転生者
業務終了した。
さーて、冷たいビールでクッと
できないんだよなぁ...
まぁ、その代わりにひんやりした床はあるけど
俺はヨレと会話をしていたらこの家の主人にボコボコにされた挙句、RPGでよく見る牢屋みたいなとこに閉じ込められてしまった。
俺だけではなくヨレも共に。
それにしても、痛い。
俺は1日に何回殴られればいいんだ。
俺が知ってる作品みたいな流れはいつになったら来るんだ。
エッチなエルフとかサキュバスに会いたい。
そもそも、そんな生物がいない世界なのかも知れないが
「あービール飲みたい。パチンコ打ちたい。エルフに会いたい。あとパチンコ打ちたい。」
声に出てしまった。
一緒に閉じ込められたヨレがすごく不思議そうな目でこっちを見てきた。
俺の元いた世界の言葉がそんなに不思議か?
そう思っているとヨレが話し始めた。
「お前、エルフに会いたいって言ったけど、お前エルフじゃん。」
え?
ルフ?そもそも、俺がエルフだって?
エルフといえば、長い耳だよな。
あるのか?俺に...
そう思って耳に触ってみた。
ある。長い耳がある。
「俺、エルフだったのか...」
「何寝ぼけてんだよ。ヨヨが言ってた、”すろっと”ってエルフの国に伝わるギャンブルではないのか?」
「ヨレ、お前は転生ってわかるか?」
「あぁ、伝説にあるよな。異世界からの転生者がこの世界に災厄をもたらすってやつだろ?」
なるほど、勇者ではないのか。
「確か転生者裁判が隣国でも始まったって言われてるし。怖いよな。」
転生者裁判って何すか?
「転生者裁判って何?」
「エルフの国ではやってないのか?転生者と疑わしい奴が見つかり次第処刑するんだ。もう200人は吊るされてるはずなんだけど、まだ転生者は見つかってないらしいぞ。」
「なんで、転生者じゃないってわかるんだ?」
「転生者が死ぬとき、青い炎を上げて燃えるらしいぞ。それがまだないらしい。」
「なるほどぉ...」
転生できるポイントがマイナス数億になったはずの俺がどうしてエルフなんかに生まれ変われたのかとは思っていたが、生まれたときから指名手配されていたのか。
酷すぎる。
俺に生きる価値はないらしいな。
ところで、ヨレ感づいたのではないか?未知の言語を語り、この世界について無知な俺がその転生者であるということに。
殺るしかないのか?
異世界で最初にできた同僚を?
あいつとの思いでが色々と浮かんだ。
コンテナ内のいなかったかわからないあの時。
命名された時。
廊下でギャンブルについて喋ったあの時
そして今。
いやまて、こいつクズだし死んでも問題ないだろ。
すまん、ヨレ死んでくれ。
“ヘルドグマボルス”
殺しを決意した瞬間に脳内に言葉が浮かんできた。
これは呪文だと感覚的に理解できた。
どんなものかは知らないが死ねヨレ!!
「ヘルドグマボルス!!!!!!」
「ヨヨ何を!?」
呪文を唱えた瞬間暗かったこの部屋が光で満ちた。
明るくなって、そのまま暗くなった。
「ヨヨ、お前部屋光らせたら主人にまた殴られるだろ。」
どことなく禍々しい呪文だったような気がしたが、どうやら光らせる呪文だったらしい。
「こんな、暗い世の中を明るくしようと思って...」
また、嘘をついてしまった。