第二話 お嬢様は宴会と冒険に憧れを抱く
再びギルドに戻ってきた
一日たっているが
夜の記憶が無い分
また来たかと感じる
キリヤにお姉さんでセンズリここうとしていたと
白状してしまったため
こうしてお姉さんと顔を合わせるのに
若干の気まずい
「おや、最低キリヤさんにえーっと…
(なんだっけこの地味な人の名前…
まあいいや…)」
お姉さんの言葉が
気まずさを吹き飛ばしてくれた
どうやらキリヤは
俺が知らないところでもっと凄い事をしていたらしい
「最低キリヤって
ギルドのお姉さんも
口説こうとしたのか?」
「うるせぇぞ博史
振られた女の前で『も』とか言うな!
可愛い女の子が居たら
口説くのが当然だ!
相手への敬意ってもんだ」
キリヤにはキリヤなりの
歪んだ敬意の表し方があるのだろう。
「(博史って言うのね
地味だから覚えれないや)
昨日はお疲れ様でした
二日連続で働くなんて
真面目ですね」
この世界の冒険者は
連日で任務を行う事は無いのか
本当に良い世界に来たな
まあ、俺にはモンが一モンも無いから
働くしか無いんだが
「昨日の分は
飲み代に消えてしまったので」
「それでしたら
Dランクの討伐任務が出来ますが…」
お姉さんが任務の紙を机の下から
出そうとしたのを俺は慌てて止める
決して一時停止させた隙に
肌色にうっすら血管が浮き出た
肉感的な美しい胸を見たかった訳じゃない
嘘だ
見たかったのは本当だ
「いや、昨日と同じEランクの簡単な任務でお願いします」
出しかけたDランク任務の紙を出させまいとし
お姉さんの細く華奢な手に
触れてそうになって
反射的にパッと手を引く
「…でも、こっちの方が報酬が…」
自分の実力は分かっている。
記憶にはないが、キリヤに勝ったとはいえ、
新人冒険者同士のただの喧嘩だ。
それで調子に乗ってモンスター討伐にでも行こうものなら、
死んでしまう。
死んでは元も子もない。
「(なにかしら
この人、変人なのかしら)
…分かりました
それでしたら
Eランクの任務になります
今日も新人さんが居て
その方と一緒に任務して頂く事になります」
「分かりました」
今日の任務は道の掃除
集合場所に行くと
上品な雰囲気の女子が立っていた
白銀の髪に、毛先だけが薄ピンクに染まっている。
瞳は美しい朱色の目
豪華な装飾だけ取り外したような服装は
見る人が見たら
性能以上に高額だと分かるだろう
貴族の新米冒険者だろうか
キリヤは彼女と任務と分かると
腰を振りながら
口説きにかかった
「君が新米冒険者だね
俺はキリヤ
手取り足取り股とり
教えてあげようか
あはははは」
初対面で
動きと言葉のダブルパンチ
下ネタをぶっこんで来るとは
キリヤがこの顔でモテないのが分かる
おそらくギルドのお姉さんにも
同じことを言っていたのだろう
センズリここうとしていた事で
ビクビクしていた俺が
宇宙のチリ程に小さく見えた
童貞の俺が言えたことではないが
てか、俺らも新米冒険者だろう
彼女は美しい朱色の瞳で
キリヤを下から舐める様に見て
「お初にお目に…
ご機嫌よう…?
こ、こんにちは私はクリス…だ」
上品な言葉使いを
無理にくだけた口調に直している感じで
受け答えした
お兄ちゃんと呼んで欲しい
「お兄ちゃんと呼んでくれて
良いんだぜ」
俺の言葉じゃない
キリヤがさわやかポーズで言うと
みるみるうちに
クリスの顔が不機嫌になっていった
「私の兄はクズなのですが
それでも良いのですか?」
キリヤの事だろうか
いや、おそらく違う…
違くはないが
キリヤも背筋を伸ばした
「どこかいいところのお嬢様ですか?
道路の補修任務だと
ドロドロになってしまうかもですけど
大丈夫ですか?」
「ドロドロですか!…っと
ぜ、全然大丈夫です!
私は冒険者ですから!」
頬を赤め
興奮し
にやけ引きつる顔をし
クリスが答える
ドロドロになると聞いて喜ぶなんて
貴族のお嬢様が好奇心と刺激を求め
冒険者になったか
もしくはとあるアニメキャラにいた
背徳感に性的興奮する変態だろうか
どっちも何回かお世話になったことがある
「そうですか
それではとっとと終わらせてしまいましょう
もしよかったら
終わったら一緒に飲みませんか?」
「の、飲みます!」
顔をクリスは輝かせて答える
良かったか残念か
冒険者に憧れる前者のようだ
そうしてドロドロになりながら任務を終え
前回と同じ酒場に向かった。
―――――――――――――――――――――――――――
目が覚めたら森の中
隣には、服がボロボロになったクリスが、
スヤスヤと気持ちよさそうに眠っている
え、え、?何があった?
「おー目が覚めたか
どうせまた覚えてねぇんだろ?
昨日の事教えてやるよ」
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【昨夜の回想】
またいつもの通り
初めは楽しく
酒を飲んでいた
「少女が酒飲んでいいのか?」
と聞くと
「少女じゃないもん!
