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「酒乱」スキルで異世界生活!? 記憶をなくしたら勇者になってました  作者: あいだのも
第一章 ロマネンド王国
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第八話 酔って物が無くなっても後悔しない


棚からぼた餅というか

まとまったお金が手に入った。

とはいえ、この国で生活していくのには

一年間遊んで暮らせる位

この先ずっと生きていくには、心許ない。


だが、こっちに来て初めて余裕が出来た

今日は一人で街へ繰り出し商売道具

冒険者としての装備を整えて

初めて宿で寝よう。


まずは武器屋からだ

「おう、博史か

どうした今日は?

まだ飲み始めるのには早いだろう」

酒場で顔なじみになった武器屋の店主が、気さくに声をかけてきた。


「よぉおっさん

武器と防具を買いに来たんだよ」


「なんだぁ?

武器と防具だぁ?

冒険者っぽいこと言いやがって

お前は便利屋の飲んべえじゃねぇのか?」


「いや、まあそうだけど

一応冒険者だし

モンスター討伐に行くこともあるから

自分の身は自分で守れないと」


「こっちとしちゃ、買ってくれるのはありがたいがな

それでどんなものが良いんだ?」


「防具は良いやつが良い防御力が高めのやつ

武器は安くて軽くて非常用に使えそうなやつが良い

合わせて100万モン位かな」


「100万モンならこの一番良い防具

『聖勇者の防具一式』が揃えられるぞ

武器はプラスで出すか?」


「うーん…

そうだな、武器は安いやつだとどれくらいだ?」


「まあ、ピンきりだが

ある程度使えるやつなら

安くて10万位かな」


「高いな…ちょっと予算オーバーだな」


「普通駆け出し冒険者は武器を良いの買って

防具が適当の奴が多いからな

適当な武器は買う奴がいねぇから無いんだ

お前はやっぱ変わってるぜ」


「俺は変わってねぇよ」


「そうか…

じゃあ運試ししねぇか?

くじで一回1万で当たれば最高級の200万の刀をやろう

外れは1000モンの量産型料理包丁」


「おいおい、くじなんてぼったくる気か?

いくらでもイカサマ出きるだろう?」


「かぁー!

酒場の友をぼったくるなんてする分けねぇだろ!」

まあ、当たればもうけもの

最悪料理包丁で冒険すれば良いか


「防具良いやつ買うんだから

1万モンまけてくれよ」


「わったよ、抜け目ねぇな」


雑な手作りのボックスに手を入れる

折られた紙が明らかに200枚以上入っていた


「この中のくじを一枚取れば良いのか?」


こんなの当たるはずが無いが

実質タダだし

まあいいか


「ああそうだ

じっくり選べよ」


「そんな選んだって当たんねぇだろ」

そう言い

俺は適当に一枚のくじを引いた

くじを開くと、アイテムがボン!と現れた


…包丁

やけにきらびやかで、独特な形をした包丁が出てきた


「おい!

包丁じゃねぇかよ!!

ホントに当たりはいってんだろうな!」

と言うと店主は難しい顔をした


やっぱり、何かイカサマでもしてたか?

まあタダだし

酒の友だから許してやろう


ホントに俺は料理包丁で討伐することになるのか…


「いや…やっぱこれはやれねぇ」


「なんだなんだ、俺から詐欺って

もう反省したのか?」


「いや、違ぇ…

当たりは確かにこの中にある

それにこれは量産型の包丁じゃねぇ…

300枚のくじの中に大当たりを一枚

大はずれを一枚冗談で入れたんだが

まさか一発目でお前に渡るとは」


「はぁ?

