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『酒乱』というゴミスキルで追放された俺、実は酔えば無双する最強勇者だった 〜美少女たちとスローライフ…を目指してたのに、記憶にないけど目が覚めたら相手をボコボコにしてたので英雄に祭り上げられる件  作者: あいだのも
第八章 転生者による反乱のロマネンド

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第七十四話 酒が好きな人は欲望に忠実

ヤマトの国を出て、西へ向かう旅路。


旅の道中、シューティングスターの酒を買う商人たちから、ロマネンドの情報を聞いた。

見えてきたのは、絶望的な国の姿だった。


クリス王女が誘拐されたのを機に、第一王子と教皇が結託し、国王を監禁。

教皇といえば、あのふんぞり返っていたタヌキだ。


兄といえば、俺たちが謁見した時に、明らかに不満そうな顔をしていた、あの男。


だが、彼らは、俺たちの想像を遥かに超える「切り札」を手に入れていた。

『雷光』――異世界から来たという、転生者のパーティを味方につけたのだ。


「…現在、彼らは反乱軍の象徴として、民衆から英雄として扱われています」

旅商人の一人が、そう語っていた。


「表向きはブラックリストに載っていますが、第一王子が正式に王位を継承すれば、彼らはこの国の新たな守護者として、歴史に名を刻むことになるでしょう」


ロマネンドに集まった冒険者たちも、旧体制の国王につくか、勢いのある反乱軍と「英雄」につくかで意見が二分し、国は完全な内戦状態に陥っているという。


ある夜、焚き火を囲みながら、フローレンが珍しく後悔を滲ませた声を漏らした。

「…私が、あの時、国に残っていれば…こんなことにはならなかったのかもしれない」

「そんなことないわ」

その言葉を遮ったのは、マリーだった。


「フローレンちゃんでも魔王相手では何も出来ないわ。

結果は同じ。

すべては、起こるべくして起こったこと。

誰もが、自分の欲望と野心という『タイミング』を見計らって生きていただけ。

あなたのせいじゃないわ」


マリーの言う通りだ。

たとえフローレンがいたとしても、全ての黒幕が仕組んだことであれば、クリスの誘拐は防げなかっただろう。

もし、彼女が戦いで深手を負っていたら、状況はさらに悪化していたかもしれない。

結局、教皇やクリスの兄が野心を持っている限り、この国は、いつかこうなる運命だったのだ。


それにしても、転生者のパーティ、か。

噂には聞いていたが、俺が直接会った転生者は、水月だけだ。

そして、俺たちのスキルは、俺の『酒乱』に、水月の『キャベツとレタスを見分けられる』という、お世辞にも戦闘向きとは言えないものばかり。


水月は、転生する前からチート級の実力があったから例外だ。

やはり、物語の定番通り、普通の転生者は、何かとんでもないチートスキルを持っているのだろう。

(…勝てるのか? 俺たちに)

不安が、胸をよぎる。


俺は、その不安を振り払うように、固く拳を握りしめた。



数日後。

俺たちが再び踏んだロマネンドの土は、記憶にあるものとは、全く違う空気に満ちていた。

道端には、内戦で傷ついたのであろう兵士の姿が散見され、街々の活気は失われている。代わりに、そこかしこで不穏な噂話が囁かれていた。


「聞いたか? 王子様が呼び戻した新しい『勇者様』たちのこと」

「ああ、なんでも『雷光』とか言ったか。彼らが来てから、反乱軍は連戦連勝らしいぞ」


人々は、顔を曇らせながらも、その瞳にはどこか狂信的な光を宿していた。


自分たちの手ではどうにもならない国の危機を、外から来た都合の良い「英雄」に丸投げし、その奇跡を盲目的に信じ込んでいる。

そんな、不健全な熱気が、国全体を覆っていた。


「…なんだ、この雰囲気は」

キリヤが、心底嫌そうに吐き捨てた。

「英雄? 馬鹿馬鹿しい。俺たちの仲間が攫われてるってのに、呑気なもんだぜ」


「よぉー!!!

博史、キリや!!

マリーにブランに槍の衛兵ねぇちゃんまで!

久しぶりじゃねぇか!」

建物の中から声を掛けて来たのは武器家のおっさんだった

店には「休業中」の札がかけられていたが、俺たちの顔を見ると、親父は慌てて中に招き入れてくれた。


「そんなとこつったってねぇで

早く家に入りな!」


中に入ると

隣にはお腹を大きくした小太りの女性がいた


「おー!!

おっさん!おめでたか!!」


「ああ、実際こうしてみると責任というか重いものを感じるな

だからな、お前ら、この子の為にもこの国を何とかしてくれねぇか?」



オヤジは声を潜めて語り始めた。

「街は、王子様と教皇様の息がかかった連中と、新しい『勇者様』に心酔した奴らで溢れかえってる。国王陛下に忠誠を誓う者は、皆、反逆者のレッテルを貼られて地下に潜っている状態だ」