ちゃんと成人した女性だもん!」
ぷくっとほほを膨らませる
「うえええい
大人の女性なら
これくらい飲めるだろー」
とキリヤが煽りながら酒を勧める
「飲めるもん!」
クリスはジョッキを一気飲みし
勢いよくドンと
机を鳴らしたいようにするが
迷いながら
ゆっくりとジョッキを置いた
「うおお嬢ちゃん
飲めるじゃねぇか」
隣の卓のおっさんが割り込んできて
「おっちゃん!
冒険者の飲みっぷり見せてよ」
クリスがおっさんにジョッキを差し出す。
「よし来た、みてろよー」
とおっちゃんが一気に酒を飲み干し
ドンと机を鳴らす
それをクリスは顔を赤らめ
羨ましそうに見ている
「次は嬢ちゃんの番だぜ」
「嬢ちゃんじゃないもん!」
「クリスのイッキが見たーい」
一同「見たい」
「見たーい」
一同「見たい」
「クリスが嬢ちゃんじゃないとこ見たーい」
一同「見たい」
いつの間にか酒場中の客が「見たーい!」と声を合わせる
クリスは勢いよく
酒をイッキ飲みし
冒険者のように
ジョッキを机にドンと叩きつける
「これで嬢ちゃんじゃないでしょ!!」
「うおおお!
やるじゃねぇかクリスぅ!!」
酒場の客から歓声が上がる
とドンドン輪が広がり
酒場全体で大宴会になっていた
酔ったクリスがいきなり
「実は私王女なの…」
と言い出した
「うそつけ!
酔っているからって
嘘を突き通せると思うなよ!」
皆が笑い飛ばすと
クリスはムキになって反論した。
「本当だもん!」
と可愛くほほを膨らませる
「王女って強いんだろぉー
お前弱そうだぞぉ
そして何よりおっぱいが小さい!!
おっぱいが小さいと
魔力も小さいんだぜぃえ」
ってキリヤの最低の煽り
クリスがキレて
「…分かったわ
王女の力見せてあげる
魔力におっぱいなんて関係ないって
都市伝説は嘘だって
証明してあげる!」
ってことで街の外の森の中に来た
初めはスライムみたいな雑魚相手
クリスがどでかい魔法をぶっぱなして
「どうよ」
とクリスが自慢げに言うのに対し
「雑魚バッカ相手してるんよぉー
そんなのおっぱいがない俺でも
倒せるぜぇよぉー」
キリヤが手刀をふっとスライムに振り下ろすと
スライムは消滅した
「うええええええい」
と周りの野次馬たちから煽りと歓喜が巻き起こる
「…もっと奥に行きましょう
私はドラゴンだって倒せるんだから」
と俺たちはドンドン森の中に入っていってしまった
どこまで奥に入ったか分からんが
突然サイクロプスが出てきやがった
一匹はクリスがドデカ魔法で倒したが
「あれ、私、魔力不足でもう動けない」
とその場に倒れ込んでしまった
騒ぎを聞きつけ
サイクロプスがぞろぞろ
数十匹群れで出てきた
「え、いや…
私まだ死にたくない…」
クリスは恐怖か、それとも酒か
その場で漏らしてしまった。
キリヤは飲み過ぎで
その場で吐いていた。
半分寝てた
お前がおもむろに立ち上がった。
ゆらゆらとサイクロプスの群れを縫うように
千鳥足で歩いていくと
バタバタとサイクロプスが倒れていく
そのまま、全部倒してしまいやがったんだ
これが昨夜の顛末だ。
――――――――――――――――――――――――――――
【回想終わり】
頭が痛く視界がぼやける中
改めて周りを見渡す。
冒険者たちに混じって
そこら中にサイクロプスが転がっている
「お、おい
こいつら起きたらどうすんだ…」
「俺様も考えたんだがよ…
お前とクリスが気持ちよさそうに寝てるから
動かせなくてな」
「むにゅむにゅ」
隣でクリスが白髪の髪を辺り一面に広げ
可愛く寝息をたて
寝ている
安全に過ごすつもりが
こんなになるなんて…
真逆の事やってねぇか俺…
「いいから帰るぞ」
皆で交互にクリスを担ぎながら
村に帰ってきた
今思えば初めて女の子と
(しかも体液を受けながら)
密着したのに
意識はそれどころじゃなく
惜しい事をした。
てか、キリヤ前回もそうだけど
これだけの事を全部覚えてるって
飲むと最低さは加速するものの
理性を保ったまま
今回のような行動しているのか…?
破天荒にも程があるだろ
さて、また一文無しになってしまった。
任務をしなくては
自称王女様を広場のベンチに寝かせ
今日の宿代を稼ぐため
ギルドに向かうのであった。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
【キャラクターデータ: キリヤ】
所属: なし
役割: 戦士
スキル:『才覚?』
魔法: 光剣
武器: 片手剣
防具: 勇者のレプリカ
【ステータス】
レベル: 8
体力: 150
腕力: 87
魔力: 33
防御力: 120
【キャラクターデータ: クリス】
所属: ロマネンド王国王子
役割: 魔法使い
スキル:『導かれる者』
魔法: 大爆炎
武器: なし
防具: 王族の防具
所持品: 王族のアクセサリー
【ステータス】
レベル: 38
体力: 63
腕力: 11
魔力: 118
防御力: 28
サイクロプス
討伐ランク A
スライム
討伐ランク E
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