ポポポポ……、思い違いをするなポポ」
教皇は口元を歪め、腕に抱えた少年を掲げた。
無力な少年はだるそうに、ぐったりと教皇の腕に揺れている。
「その子を離して!」
マリーが叫ぶが、教皇は薄笑いを浮かべたまま。
「この子こそ、“器”だポ。
誰にも止められるものか!」
教皇は玉座にある緊急脱出用のボタンを押すと
床が抜け三人は地中深くに滑り落ちていった。
――王城・地下深く。奈落の祭壇。
そこには転生勇者との戦いを終えた博史とブラン
横にある壁が突然ゴゴゴゴゴゴゴと開き
上からシュルゥルーと人が滑り落ちてくる
「タヌキ!…とマリー?それにブランの弟?」
「はぁはぁ…ポポポポ、
転生の勇者とやらも使えなかったみたいだポポ」
「あーねぇちゃん、また来たの―?」
マルコは相変わらず気だるそうに教皇の腕の中から声を発する
「マルコ…あんたは…」
ブランは複雑な表情をする
「博史!彼を止めて!」
「もう遅いポポ」
教皇は祭壇の中央に降り立った。
周囲を囲むのは無数の石柱と、床に刻まれた巨大な紋章。
古代より封じられた“扉”がそこに眠っていた。
「さあ……今こそ悲願の時だポポ」
教皇は少年を石壇の上に横たえ、呪文を唱え始める。
低く重い響きが、祭壇全体を震わせる。
石床の紋章がひとりでに輝き、赤黒い光が少年の身体を覆っていく。
「この血脈を代価に――千年の眠りより蘇れ!
かつての本物の勇者よ!」
バリバリバリッ!
封印の鎖がちぎれ飛び、地鳴りが地下全域を揺るがした。
マグマのような光が噴き出し、祭壇を飲み込む。
「くっ……!」
教皇すら、その圧力に後退る。
だが、その顔は恐怖ではなく狂喜に染まっていた。
祭壇中央の石蓋が音を立てて崩れ
そこから――一つの影がゆっくりと立ち上がる。
白銀の鎧に身を包み、紅い双眸を輝かせた存在。
勇者が、地底に現れた。
「ここはどこ…」
その声が響き渡る。
「おお……ついに……! 古代の勇者オルフェイン!」
教皇は跪き、狂信者のように叫んだ。
「世界を、再びあなたの御手に!」
その瞬間、祭壇全体が暗黒に染まり、封印されていた古代勇者が完全に蘇った――!
「ごめんねブラン、弟を守れなかった」
マリーが申し訳なさそうに言う
「…今更あいつに未練は無いわ
それより、誰なの?」
ブランがマりーに聞くと
「……オル……!」
マリーが震える声で名を呼んだ。
その声音には恐怖ではなく、懐かしさが混じっていた。
「……姫……?」
オルフェインの目が一瞬だけ細められる。
だがすぐに、背後の教皇の詠唱が闇に響いた。
「抗うな。ポポお前の主人は私もだポポ。」
オルフェインの身体が痙攣し、瞳の光が強まる。
「……命ずるままに」
低く、苦しげな声と共に伝説の勇者オルフィンは立ち上がった。
「来るわ……彼はマリリンでも手に余るわ…」
マリーのその言葉に博史が構える。
オルフィンが聖剣レイヴァンを抜き去ると凄まじい衝撃が走り
博史の身体は後方へ吹き飛ばされる。
「がはっ……! 重っ……! 一撃でここまで……!
あの聖剣はレイヴァン…本物なのか…?」
博史は壁に叩きつけられる。
オルフェインの手には闘技場にいるはずの
しかし、意思を持たない聖剣レイヴァンが握られていた。
オルフィンは聖剣を上段に構えた
「ジャスティスソード!」
オルフィンの振り下ろした凄まじい一撃
咄嗟に皆が全力で回避する
とてつもない轟音と共に
地面に地割れの後のような痕跡を残した
「全盛期の姿、装備…
この魔法は相当術者に都合よく作られているわね…
博史くん、オルにはそのダガーを使わないと殺されるわ」
マリーの言葉に全身冷や汗をかく
(俺はまた酒を飲むべきなのだろうか…)
「また、キリヤと同じスキル?
でも、威力が半端じゃない」
ブランが言う
「もちろん聖剣レイヴァンの力もあるけど
このスキルは一太刀で勝負を決めるスキル
キリヤみたいなネチネチしたクズじゃなくて
真面目で融通が効かないオルにぴったりのスキルなのよ」
オルフェインの手が震えた。
大剣を握る指がわずかに緩み、紅い瞳に苦悶が浮かぶ。
「……姫…の…声……!」
教皇の声が祭壇に木霊する。
「ポポ! 感情に流されるな!
戦え、勇者オルフェイン!」
オルフェインの動きが一瞬だけ止まる。
しかし次の瞬間、紅い瞳が再び冷たく光った。
「……僕は勇者。
……勇者は命じられたままに戦う存在」
オルフィンは再び上段に構えようとする
「くそ、考えても仕方がない…!
やれるだけやってやる…!」
博史はオルフィンが聖剣を振り下ろす前に懐にダガ―で飛び込む
「む…」
オルフィンは飛び込んできた博史に合わせるように聖剣を振り下ろした
スキルを使う前の攻撃は先程までの威力は無く
聖剣と博史の剣が激突する。
火花と轟音が地下を揺るがした。
――伝説の勇者との戦いが、幕を開けた。
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