「その勇者パーティってのは、一体何者なんだ?」

「…分からねぇ」

と、親父は首を横に振る。

「見たこともないような強力な魔法で、反乱軍の劣勢を一気に覆しちまった。

今じゃ、民衆は完全に奴らを救世主だと信じ込んでいる。だが…」

親父は、店の奥を見やり、声をさらに潜めた。

「…俺には、どうも胡散臭く見えてならねぇ。

奴らの言う『正義』は、あまりにも口当たりが良すぎる。

まるで、芝居のセリフを聞いているみてぇだ

何でも、神話の勇者と姫の子孫だと」

皆でブランの顔を見る


あのときのブランの弟か

一族ということは売ったはずの家族も参加しているということだ


俺も心配してブランの顔を見る

「あたしはもう縁を切って生まれ変わったんだ」


「お前らの反応的に驚く事でもないのか

しかし、魔王が姫を拐い、継承者争いなんてそれこそ神話の話じゃねぇか

どうなってるんだ?」


その時、店の奥から、見覚えのある顔が姿を現した。


ロマネンドのギルドマスター。クリスの叔母だ。

彼女は、国王派の残党をまとめ、反撃の機会を窺っていたのだ。

「…シューティングスター…あなたたちでしたか。

よくぞ、戻ってきてくれました」


彼女の瞳には、深い疲労が宿っていた。

「国王のおっさんはどうしたんだ?」


「公式には『魔王に誘拐された』と発表されています。ですが、私たちが掴んだ情報では、彼女は、第一王子たちが計画している『戴冠式』の日に、見せしめとして公開処刑される、と…」

ギルドマスターは、悔しそうに唇を噛んだ。


「なんだと!?」


「その戴冠式で、第一王子は、自らが新たな王となることを宣言し、『雷光』を正式な国の守護者として任命するつもりです。もはや、一刻の猶予もありません」


俺たちは、顔を見合わせた。

状況は、最悪だ。

だが、やるべきことは、一つしかない。


「…話は分かった」

俺は、静かに言った。


「どうしますか、博史くん。

 正面からぶつかるのは、得策とは思えませんが……」

ルサーリカが、不安げに俺を見る。


「外が騒がしいわね」

水月がそう言うと外を見た

怒号と爆音が交錯し、兵士と冒険者たちが入り乱れていた。

瓦礫の向こうから火柱が上がり、街の鐘が絶えず鳴り響く。


俺たちは人気のない裏通りの武器屋に避難していた。

剣と盾が乱雑に積まれた店内、埃と鉄の匂いが鼻を刺す。


「王国軍と……冒険者が戦っている?」

キリヤが眉をひそめる。

「どっちが敵なんだよ、これ……」


その時、バァンッと扉が開いた。

風と土煙が店の中に吹き込む。


「おい、おっさん! 武器くれ――」

乱暴に叫びながら入ってきた男が、俺たちを見て目を見開いた。


「……って、よぉ! キリヤとヒロシか!

 お前らも来たのか!」


「お前は……酒場の寄生虫、ボッケンドンボンか。

 なんで軍と戦ってる」


「寄生虫はやめろ! ちゃんと自立してるっての!」

ボッケンは乱れた髪をかき上げながら、

背中の斧をドンと床に置いた。


「……俺たちは今、“新生勇者パーティ”の支援側についてる」


「新生勇者パーティ……?」

ルサーリカが顔をしかめる。


「おいおい、知らねぇのか。

 王国軍はもう古い。

 新しい勇者たちは、自由だ。

 あいつらは俺たちみたいな下っ端の冒険者をちゃんと扱ってくれる。

 酒、女、タバコ、ギャンブル――欲しいもんをくれるんだ。

 “戦う代わりに自由をやる”、そう言われりゃ誰だって乗るさ」


ボッケンは笑いながら、床に座り込んだ。

その笑いは軽かったが、目の奥はどこか疲れていた。


「……つまり、王国軍を裏切ったってことか?」

俺が問うと、ボッケンは肩をすくめる。


「裏切り? 違うな。

 俺たちは初めから、誰にも信じられてなかった。

 使い捨ての駒にされてたんだ。

 なら、今度はこっちが使ってやる番だろ?」


キリヤが苛立たしげに拳を鳴らす。

「そんな理屈で戦うから、街がこんなになってんだろうが!」


ボッケンは目を細めて笑った。

「そうかもな。でもよ……

 “手のひらで転がされてても、

 その手のひらが心地よけりゃそれで充分”ってやつだ」


沈黙が落ちた。

外では、また爆発音が響く。

窓の外を、煙にまみれた冒険者たちが走り抜けていった。


「……ボッケン、お前、それで本当にいいのか?」

俺は問う。


彼は少しだけ笑みを和らげた。

「いいか悪いかなんて、もう誰もわかっちゃいねぇよ。 」


その言葉に、胸の奥がざらついた。

「……そうかもな

だが、クリスと王様は俺の飲み友達だ、ほっとけはしない!」


そう告げると、ボッケンは一瞬だけ目を丸くし、

そして苦笑した。


「……相変わらずだな、お前。

 そういうとこが気に入られて、損するんだよ」


外で、号令の声が響いた。

ボッケンは立ち上がり、斧を背負う。


「行くぜ。俺には俺の戦場がある」


「ボッケン!」


振り返らず、彼は片手を上げた。

「生きてたら、また飲もうぜ。……おごりでな」


そして、煙の向こうへ消えていった。


武器屋の中には、焦げた鉄と汗の匂い、

そして残響のような静けさだけが残った。


外の空が赤く染まり、

ロマネンドの夜が、ゆっくりと崩れ落ちていった。


――そして夜が明ける。




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筆者が泣いて喜びます。


その他の作品も読んで頂けると嬉しいです。

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