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「酒乱」スキルで異世界生活!? 記憶をなくしたら勇者になってました  作者: あいだのも
第二章 アルブジル熱帯雨林
17/73

第十七話 冒険者の一日は波乱万丈

移動日の一日

パーティの一日は早い


日の出の朝5時には皆が起き

昨日の残りなどで

軽い朝食を済まし

出発する


身支度を整え

野営を撤収し

陽が上っている間はひたすら進む


太陽が真上辺りで休める場所を探し

1時間ほど休憩と軽食を食べる


キリヤやボリス、マリリンみたいに

ずっと何かしら話している人いれば

ブランやフェフチェンコみたいに

無言で歩いている人達もいる


夜の見張り役フローレンだけは

酒を飲みながら

特別で荷台で寝ている


途中盗賊や魔物が襲ってきたら

非戦闘員は後ろに下がり

戦闘員が対処する


思っていたのと違い

ほとんど魔物も出て来ない


出てきたとしても

キリヤが刀すら使わず

仕留めているので

危ない目には合っていない


日が傾き出したら野営の準備をする


ブランとフローレンが近くで食べ物を取ったり

狩ったりして来る

既成品や保存が利くものは

なるべく食べずにとっておく


その間に野営の準備をする

ブフとフンの荷車に積んである

テントの骨組みをトンカチで地面に突き刺し

テントを張る


テントは大きいのが2つ

女性用と男性用

机は折り畳みの大きいのが1つ

皿も大きいのが1つ

料理をそこで皆でつつく


コップと箸やスプーンは変態対策の為

各自が管理している


地面にぶ厚めの布を敷き

その上で各自が食事、酒を飲む

毎日が花見のような感覚だ


ブランとフローレンが帰ってくると

一流シェフのチェンマンが

取ってきた食材で料理を作ってくれる

また、この料理が格別だ

料理をツマミながら酒を飲み

各自寝たいときに寝る


見張りや夜襲に備えなくてはいけないのかと思いきや

日中寝ていたフローレンが夜通しで見張っているらしい


元々夜行性の習性らしく

クリスの警備も

緊急時以外は夜担当だったそうだ


お陰で起きることなく寝れている

フローレンも酒を飲んで

酔っぱらった状態で見張りしているのは

少し心配だが


そんなこんなで

いつも通り清々しい朝を迎えた

はずだった…


今現在盗賊に襲われている

「ゲハハ、俺は大罪人テッシン様だ

殺されたくなかったら

とっとと荷物を置いて

去るが良い」


「なんで、盗賊って芸がないのかしら」


「マリリン

何故こっちを見んだい?

あたしは他人の威を借りたことなんて無い」


「あら、そうだったかしら

周りの連中だったかしら」


「あいつらはほとんどが雇った奴らだったからな

こんな連中だったかも」

マリリンとブランはいつものよう

緊張感が無く会話している


「お前ら何故ビビらない、俺様は」


盗賊が叫んだその時、盗賊の後ろで不気味な薄暗いオーラが渦巻き

中から黒い装束を身に纏った人物が現れた


得体の知れない力を持つ者に

皆戦闘体制になり

フローレン、マリリンまでも冷や汗をかく


「ワレの名を呼んだか?」


「あ、わわわ」

盗賊がその場にへたれこむ

どす黒い刀を抜き軽く空を切ると

盗賊はその場に倒れこんだ


何が起こったか分からなかった

ただゆっくり刀を振っただけ

当たってすらない

それだけで人が倒れた


「キリヤ!!!」

ブランが叫ぶと

キリヤは黒装束に斬りかかり

ブランは束縛魔法を掛けた


が、ブランは何故か吹き飛ばされ

キリヤは盗賊と同じように

当たらない刀を振られただけで

倒れこんでしまった


即座にマリリンはキリヤに回復魔法を掛けるも

「何故?反応が無いの…?」

マリーの顔に焦りの色が浮かぶ。

黒装束は刀で空に文字を描くように振ると

マリーまでもが糸が切れたように倒れた。


吹き飛ばされたブランが立ち上がるも

膝が震え立てない

「な、なんで…?」


「どけ!

