今月の成績発表です!
2022年2月2日『スーパー猫の日』記念に書き始めました!
だいぶ時間がかかってしまいましたが、完結したので読んで頂けたら嬉しいです。
初投稿です!
「今月の営業成績トップは…月見だ!」
部長が高らかにそう言うと、
周りからはおおっというどよめきと称賛の声が挙がった。
「すごいね月ちゃん!これで3ヶ月連続だよ!?」
隣にいた若葉ちゃんが、わたし以上に喜んでくれてる。
ぴょんぴょん飛び跳ねて可愛い。
同じ時期に入ってきたこともあって、
一番の仲良しである若菜ちゃん。
ちょっと興奮しながら、尊敬の眼差しでこちらを見てくる。
毎月22日は、みんなで集まってその月の成績が発表されることになっている。
と言ってもゴリゴリ数字を追求して厳しくやってるわけでもないので、
各々の結果を教えてもらって成績の良かったメンバーを褒め称えて、
情報交換したりお喋りしたり、和やかに楽しく集まる会である。
「まだ入ってきたばかりなのに、ほんとに素晴らしい活躍ぶりだな…!」
感嘆の色を声に含んだ部長に褒められて、思わず嬉しくなって照れてしまう。
最年長にふさわしい貫禄の部長は、
…うーん今日もダンディ。
「普段どう過ごしてたら、そんなに好成績になるの?」
聞いてきたのは若菜ちゃんと反対側の隣にいた真白ちゃん。
相変わらず、とっても美人ですね!
そう聞かれてちょっと考えるけど、特に思いつかない。
「特別なことは何もしてないんだけど…」
すると一斉に、
「えー、そんなわけないじゃん!」
「普通にしてて、その大活躍ってこと?」
「あんまり普段意識してないだけで、コツとかあるんじゃないの?」
「天賦の才か、天才か!」
素直に答えたら、みんなから口々に言われてしまった。
いや、でもほんとに気の向くまま毎日過ごしてしかないんだけど。
でも、
「いいな~、僕も来月はトップになりたいなぁ」
って言ってるそこのレオンくん、
あなたは流石に人と関わらなさ過ぎて、そのままでトップは難しいと思うよ?
まずは人と関わろう?もうちょっと頑張ろう?
***
「あ、おかえり~!今日は遅かったのね」
家に帰るとお母さんが出迎えてくれた。
2月に夜空の下はまだ寒いので、おうちの暖かさにホッとする。
リビングに顔を出したらお父さんも帰ってきていた。
「お、帰ったか~!外は寒かっただろう」
ストーブの前を譲ってくれるお父さん。
優しい。
「ご飯もってくるから、ちょっと待ってね~」
お母さんがパタパタとキッチンに向かって行った。
どうやら2人は夕飯を終えて、のんびり晩酌をしていたらしい。
お酒を飲むとき専用の、かわいい綺麗なグラスが出ている。
もう残り半分くらいになっている瓶は、確かこの前、
2人の話を聞いてたら「スパークリング日本酒」って言ってた。
なんだか瓶も可愛くて好き。
「お待たせ~、お腹すいたでしょう」
ご飯をもってきてくれたお母さんにお礼を言って、美味しく食べた。
「そういえば、里美のとこでも猫飼うんだって?」
「そうみたいよ。旦那さんとどんな子がいいか相談してるんだって」
「あれ、正樹くんは犬派じゃなかったか?」
「最近、猫も好きになったんですって。里美の影響かしらね」
お父さんとお母さんは、お酒を飲みながら長女の話をしている。
里美は、1年前に結婚して家を出て行った。
県内に住んでいるが仕事も忙しいらしく、実家にはたまにしか帰ってこない。
でも、たまに電話で声を聴かせてくれるので、
元気そうな様子にお父さんもお母さんも喜んでいる。
「そして、悠人は連絡しても全然返信が来ないな…」
お父さんがため息混じりにぼやいた。
「仕方ないわよ。あの子、昇進してチームリーダーになったんですって。
初めてのマネジメントだから上にも下にも気を遣うって、前に電話で言ってたわ。
あんまり無理してないといいんだけどね。」
社会人5年目の悠人は、有望な若手として抜擢されて今とても忙しいらしい。
「まあ若いうちはやりたいと思う限り、頑張れるだけ頑張ってみたらいいさ」
「そうね…、今度すぐ食べられる美味しいものでも送りましょうか」
「そうだな、チーズの詰合せとかいいかもな」
「それは貴方の好物でしょ?」
「はは、うちの分もついでに買ったら良いと思って」
チーズ美味しいよね、わかります。
でもお父さんの好きなチーズとわたしの好きなチーズはちょっと違うけどね。
お父さんが一番好きなのは「カチョカバロ」ってやつなんだって。
ひょうたんみたいで形が可愛いの。
お母さんは呆れながら、苦笑まじりに
「じゃあ今度美味しそうなチーズ探しておくわね」
って、なんだかんだ優しい。
お父さんも、なんだか嬉しそう。
しばらくお酒を飲みながら、夫婦で楽しそうに会話している。
ちょっと前までは見られなかった光景だなぁと思いながら、
嬉しい気持ちで2人をぼんやり見ていたら、
ストーブの暖かさにウトウトしてきた。
「あら、月見ちゃんが眠たそうね」
「お、ほんとだ。あったかくてポカポカするんだろう。ちょっと毛布掛けといてやるか」
うっすらお父さんが毛布を掛けてくれたのを感じながら、
穏やかな雰囲気に包まれて、安心して深い眠りに落ちていった。