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乱心令嬢リーベミオのたった一つの望み  作者: 池中織奈
リーベミオ 十三歳
26/39

「んー……、噂の場所、空振りだったなぁ」



 リーベミオは宿のベッドに寝転がり、天井を見上げている。



 少し不満気な様子を見せているのは、精霊に会えると言われている場所にいっても思ったような成果はなかったのだ。

 折角こうして他国にまで赴いて、求めていた結果につながらないことには何とも言えない気持ちになっている。少しの焦りも感じてしまっているのかもしれない。

 リーベミオはレリオネルと共に居られることは喜ばしいことだと思っている。




 姿を見えずに、声も聞こえない状況でも傍にいてくれる。意思疎通が出来て、平和な暮らしが出来ている。

 ――それで満足が出来ればまた別だったかもしれない。

 今はこうやってどうにかレリオネルと共に過ごせているが、いつ、どのタイミングでその時間さえも失われるか分からないのだ。



(今は……、レリ様と一緒に居られるけれど、また喋れなくなったり、レリ様を感じられなくなったりするかもしれない……。そうなるまでにレリ様を完全に取り戻さないと)



 彼女は今の状況は奇跡のようなものだと、そう思っている。



 その奇跡がなくなってしまったら――?

 きっと彼女は耐えられなくなるだろう。



 レリオネルは今、この場には居ない。

 リーベミオからしてみれば大好きなレリオネルにはいつでも傍にいてもらっていいと思っている。けれどレリオネルは遠慮しているのだ。



(……レリ様が肉体を取り戻して、そして私と結婚してくれたら、一緒に寝たり出来るのにな。その時のことを想像するだけで、なんだか落ち着かないわ!!)



 彼女は未来のことを思考して、思わず顔をにやけさせてしまう。

 いつか結婚することが出来たら、触れあって、一緒に寝たり出来るとそう考えるだけで幸せな気持ちになっている。

 ベッドからばっとリーベミオは起き上がる。

 そしてじーっと周りを見渡す。



「レリ様……、いらっしゃいますか?」



 声を掛けるけれども、反応はない。



 彼女はそれを残念に思いながらも、頭の中で地図を描く。

 いくつかの精霊の出現場所とされている場所は空振りだった。




 その中には、精霊というネームバリューを使って観光地のように意図的にしている場所も存在していていた。精霊と呼ばれる存在はそれだけ世界に認知されているものの、実際にその姿を確認出来た例はそこまで多くないだろう。

 ――その精霊に会うのは難しいことだ。

 だから人の身であるリーベミオがどれだけ会おうとしても会えない可能性も高い。




(ただレリ様が精霊と似たような状況だからこそ、レリ様は精霊のことを感知は出来るはず。レリ様が精霊たちについていく道を選ばなかったとしても、精霊たちにレリ様を奪おうとするかも。こうやって旅をしながら、精霊に対する対抗策も色々調べてはいるけれど――、本当に精霊の逸話にも色々あるのよね。基本的に精霊は自分から人に近づくことは少ないはず……。けれどこうして色んな場所に足を踏み入れると精霊によって人が攫われたみたいな言い伝えもあるもの)




 リーベミオは、今回の旅において様々な経験をしている。

 まだ十三歳のリーベミオは、背も低く周りからしてみると騙しやすい少女である。

 彼女がどれだけ魔法を使えるとか、そういうことを彼らは分からない。だからこそ、手を出し、返り討ちに遭っている。

 彼女は他国にいるからこそ、一時的にしかいない場所だからこそ――派手に動いているというのもある。




(精霊側からこちらに興味を持ってもらうようにした方がいい? 精霊たちは何処で私たちを見ているか分からないから、こちらが精霊に会いたがっていることを伝えられたら別頭かしら? あと精霊に関しては私達とは考え方が全く異なる存在だろう。うん、そうなると喋り方とかには気を付けた方がいい。私は相手が精霊だろうとも負けるつもりはないけれど、なるべく敵対しない方が楽だろう)




 彼女はそんなことを思考しながら、次に向かう場所について考える。



 ――さて、そうしている間に鍵をかけていたはずの宿の部屋の扉が開いた。

 夜中に入ってきた男達は、起きているリーベミオの姿を見て一瞬驚いた顔をする。

 だけれども次の瞬間には、下卑た笑みをリーベミオに向けている。



「勝手に侵入するなんて、治安が悪いわね」



 リーベミオはただそう口にする。



 その表情には怯えなども全くない。男達は、リーベミオに襲い掛かろうとする。

 彼らは彼女に負けるはずがないと、そう思い込んでいるのだろう。



「愚かね」



 リーベミオは冷めた目で、彼らを見るとすぐに魔法を使って拘束する。

 男達は魔法を使われたことに慌てふためいている。



(この街では、宿に忍び込むのって当たり前なのかしら?)



 そんなことを思いながら男たちを拘束した後、他の部屋にも忍び込もうとしている愚か者が居ないかと確認しにリーベミオは向かった。




 ……その結果、その宿では他の部屋にも侵入者がいた。

 リーベミオはそれが不快だったので、全員とらえておいた。



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