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「酒乱」スキルで異世界生活!? 記憶をなくしたら勇者になってました  作者: あいだのも
第五章 情熱の国バニッシュ
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第四十一話 記憶がないうちに魔龍を討伐してしまったようだ



「それで、何で遅いんですか?

二人で任務を受けにいってきて

受けた任務が闘技場の来週の掃除の任務と魔龍の討伐ですか…?」

ルサーリカは博史とブランを正座させる


「あ、いや、」


「博史、あなたに言ってません

貴方がそうゆう人だとは皆知っているので

だからもう一人ついて行って難しい任務も受ける様に説得するんですよ

ブラン」

流石のブランもルサーリカには何も言えない


「おお博史!魔龍の討伐なんてやる時はやる男だな」

キリヤが茶化す


「キリヤ黙っていなさい」


「は、はい…」

このパーティで一番怖いのは

マリーでもキリヤでもなくルサーリカだ


「まあ、まあルサーリカちゃん

ブランは博史と二人で街に行きたかっただけなんだからね」


マリーにそう言われると

「な、ちがっ」

ブランは顔を赤くして反論しようとする

(…違わない、けど…!)


「まあ、内部で揉めないのなら

そこを追及するつもりはありませんけど

今日はもうギルドはやっていないので

どうしようもありません

魔龍の討伐は一日では終わらないでしょうし…

清掃の任務は一週間後…」


「ルサーリカちゃん

足りないようだったら

マリリンのお金使う?」


「いえ、金銭的な事こそ

もめ事の一番の原因なので…

明日まで見張り番以外飯抜き

自由行動にすれば持ちそうです」


「お、おい、俺ら飯抜きなのかよ!?」


「キリヤ、貴方のせいですからね…」

ルサーリカが博史たちに叱るのとは別格の怒りの表情をする


「す、すまん…」

キリヤはルサーリカの剣幕に冷や汗をかく

てか、キリヤが謝っているところ初めて見たな




日も暮れだし

多くの人達が空腹に耐え動きを最小限にとどめている中

マリーが博史に近づいて来た


「いつ散るかわからない

剣士たちの最後かも知れない熱い夜 

燃えるわね 

博史くん今夜は一緒にのみ行くわよ

あなたも腹ペコでしょうおごってあげる」


「ちょっと、マリリン」

ブランが焦って問いただす


「大丈夫よ、ブランちゃん

身内に手は出さないから

この国だと博史くんと飲みに行ったほうが

他から声がかかりそうだから

(小声)この国の女の子は捨てられた男に群がるそうよ」


その夜

一緒に飲んでいたはずのマリーは

すぐに夜の街に消えていき


博史はほぼ何も食べる事すらできず

他に特に何も起こらず

帰って寝たのだった





翌日博史たちは腹ペコのまま

魔龍の討伐へ火口に向かった


魔龍は火山活動そのもの。

活性化することで火口の爆発が頻発し

大量の溶岩流がふもとの村へ迫りつつあった。

放っておけば

この国そのものが危険にさらされるほど危機感を感じる。


険しい山道を進むにつれ

地面が次第に黒く焼け焦げ

ところどころから煙が立ち上る


途中、火山トカゲや炎狼が襲いかかり

激しい戦闘を繰り広げながら前進する。

「クソ、魔物ばっかりじゃ

食えねぇじゃねぇかよ」


「ドラゴンは食べれないのかな…?」


「食べれるわけないでしょ

グリフォンで痛い目みたじゃない」


「いや、でもドラゴンやこの火山トカゲは魔物というより

爬虫類というか動物じゃないのか?」


「…そうだとしても諦めるネ

本職のチェンマンも居なければ

器用なミーナも居ない

マリリンが居なければ火も起こせないネ」


「くっそー」


山頂へ近づくにつれ

溶岩が激しく流れ落ち

時折、空から炎の塊が降り注ぐ。


「気をつけろ! いつ溶岩が落ちてくるかわからない!」


パーティの誰もが空腹と疲労で限界に近かった。

「マリーが居ないと…」そんな弱音が漏れる。

マリーはどれだけ熱い夜を過ごしたのか、不在だった。

そもそも、彼女はお金に困っていない