私が刺す♥」

フローレンが荷台から飛び出し

黒装束に槍を突く


黒装束は刺されたまま

何事もないように刀を振ると

フローレンだけでなく

かなり遠くのブランまでも

倒れこんだ


「来ないのか」

戦闘員は全滅…

俺は動けなかった

他の仲間も声すら上げれなかった


こうゆう時の為に取得したスキルの事など

すっかり頭から抜けていた


ブラン、フローレンだけでなく

キリヤ、マリリンまでもがなすすべなくやられた


確実な死

だが恐怖、絶望

そうゆうのでは無かった


一度死んだことがあるからなのか

意外と冷静だった


どうしようも無い諦め

苦しまなさそうという

安心感までもあった


「ジュラサンを滅した男

もう少し骨のあるやつかと思ったが」

黒い男が刀を振りかぶり

俺も意識が消失した



――――――――――――――――――――――――――



「大丈夫か、博史」

目を覚ますと

周りにはパーティのみんなが居た


ここはあの世…

などとありきたりな事は言わない


襲われた場所

いつもの仲間

俺らは生きていた


「博史でも、やつには敵わなかったのかい」


「当たり前だろ

お前らで無理なんだから」


「確かにマリリン達では

どうしようもない相手だったけど

博史だったら

本気を出せば勝てたのではなくて?」


「本気ってなんだ…

俺はいつも死なないように本気だぞ」

四人が顔を見合わせる

俺は何かおかしな事を言っただろうか


魔王四天王を倒したらしいが

記憶に無いし

明らかに俺よりお前らの方が強いだろう



今朝のいきなりの強敵襲来

運良くか分からないが

命は救われた

意外と死に対して恐怖は無かったが

それでも俺はもっと楽しみたい


この世にあんな奴がゴロゴロいないと願い

交通事故のヒヤリハットだと思って忘れよう


てか、あいつ何もないところから

いきなり出て来たよな…

あんな奴に狙われたら

部屋に監禁状態でも殺される


自分の身の丈にあった生き方をしよう


周りのやつらもあまり気にした様子で無いし

皆死にかけたというのに

いつも通りだ

冒険者にとっては生きてれば

儲けものくらいの感覚なのだろう

俺も見習わなければ


珍しくキリヤとマリリンが話ししている

あれはどんなスキルだとか

どうすれば勝てる?と

キリヤの質問攻めに


「あーゆうのは相手にしないのよ」

と言っている


てか、ポッと出の相手でこれってことは

魔王はもっと強いのだろう

魔王討伐なんて

初めから詰んでいるのか


いや、パーティの魔王討伐は名目上であって

本当にするわけじゃないんだった


そんなこんなで今日も宴会が行われた



――――――――――――――――――――――――――



気付いた時には正座していた

目の前には女性陣

そして隣でキリヤがとんでもない異臭を放っていた


「うぉっ くっさっぁ

どうしたキリヤ?」


「ああ、昨日か…

人生最悪の夜だったぜ」


「何が最悪だ

あんたらの自業自得だろう」


「すまん

私が外部にばかり目が行き

内部の警戒を怠ったからだ」

フローレンが珍しく真面目なことを言う


「フローレンは悪くない

内部で問題を起こす

こいつらが悪いんだい」

とブランが厳しく詰める


「な、なにがあったんだ…?」


「昨日はだな」

キリヤが、重い口を開いた。


――――――――――――――――――――――――――――

【昨夜の回想】


いつも通り宴会を開き

女性陣は先にテントに戻った


今朝の襲来の疲れか

男性陣も珍しく早く寝て

久しぶりにキリヤと二人で飲んでいた


キリヤと二人で飲むとなると

ロクなことがない


「なぁ博史ー気付いているか―?

