泥沼
あれから2週間。
やはり毎日床磨きしかしていない。
何も変わらない毎日。
だが、分かったことがいくつかある。
1つ目は俺の能力についてだ。
給料を貰った時にガロンに試しに中身を見てもらうと、しっかり銀貨4枚が入っていたらしい。
逆にガロンの銀貨を俺が触った瞬間、触った金がパチンコ玉に変わった。
このことから、俺が直接触れた金だけがパチンコ玉になることが分かった。
2つ目は賃金の使い道についてだ。
そもそも、奴隷の俺たちがショッピングなんかできるのか?と思っていたが、週に1度ニヤが商品を持ってきて、そこで買い物ができた。
商品は、お菓子、文房具、ソーイングセットなど様々だ。
新聞や本も販売しているところから、この世界に印刷技術は存在しているようだ。
3つ目は文字についてだ。
俺は、まず新聞を買ってみた。
もちろん、購入する際はガロンに代行してもらった。
新聞には明らかに日本語ではない文字が書いてあった。
アルファベットでもないし、数字でもないような文字。
が、読めた。
スラスラと読めた。
この世界にやってきた時点で言葉についての最低保証はあったみたいだ。
新聞にはこれといった情報はなかった。
王都の大臣の裏金問題などといった、世界攻略の役に立たない情報が掲載されていた。
分かったことはそれくらい。
あと、廊下の骨董品が増えたことくらい。
そんな感じだ。
ーー昼休憩の時間ーー
「なぁ、サナとサヤ未だ帰ってこないのか?」
ガロンが聞いてきた。
「そういえば遅いよな。買い出しなんてとっくに終わっててもいいのにな。」
「何してるんだろうな?」
「そうだよなぁ。逃げるチャンスなんていくらでもあるだろうしな。」
「いや。それはできないぞ。」
「なんでそう言い切れるんだ?」
「この前、ニヤと話したんだけどよ、逃げ出したらどうするんだって
そしたら、俺たちは逃げると体内の魔力がすべて炎に変換されて焼け死ぬって言ってたぞ。」
えげつない。激アツは好きだが、炎上して死にたくない。
「なにそれ。」
「奴隷契約術らしい。奴隷として連れてこられるやつらは全員その術を掛けられているらしい。逃げるぞという思考の状態で外出した場合、術が発動するそうだ。」
「解除方法はないのか?」
「奴隷という身分から解放されることだな。」
奴隷から解放されることって可能なのか?
「それってどうするんだ?」
「転生者の話を前にしただろ。転生者の始末に成功すると階級が上がるらしい。平民なら貴族の仲間入り。奴隷なら、平民に戻れるってわけだ。」
「なるほどね。今までにそんな事例があったのか?」
転生者ならすぐ近くにいるよとは言えない。
「3年前にあったらしい。そいつは今大臣になっているよ。」
「そうなのか...」
都合よく転生者がいればいいのだが...