大地が震え、火口から轟音が響く。

そして——巨大な影が姿を現した。

紅蓮の瞳を輝かせる火山の魔龍が、こちらを睨みつけていた——。

魔龍は博史たちの存在に気付くと火口から山頂へ飛び立った

「お、おいでけぇぞ届かねぇぞ」


「遠くてあたしの魔法も届かない」


『人間よ』

魔龍が言葉を発した。


次の瞬間、豪炎が博史に迫る。

「博史ー!」

ブランが叫ぶ。


博史の着ていた鎧は粉々に砕け

衝撃が身体の内部まで浸透していく


「ひ、博史…

大丈夫か、死ぬな

マリリンが念のためって

持たせてくれた回復薬だ

早く飲むんだ」


博史の意識が途絶えそうになる

ブランが横たわった博史に

ビンに入った液体を飲ませる


「おい、ポンコツブラン

博史に何を飲ませているんだ!?

お前、それ回復薬じゃなくて

酒だぞ!」



――――――――――――――――――――――――――――



気が付いたら目の前に魔龍が倒れていた

確か、ブランに回復薬と間違えて酒を飲まされたんだっけ…

少量だったから直ぐ正気に戻ったのか?

「痛ゥッ」

全身に痛みが走る


「おい、博史大丈夫か?

それにしてもあの魔龍をやっちまうなんて」


「キリヤ、何があったんだ」


「お前この短時間でも記憶がねぇのかよ!?」



――――――――――――――――――



酒を飲んだ博史は体中激痛の中静かに立ち上がった

『むぅ、まだ立ち上がるか…ならばもう一度』

豪炎が博史に迫る…が博史の目の前で爆炎は霧散した。


「ひ、博史、お前、魔龍の息吹をふっだけで…」


『何が起こったか知らぬがこれなら!』

魔龍は近づき尻尾を大きく振り回し博史に向けて放った

その尻尾を博史はなんと片手で受け止めた


『な、なんだと』

魔龍は動揺して飛び立とうとするも

博史は尻尾を掴んで逆に振り回し地面に叩きつけた

『グゥオオオ…!』


魔龍は尻尾を自切して大きく羽ばたき空へ逃げる

『な、何なんだあの人間は…』


博史は手に残った尻尾をとてつもない回転を掛けて魔龍に放った


ビッッュュ!聞いた事もない風を切る音が鳴り

周辺の大気がビリビリと振動し

尻尾は鞭の様に魔龍の背に激突すると

バキバキバキッっと骨が砕ける音がここまで聞こえてきて

魔龍は地に落ちた


もはや言葉すら発せなくなった魔龍にとどめを刺したんだ


―――――――――――――――――――――――

「息吹をふっとか子のでかい図体の尻尾を止めるとかあるわけないだろう

全く、キリヤはいつも面白い事を言ってくれるなー」


まあ、俺が瀕死の間に皆が協力して倒してくれたんだろう

にしても、SSランクのモンスター討伐

そういえばこの世界は

魔物の素材の扱いが無い

防具のランクは布→皮→金属と

高級な素材は金属等鉱石で作られている


魔龍の蹄、魔龍の鱗、魔龍の牙

普通ならレアなアイテムになるだろう


特にこの魔龍の鱗など聞く話によれば

魔法攻撃を弱め

かつ、この固さだ

上半身の装備に使ったらさぞ強いだろうが…


「なぁキリヤ

この魔龍の素材を持って帰って

防具に出来ないかな?」


「ははは

お前本当に面白いな

そんなこと考えたことも無かったぜ

確かにこれほどの素材だったら

強い装備が出来そうだな」


「ダメネ!!

魔物の素材を使うと不幸になるネ」

メィェンタオは意外におばあちゃんの知恵というか

迷信というか良く知っているな


「それは根拠の無い噂だろう?」

でも、確かに使って不幸に等なりたくないな


「そうなのか?

確かに魔物で何か物を作るのは考えたことなかったけど

メィェンタオ、君の靴だって動物の皮を使ったものだろう?」


「博史なら大丈夫だわ」

ブランの根拠のない自信がより恐怖を掻き立てる


「あちきは何があっても知らないネ」


止めようかと思っていたら持って帰る流れになってしまった…


魔龍の角なんて家に飾ったら映えそうだし

最悪マニアみたいな人を見つけて売れば良いか


とにかく身体が痛い

早く帰ってマリリンに土下座してでも回復魔法をかけてもらおう



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