俺様は野営設営だからなー

ここにはトイレが1つしか無いんだぜ」


トイレはマリリンが野営の端に魔法で穴を掘り

テントのような布で四方を囲った壁を作る

魔法で何でも出来るとはいえ

マリリンがいちいち下水の処理は出来ない

使い捨てぼっとんトイレだ

キリヤが思っていることは

博史は理解している


「ああ…トイレをする時

ちょっとドキドキしちゃう

俺は変態なのか?」

女性とトイレを共有するのは

前世だとほぼなかった


小さな居酒屋とかだと

無くはないが水洗トイレ

前入っていた人が女性で連続で入れた時

便座に温もりが残っているだけで

お尻とお尻が間接接触するのだと

想像し反応してしまった


ぼっとんトイレは河川敷にあったとしても

女性が事を成しているとは思えない


「バカヤロ博史

俺様は女の子排泄物で

飲みたいんだぁあ」


シラフで聞くとキモい

でも酒が入っていると

なんだかわからないけど

ものすごい奴に感じた


「キリヤ、お前凄いな!

俺にその発想は無かった

確かに…確かにそれは飲めるな!」

博史にス〇トロの趣味は無い


学生の時一回だけ

誰もいない時間の学校に行き

女子トイレに入った事があるくらい


そ思春期の男子の背徳感ってやつで

かなり興奮していた記憶が

博史にはあった


「だろー

やっぱ博史は分かってくれると思っていた」


「でもよー

あそこは男のも混じっているだろー

俺も一回あそこでションベンしちまったぞ」


「バカヤロー!!!」

パシッっとキリヤに引っぱたかれた


「多少のリスクを取らねぇで

大いなるものを得られると思うなぁ

考えが精子よりちっちぇえぞ!!」


「お、押忍師匠ー」


「分かったか弟子!

行くぞー!」


博史たちはキャンプの外れにある

トイレの中に入る

「うぉーくせー!」

博史は鼻をつまむ


「甘いぞ博史ぃ

この排泄物の臭いの中に

ルサーリカのが

ブランのが

リザリーのが

ミーナのが

マリーのがぁああ

うひょよおお飲めるーーー」

キリヤはグラスに注いである酒を

一気に飲み干す


「あ、あの女性達の身体を巡ったものが」

博史も臭さを忘れるため

興奮する方へ思考を持っていく


「そうだ博史

分かってきたじゃねぇか

あー、我慢出来ねぇ

俺は行くぜぇええ」

キリヤは排泄物の中にダイブしていった


その時扉がガチャッと開く

「ふぁーあ

しっこしっこ

ん?

お前ら何してる」

入ってきたのは女性ではなく

フェフチェンコだった


「おーフェフチェンコ!

この匂いで飲んでんだ!

どうだお前も」

キリヤが汚物まみれの穴の中から叫ぶ


「きも」

フェフチェンコは直ぐにテントに戻っていき

ゴォオオンと異常事態を知らせる鐘を鳴らした


「な、何事だ

私の目を搔い潜って

野営に入るなんて」

真っ先にフローレンが来た


どうやら酒に溺れ

見回りをさぼるなんてことはなさそうだ


「違う、フローレン

内部の異常事態」


「なーに?敵ー?」

「マリリンまだねむいよー」

ブランとマリリンを筆頭に

続々とテントの中から出て来た

大層な鐘の割に

皆緊張感がない


「異常事態、

キリヤ、博史、トイレで飲んでいる」

フェフチェンコが説明すると


「なぁにー酔っぱらって

トイレに落ちたのー?」

とマリリンが言うと


「助けなきゃ!」


「待つ」

ブランが慌てた様子でトイレの個室に入ろうとするのをフェフチェンコが止める


「こいつらう〇この臭いで

酒飲んでる」


「はぁあああ!?」



―――――――――――――――――――――――――――――

【回想終わり】


こんなことがあったなんて


ブランの大激怒

マリリンの鉄槌

ルサーリカの経済制裁

ミーナの飲み比べ=実質死

リザリーの陰湿いじめ

そんなことを考え

どうやって切り抜けるか

頭の中で模索していると


「全く、バカなことは止めなさいよ」

と意外にもすんなりと許され

女性陣は皆何もなかったかのように

テントに戻っていった


俺はなぜ許されたのか分からなかった



帰り際

唯一残ったマリリンに耳打ちで

「ひーろし

良いこと教えてあげる

女の子のお花摘み場所はね

マリリンが作って結界張っているのよー きゃは」

俺の目の前がまっしろになった




「良かった」と思ってくださったら

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筆者が泣いて喜びます。


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