これハズレじゃなくて、大はずれなのかよ

どんなガラクタだ?」


「ガラクタじゃねぇ試してみるか?」

店主はそう言うと、試し斬り用の太い丸太を持ってきた


「切ってみろ」


「こんな包丁で木が切れる訳ねぇ…」

冗談半分で軽く丸太に刃を当てて切ってみると

木が切れるというより木に線が入った

木を触ると一切削れた後が無く

真っ二つになっていた


「おい!おっさんなんだよこれ

これが大ハズレって、いわく付きの代物じゃねぇだろうな!」


「まさかこれを扱えるとはな…

俺がやってみても、紙一枚切れやしねぇってのに

…お前のいう通りいわくつきだ

一世代前の冒険者に、テッシンというのがいてな

天才冒険者だ

特に彼は金属に愛され、多くの銘作を作り出した。

彼のパーティは彼の武器で

多くの達成不可能と言われた任務を行った伝説のパーティだ

そんな天才が同じパーティを皆殺しにして姿をくらました。

残された刀の一つがこれだ」


「…大量殺人の呪われ剣ってことじゃねぇか…」


「実際これで切ったのか知らねぇがな

俺も冒険者に憧れ

若気の至りで買ってしまったが

俺も彼女が出来て結婚を考えると

どうにも気が滅入ってな

こうゆうものも手放さなきゃなと思ったんだがな」

おっさん、その年で結婚するのか…

いや、それはめでたくて良い事だが


「持ってるだけで罪にとかならねぇよな?」


「まあ、物に罪はねぇ…はずだ

俺もある程度信頼できる所から買ったから

犯罪の証拠品とかでもねぇ…はずだ」


「おいおい…曖昧だな…

大丈夫なのかよ」


店主は少し黙り込み

そして決心したように言った


「お前は冒険者だ

これは俺から買ったんではなく

どこぞの義賊を倒した戦利品だ」


「おい」


「欲しい奴は1000万以上出すぞ

売るリスクもあるがな」


「そんな良いやつなんか!?」


「足がつかなきゃな

お前が自分のといって使いきれば

問題ない」


「…まあ、そうだな

元々売ってもうけるためじゃなくて

何でもいいから使える武器が欲しかっただけだしな

得したと考えよう」


「そうだ、そうだ!

ラッキーと捉えればいいんだよ

うちはこれで店じまいで

飲みに行くがお前も行くか?」


「ああ、そうだな

金も少し余っているし

行くか!」


「おう、少し待っててくれ」

店主は奥へ戻りパパっと着替えた



俺もパパっと着替える

「お前ホントにそのかっこうでいくのか?」


「俺は買った物はすぐ身に付けたいタイプなんだよ」


「まあ、いいがな

それでいつもの酒場か?」


「おう!」

俺も聖勇者の防具一式を身に着け

店主と共にいつもの酒場へ向かった。




酒場に着くと、キリヤたちがすでに飲んでいた。


「おう!博史!!って、お前その格好

とうとう武器と防具買ったのか」


「あら、それ以上強くなってどうするの?

本気で魔王討伐に行く気?」


「マリー

そんなわけねぇだろ!

自分の身を守るためだ

その証拠にほら!

防具は一番いいやつだけど武器の短剣は大はずれ」


「あら、そうなの?

その短剣なんか禍々しい雰囲気がするけど

まあ、博史は博史で安心したわ

今日は装備デビューでお祝いね!」




――――――――――――――――――――――――――――――





気がついたら皆で中央広場に寝転んでいた


そんなことより…

「ない!!

俺の100万モンの防具がない!!!」

飲み会前に皆に自慢しようと

ルンルンで装備を着ていたはずが

何故かパン一


いや、俺だけじゃない

ここにいる男全員が身ぐるみを剥がされている!


「ふぁーあ起きたか博史」


「き、キリヤ、俺の装備が無いんだが…」


キリヤは一瞬考え込み

「有るじゃないか、腰に、立派な短刀が」


「下ネタでふざけてる訳じゃ…

いや、確かにパンツ一丁なのに

腰にはあの短刀を巻いている

いや俺の装備は!?」


「なんだ、やっぱ覚えてねぇのか

昨日のお前はカッコ良かったぞ」



――――――――――――――――――――――――――――

【昨夜の回想】


昨日もまた3人で楽しく飲んでいたんだ

そうしたらブランがやって来て

「あらあなたたちいつも楽しそうね」


「おーブラン!」


「あら博史いい装備してるね」


「この前の報酬で買ったんだ」


「…ねぇみんなでゲームしないかい?」


「ゲーム?」


「野球拳!

