第二十一話 獣族女流剣士に求められているものとは
俺らはまた追い出されるかのように
アルブジルをあとにする
今回は特別悪い事はしていない
『氷の刃』の女の子を剥いてしまった事位だ…
まあまあ悪い事なのかもしれない
今回は受付のお姉さんを一度しか拝めなかった…
名前すら聞けなかった
思い出にあるのは緑の見せ見せブラだけ…
こんなことなら
もっとあのブラを目に焼き付けておくんだった
「フローレン
故郷に帰らない?」
突然マリーが言い出した
「ひゃっ」
ヤバい変な声が出てしまった
エロい事を考えている時
マリリンの声を聞くと
全てを見透かされているようで
心臓が止まりそうになる
フローレンは一目
奇声を上げた博史の方を向き
マリーの方に向き直り
「マリリン、なぜだ
私はもう自分の過去に見切りが付いた
今更帰るつもりもない」
「違うのよー
あなたまだ『戦礼の儀』を受けてないでしょう?」
「戦礼の儀なんだそれ?」
「獣族が一人前の戦士になるのに行う儀式よ
儀式をすると
満月かある香りを嗅ぐと
意識を無くして
けた違いに強くなり
暴れるのよ」
あれか、狼男的なやつか
ただでさえ強いフローレンが
より強く意識無くして暴れるのは怖すぎる
「…今の私じゃ役不足か?」
「そういう意味じゃないわよー
この前のテッシンみたいなのは
どうしようも無いにしても
強敵とかち合った時
戦力はあった方が良いでしょー?
この国の近くでしか出来ないしねー」
確かに戦力は有るに越したことはない
そもそも急ぐ旅でもないし
まだ資金の余裕もある
アルブジルの物価はかなり安い
「どうするフローレン?」
「博史
お前は人に意見を求めるのが好きなのだな」
やべ、優柔不断なのは良くない所だ
「頼りなくて申し訳ないね」
「いや、群れのリーダーに必要なのは
実力と人柄だ
それらが無いリーダーは
即断即決が出来ようとも
付いてくる者は少ない」
俺は全部無い気がするんだが…
「私が強くなる事がこのパーティに必要なら行こう」
「フローレン生まれた場所は分かるのー?」
「いや、もう覚えていない」
「じゃあ外の者にも比較的
オープンな部族に行ってみましょう
オープンだけど人が寄り付かない奥地
隔離された文化は
そうそう変わる物じゃないからねー
どう、博史?」
「お、おう
でも、他の皆はいいのか?
結構遠回りすることになるが」
「どうせ、目標はあっても目的ないしな」
「それに他に帰る場所なんて無いしね」
ロマネンドからアルブジルまでは
熱帯雨林の中に切り開かれた道があった
この先進んでいくのは道なき道
比較的障害が少なそうな獣道を歩いていく
濃密な緑が広がる
ジャングルの奥地を進む
木々がさらに密集し
昼間にもかかわらず
薄暗い影が広がっていた
葉の隙間から漏れるわずかな光が
かすかな光の筋となって
地面を照らしていた
ジャングルの奥深くを進むと
茂みの向こうに突然広がる光景
木々と蔓に隠されるようにして築かれた
隠れ里のような集落が存在していた
集落は巨大なバオバブの木を中心に広がっていた。
太い幹には木の家が何段にも渡って作られており
木の枝から吊るされた吊り橋で各家がつながっていた
橋は蔓や織られた縄でできており
風が吹くたびにきしむ音を立てていた
陽光が葉の隙間から差し込み
橋や家の壁面に模様を描いていた
屋根にはヤシの葉やバナナの葉が編み込まれ
雨を防ぐ工夫が施されていた
門の前にある見張り台の上には
竹の槍と弓矢が並べられており
周囲にはジャングルの野獣の骨が吊り下げられていた
木の上の見張り台の上に居た若者が
こちらに気付き村の者に合図する
「止まれ、何の用だ?」
村の入り口で衛兵に止められた
「マリリン行ってくるねー」
マリーは衛兵の方へ向かっていき
衛兵に何か見せると
衛兵は見張り台の一人に合図し
俺らについてくるように言った
中央の広場には大きな石製の祭壇 が鎮座し
その周りを囲むように長い木のベンチが置かれていた
