表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/7

7

それからというもの、マリーは魔王の使用人として毎日働かされた。

しかしマリーの予想していたものとは全く違っていた。



朝起床してデトリックを起こしに行く。そして朝食後は皿洗いを……していたが三日目にしてデトリックに手が荒れるからと言われ禁止となり他の使用人に任せることとなった。


また昼食までには城中の掃除を済ませる。掃除が終わるといつも魔族の侍女たちがお菓子とお茶を用意してくれ、女子会が始まる。


そして昼食が終わると荒れ果てていた庭の手入れをした。おやつ時になるとデトリックが様子を見に来て「休憩も仕事だ」と言いながら、木陰で魔族の本を読み聞かせをしてくれている。しかし休憩が終わる頃には日も落ち、夕食の時間になっていることが多い。


そして夜はデトリックの身の回りの手伝い。デトリックが入浴するまでデトリックの部屋にいたり、着替えを用意したり、髪の毛を乾かしたり、就寝まで話したり……。



と、労働という労働はせず、全く使用人にらしくない生活を送っていた。



(めっちゃホワイト企業じゃん!何でこんな厚待遇!?)



初めの方はどんな仕事もこなしてやる!と意気込み、マリーは睡眠時間三時間も覚悟していた。


しかし。その覚悟も遅くても三日目にはデトリックによりマリーの仕事は完全に規制された。それに加え、カミラが仕事を大幅に変えた。


朝は早く起きて食堂の掃除や朝食の用意をしようとしていたが、毎日早起きをしては寝不足になると言われ諦めざるを得なくなった。料理長らがいるから食事のことは必要ないらしく、掃除は朝食後からということになった。


そして落ち込んでいたマリーにカミラが朝はデトリックを起こしに行くように頼まれた。なんでも、カミラでも手をつけられないくらいデトリックの朝は大変だという。 


城中にマリーのことはあっという間に広まった。なのでマリーと話したい、仲良くなりたいと思う侍女たちが集まり〝女子会〞を毎日開いている。その名前だけあって女子独特の話題や一般的な話題、様々な話をして楽しんでいる。


女子会の一回目が開催された日、マリーはこんな堂々とサボって心配になったが、侍女らは魔王様の許可は得てます。と言い何だかんだでずっと続くものとなった。


庭の手入れをすることに関してはデトリックは初めの渋い顔をしたが、マリーが押しきったおかげもあり庭の手入れは可能になった。


これがマリーにとっての最大の仕事だ。マリーの他に庭で働くものはいない。


誰も関与したいなかった広い庭。これは宝の持ち腐れだと思い、雑草を抜くところから始めた。そして今はやっと全ての雑草を抜き終わり、種まき、成長を楽しみに待っている。


それを心配そうに見るデトリックがわざと頃合いを見て庭へ行き、マリーを働かさせないようにしていることはマリー以外の皆が周知の事実だ。


夜はすべてカミラが提案した仕事だ。これは楽すぎると思い、反抗はしたが「あなたは魔王に仕えるために来たのでしょう。だとしたら魔王様の身の回り世話をするのが道理です」と促され、母親が子供にするような簡単な仕事をこなすようになった。



マリー以外の使用人や侍女たちから見るとマリーの仕事はデトリックに嫁がせる為にデトリックを意識させる作戦だとすぐにわかる。


だがマリーはそんなに敏感ではない。全く気づかずにいる。


これはさすがに魔族たちは悩まされた。どうすればマリーがデトリックに好意を示す予兆が見られるのか、と。


マリーとデトリックがいつものように楽しげに話すのだけ見ると仲睦まじい夫婦のように見えなくもないのだと誰もが思った。


そして夜な夜な、作戦会議が行われていることはマリーもデトリックも知るよしもないだろう。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