ここにいる人たち全員一番良い装備を着てくるの

良い装備の順番に相手を選べるわ

女の子は他の男に見られないように仕切りをもうける

どう?男も女もWin-Winだと思わない?」


「「「うおおおおおお!」」」

酒場の男どものボルテージが一気に上がる

初めは女の子は湿気た顔をしていたが

男どもが懐に長年暖めた、最高の装備を着てきた姿を見て

「あれ?やっても良いかも…」となっていた


まあ、男も女も酔っていたからな

気が大きくなっていたんだろう


ちなみにキリヤは速攻で惨敗した


博史はブランと良い勝負をしていたな

男どもが尽く惨敗し

空気がどんよりしていたから

ブランは「仕切り無しでやってやる」と言った


博史とブランとの戦いは負けた腹いせと

可愛いボーイッシュのブランの裸を見れる期待で

ボルテージが最高潮に達していた


お前とブランは一枚脱いでは

脱がされを繰り返し

とても白熱した試合だった

ブランが負け

上着を脱いでノースリーブになるだけで大歓声

お前が負けると大ブーイング

うるさすぎてクレームを言いに来た男どもまで加わり

教皇の公演どころではない騒ぎになっていた。


ブランが負けシャツを脱ぎ

白のブラジャーだけになり

綺麗な透明感のある肌と

大きすぎず

けれどもしっかりと主張している胸が露になり

お前が負け

人々のブーイングと叫びをあげ

またブランが負け

短パンに手を掛けゆっくりと下げて盗賊とは思えない

シミやキズ一つない真っ白なプルんとしたお尻と白いTバックになった時

狂喜の声が会場を震えさせた


そこで皆(俺)は思った

これで終わり

ブランの負けなのか、と


流石のブランもこの人数に

少し恥ずかしそうに内股でほほを赤らめた


これで終わりか、と誰もが思った。


だが、ブランは続行を示した


運命のじゃんけん

博史が負けた

もうここまで来るとブーイングではない

悲鳴だった

がまだ、博史には一番高いチェストプレートが残っていた

逆に博史も絶体絶命


勝ったのは



博史だ

ブランは下着姿のまま膝から崩れた


皆の期待が高まるなか

ブランに「脱げ!」のコールがかかる中


博史がブランに聞いた

「何故そんなことをするのか」


ブランは小さな声で

「弟が病気なんだ」と言った


会場全員

ブランと仲間の俺ですら思った

嘘だと


会場から怒りに近い

「「脱げ!」」という罵声が飛ぶ

そんな皆の声を無視するように


博史は下着姿のブランにチェストプレートをかけてあげた


会場の空気が止まり

「これで治せるのか?」

ブランは、何が起こったかわからないという顔をしていた。


「ほぉー!やるじゃねぇか!

ケチかと思ってたけど見直したぜ」

と武器屋のおっさんが言うと

「そうかそうか」

「漢だ」

「俺は男だぁぁぁあ」

と、皆が声を上げ始めた


そして、男どもは自分の身ぐるみを剥がされた事を思いだし

悔しさを肴に飲んだ


―――――――――――――――――――――――――――――

【回想終わり】


…結果がこれか。


俺の装備はブランのもとにあるのか

でも、キリヤの話しだと自分から渡したみたいだしな

知らないやつに盗まれるよりはマシか


「まあ、元々何がなんだか分からず

ラッキーで手にいれたお金だし

狐に捕まれたと思って諦めよう」


博史:

武器: 呪いの短刀(テッシン作)

防具: パンツ一丁


「良かった」と思ってくださったら

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筆者が泣いて喜びます。


その他の作品も読んで頂けると嬉しいです。

【最恐オーガは他種族女子と仲良くなりたい】

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