祭壇の上には動物の彫刻が施されたトーテムが立ち輝いていた
広場の片隅に
火を焚いて調理をしている集団がいる
鍋の中からは香ばしい香りが漂い
スパイスの香りが辺りに立ち込めていた
魚の切り身や果物が並べられ
若者たちが器用に葉で包みながら調理していた
椰子の実をを手にした子供たちは
はしゃぎながら小川で遊び
笑い声を響かせていた
気候はアルブジルと似ているが
雰囲気はまるで違う。
暫く歩くと
体中にタトゥーが入り
葉巻を吸っている
大男の獣人が立っていた
彼の髪は灰色の長い編み込みとなり
鳥の羽根や色とりどりの石が織り込まれていた
耳には黄金と骨を組み合わせたイヤリングが揺れ
動きに合わせて微かな音を立てていた
衣服は動物の皮と植物の繊維で作られており
模様が刺繍されていた
彼の手には杖が握られ
杖を突き立てるたびに
杖全体がかすかな緑の光を放つ
暫く歩くと、体中にタトゥーを入れ、
葉巻をふかす大男の獣人が立っていた
「すー
やぁー
どーもぉ
おいらはハヨォーヨ
この集落のシャーマンさ
すー
儀式をやりたいっていうのはきみかー
こんなに固くて強いのに
それ以上強くなって大丈夫かねー」
ハヨォーヨは自然な全く無駄のない動きで
フローレンのおっぱいに手が行った
「刺す♥」
「ぐほっ」
フローレンはおっぱいを触られたまま
槍を最短距離でハヨォーヨの腹に突き刺した
「マリリン治す―♥あん」
マリリンが手をかざすと
貫通した腹が一瞬で元通りなった
「お、俺様も刺されて良いから
おっぱい触るー♥」
キリヤの手がフローレンの胸に届く寸前
「身内の色ごとは禁止よ」
マリーの鉄拳がキリヤを潰した
「強くなって大丈夫かってことは
やっぱりリスク、あるんだな」
「すー
ぷはぁー
リスクっていうかねー
君たちが獣化の状態の彼女を止めるんだよー
彼女がコントロール出来るまで
止めるんだから
むしろ君たちが心配だよー」
いや、聞いてないぞ
てっきりゆっくり確実に安全に
力を得るための儀式かと思ってたのに…
暴れたフローレンを止めるなんて出来るのか…?
「じゃあ、傷付ないで止めるって事はー
ブランちゃんが頑張んなきゃいけないんだー」
「は?あ、あたし?」
「そうか、頼んだぞブラン」
フローレンもそれなら大丈夫
とばかりにブランの肩をポンと叩く
「なんでフローレン
そんな乗り気なんだ
てか、マリリンもやるんだろう?」
「マリリンは疲れちゃったから休むのー
だってほら
帰りも魔法使わなきゃだし」
まあ、あんな魔法が誰でも使えるんだったら
ジャングル越えも楽だもんな
「すー
決まったねー
運がいいか悪いかー
満月が近いから
儀式は明日ねー
ゆっくりしていくといいよー
あ、そうだフローレン
処女だよねー」
「貴様、また刺され♥たいのか」
フローレンは少し顔を赤めながら
ハヨォーヨの腹に槍を構える
ハヨォーヨは一切動じず
葉巻を吸い
「すー
違うよー
女が戦士になる場合は少し特殊な伝統でねー
戦士の間は伴侶を持たず
戦神に女を捧げるんだー
その証として口噛み酒といって
女が噛んで吐き出した米を発酵させるんだ
その酒を次に受け継いで
儀式を受ける人皆で飲むんだよ
処女じゃないと酒は発酵しないから
これまでの伝統は台無し
見返りに災いが起こると言われているんだー」
「お、俺らも女の唾液を飲めるのかぁあああー」
俺も一瞬ドキッとしてしまったが
キリヤみたいに言葉にすると
流石に気持ち悪いと思ってしまう
「すー
代々つぎ足すからねー
ぷはぁー
それに酒になるんだから
唾液なんてあってないような物だと思うよー
ほら、門の前に立っていた彼女が
君の前に戦礼を受けた人
女の戦士は君で7人目」
「皆少しは嫌がるもんだけど
嬉しがるって
もの好きね」
門の前に居たのは腕が丸太位ある
中年のゴツイ獣族の女性だった
彼女が洗礼をしたのは若い時
華奢で可愛い獣族の時
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