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「酒乱」スキルで異世界生活!? 記憶をなくしたら勇者になってました  作者: あいだのも
第四章 妖精が集う水の都マリチア

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第三十二話 隠密のリザリー


「マリリンもお出かけしてくるわね」


「おっさん狩りかよ」


「もう、火照っちゃって限界なのよ…

このままだとミーナちゃん辺りを襲っちゃうかもしれないから」

それを聞いてミーハーのミーナは身震いをする


「冗談よー

身内の色事は御法度だもんね」


「あたしも買い物いく」

ブランが突然言い出した


「ちょっとブラン一人でどこいくの」


「やめろ!ポンコツ絶対に迷う」

キリヤが止める


「あんたに言われたくない」

とはいえ最近ブランのポンコツぶりが加速している

料理しようとすれば

異世界物を作り出す

一人で歩けば棒に当たる


「余が付いていきます」

そう言いだしたのは隠密のリザリー

彼女は謎が多い

隠密という事もあって普段から無口で

街に着くと寝るとき以外は別行動

同じパーティ内で一番距離がある


しかし、リザリーとミーナは元からブランの部下だった

家柄なのか身分なのか二人はブランを特に目に掛けている

ある意味彼女らがいるからブランがポンコツになったと言っても間違いではなさそうだが


「リザリーあたしは一人で買い物に行きたいんだけど」


「駄目です、貴方に何かあっては余は居る意味がありません」


「分かったわよ…

あ、そうだ」

ブランが俺に近づいて来て耳打ちで


「(リザリー打ち明けてないけど今日誕生日なのよ

折角だからサプライズでお祝いしよ)

じゃあ行くよ」

と言って行ってしまった


「博史何言われたネ?」


「リザリーの誕生日だからお祝いしようだって…」


「はぁ、あのポンコツ

何時間買い物行く気なんだ

全く…もう少し考えろよな」

悪ノリのボリスが正論を言う


この世界だと自分の誕生日や年齢を知らない人も多い

知っている人は飲む口実位でしか誕生日を使って来なかった


とはいっても、リザリーはここまで全く酒を飲んでいない

彼女の振舞いは酒が好き嫌いというより

ブランの護衛任務をこなしている感じに近い


「俺らもリザリーと距離があるからな

誕生日パーティ…出来るとこまでやらないか?」


「いや、いいよ…

あの子昔からあんな感じだし」

そういったのはミーナだ

ミーナは俺の道具つくりの手伝いをしてくれたり

飲み会にも積極的に参加したり

パーティに打ち解けている


「やるのはいいけど誕生日パーティっていつもの誕生日飲み会と何が違うんだ?」


博史はチェンマンたちが屋台で売るスイーツを見た

屋台という事で芋とバターと砂糖で出来る、片手で持てるスイートポテトの試作が作られている


「俺らの世界だと誕生日にケーキを食べるのが習わしなんだけど…」


「げ、酒とケーキかよ…」


「ケーキか…買い出しで買ってないから果物系は無いぞ」


「スイートポテトをホールケーキにしよう

生クリームでデコレーションして

酒に漬けてある果物をトッピングしよう

果物のジャムで文字も入れようか」


「ほう、面白いな生クリームってなんだ?」


「生クリームは牛乳の乳脂肪分を分離させて作るんだ

それを泡立てて撹拌すると固まってデコレーションが出来る」


「キリヤ出番だぞ」

チェンマンが牛乳の入った容器をキリヤに渡すとブンブンと振り始めた


ミーナが野営にも飾り付けを施していく

こういうことは前世ではリア充がやっていて俺とは関係ないと思っていたが中々に楽しい







いつの間にかマリーが帰ってきていた

「居たのかマリー

今日は帰ってこないかと思ったぞ」


「ずるいわよ博史、こんな宴会があるならマリリンにも言ってよー

マリリンを除け者にするつもりだったの?」

と頬を膨らましぷんぷん怒っている

甘いものと酒の組み合わせをずっと言っていたのもマリーだった


「マリーが行ってから決まったんだよ

てか、俺らはマリーが色事を持ち帰ってくる方が良くないだろ」


「それもそうねっ」

と再びケーキのほうに戻っていってしまった


「リザリー喜んでくれるかな?」


「どうせ余は任務に必要ないことは要らないとか言うと思うよ」

とリザリーをよく知るミーナが言う




日が暮れる直前にリザリーとブランが帰ってきた


「ハッピーバースデーリザリー!!」


「どう?リザリー今日はあんたの誕生日でしょ」

何故かブランが我が物顔でいう


「余はブラン様に仕える為に生まれてきた

このようなことは必要ありません」


「ほら、言ったじゃん

リザリーの家はそうゆう家なの」


「ちなみにうちは身の回りの世話を担当してる」

確かにミーナは俺の製品を作ったり

アドバイスをしてくれたり

器用ななんでも屋さんみたいな雰囲気がある


「…このようなことをやってくださりありがとうございます

でも自分の感情は分かりません

弟様の一件を経てブラン様を守ることは

敵や外傷から守るだけではないということを学びました


余は酒は飲めませんがケーキを少し頂きます」

リザリーはケーキを小さく一口食べると

初めて少しだけ表情を緩ませ


「美味しいです」

と言った



リザリーは、生まれた瞬間から"影"として生きる運命を背負っていた。

ロマネンド王国の外れ

ブラン、ミーナ等たった数家族の狭いコミュニティ

彼女の一族は隠密を担当していた。

生まれた子は五歳になると感情を捨てる訓練を受け、間諜スパイ、潜伏者へと育て上げられる。

漆影も例外ではなかった。幼い頃から、痛みや恐怖を制御する訓練を受け、感情を押し殺し、ただ影として生きる方法を叩き込まれた。父は言った。

「心は不要。影に迷いは許されぬ。」


十五歳。彼女は正式な隠密として認められ、最初の暗殺任務を行った。

フローレンが守りならばリザリーは攻めの警備


博史からちょくちょく隠密について聞かれる

だが、博史のあれは暗殺よいうより戦闘の中の暗殺スキルのようなものだ

リザリーには戦闘能力は皆無


そんなリザリーは自分の事を疑問に思ったことが無かった

何も思わず何も感じずブランを守り生きて死ぬことしか頭には無かった。


そんなリザリーが自分の人生に疑問を持つようになったのは割と最近

このパーティに入ってからだ


誰かに何かを言われたからではない

皆がバカ騒ぎしているのを羨ましく思ったからではない


”暇”なのだ

隠密と言いながら何かトラブルになりそうなのは

フローレンやマリリンが先手を打って終わらせる


リザリーは戦いは足手まといになる

戦闘は博史たちがあっという間に終わらせてしまう


自分自身、隠密と言いながら仕事、危険がほとんどない

良いか悪いか分からないが、暇は思考の時間を与えた


まだ特別何か変わったってことはないが

ケーキと酒が美味しいと感じれるようになった


「良かった」と思ってくださったら

是非ブックマーク、★★★★★をお願いします。

筆者が泣いて喜びます。


その他の作品も読んで頂けると嬉しいです。

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