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プライベートアイズ  作者: くわとろプロジェクト
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第6話 裏切りの男

「こと美ちゃん、こっちへ」

こと美の腕を引き、奥へと進むトモママ。

緊急に備えて作られたパニックルームだ。ある程度の日数過ごせるくらいの食料もある。

ダイアルロックの扉を開け先にこと美を入れる。二人とも入室したところで扉を閉める。

「ママ、エビ太さんがまだ・・・」

ママの手を止めること美。手に力が入っているのがわかる。

「エビちゃんは切り抜けるわ、あなたの安全が一番なの。エビちゃんもわかってるはずよ」


続けて床にある扉も開く。

中から護身用のベレッタ・ナノを二丁取り出す。

「ママ、私・・・」

経験したことない事態に震えが止まらないようだ。

「安心して、ここへは簡単に入ってこれないわ」

力強くこと美の肩をママが抱きしめる。

「とにかくくわちゃんに連絡するわね」

とスマホを取り出した。

「くわちゃん、今ね・・・」


「相手は5人か、やばいかもね」

銃を持つエビ太の手に力が入る。ここの店は防弾ガラスを使っているが、いつまで耐えられるか・・・。

入り口付近に二人、両脇に二人、後方で指示を出してるであろう男が一人。

先ほど鍵はかけているが、吹っ飛ばされれば侵入される。

カウンターテーブルの影に隠れて様子を見るが、それぞれ皆武器を持っている。

正面ばかり気にしていたため、一瞬側方からの攻撃に反応できなかった。「ドン」と重い音ともに分厚いガラスが激しく砕け散った。破片が店内に散らばってくる。

「嘘でしょ?ロケランなんて」

ランチャーを構えた男は二発目を放つ。

エビ太はテーブルの下で丸くなり衝撃に備えた。

物凄い振動と爆発音。耳がどうかなりそうだ。

敵が一斉に店内へ入ってくる。エビ太も近づけまいと応戦するが不利すぎる状況だ。

動けないまま取り囲まれた。そこへ一人の男が声を発する。

「武器を捨てろ、エビ太。状況が読めない訳ではあるまい」

「え?」

忘れもしないあいつの声。


ゆっくり手を上げ、テーブルから身を乗り出した。そこに立っている男こそ、たけTだ。

以前はくわとろと共にパートナーを組んでいた男。

エビ太もよく知っている人物だ。

「久しぶりだな、エビ太。相変わらずだ。教授絡みだったから、お前とくわとろが相手だとわかってた。教授の娘がお前たちのところへ行くのは予想していたが巻かれてしまってな」

「あんたが黒幕って?どうかしてるわ」

たけTはエビ太の腕を取り背中に回す。ナイフを取り出しエビ太の肩口から突き刺す。

「!!」

苦痛に歪むエビ太の顔を覗き込むたけT。背中越しにカウンターテーブルにまでナイフの先端が貫通している。肩から暖かいものが流れる感触。

「俺が黒幕だと?そんなことはどうでもいい。教授から預かったものを渡せ」

突き刺したナイフをゆっくり回転させる。

激痛に顔を歪めるエビ太だが

「渡す訳ないでしょ、あんたなんかに」

と強気にたけTを睨み付ける。

「あいかわらず、くわとろを信頼してるようだ。あいつも今頃は同じようになってるはずだ。どうする、エビ太」

ここでエビ太の腹部に膝蹴りを喰らわす。

「うぐ、ここにある訳ないでしょ」

息が荒くなってしまったエビ太が苦しい表情だ。

「ほう、くわとろが持ってるんだな」

部下に合図を送り、一人が連絡を入れているようだ。

「それじゃ、教授の娘を渡せ。店ごと吹き飛ばすぞ」

「渡す訳ない、あの子は渡さない」

必死にもがくが突き刺さったナイフは簡単には抜けそうにない。


地下のパニックルームにも大きな爆発音や銃声が聞こえてくる。

しばらくすると静かになったが、これは・・・。

「ママ、エビ太さんが心配」

立ち上がり走り出そうとすること美をトモママが制する。

「だめよ、こと美ちゃん。危険すぎるわ」

「だって、エビ太さんが・・・」

涙を流しながら入り口を開けようとしている。

「ママ、お願い、ここを開けて、お願い」

先ほど取り出したベレッタ・ナノを拾い、自分の頭に押し付ける。

「ママ、ここを開けて。じゃないと私ここで・・・」

「わかったわ、こと美ちゃん。でも、私も一緒に出るわ」

銃をこと美から取り上げ、ママの一言。

「この銃はね、安全装置ついてないのよ、危ないの。二度とこんなことしないで頂戴」

コツンとこと美の頭に喝を入れる。

ゆっくりと店内に進んでいくとエビ太が見えた。

「エビ太さん!」

こと美がかけ寄る。

「おおっと、自分から来てくれたか、いいお嬢さんだ。お前を連れていく」

たけTの合図でこと美を両脇から部下が抱える。

エビ太が助かるのなら連れ去られてもいいと抵抗はしなかった。

「こと美さん、ダメ」

エビ太も意識が朦朧としているようだ。トモママも銃を向けられ動けない。

「これをくわとろに渡すんだ。こちらから連絡するまで動くなと」

一つのスマホをトモママに投げ渡す。5人の男たちは足早に立ち去ってしまった。

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