同僚
同僚?たちについていき、雇い主の家に入ると
大理石の床にシャンデリア、なんか高そうな絵画や壺。
THE貴族って感じの家だった。
体感的には数時間ぶりのまぶしい輝き。
騒がしい幻聴も聴こえてくる。
「あぁ、打ちてぇなあ」
愚痴を零しながら廊下を進んでいくと突き当りに下に続く階段があった。
先にいるの同僚たちは次々とその階段を降りていく。
自分の番が来たので中に入ってみると、当然のように明かりは無く、どことなくジメジメしていた。
少しすると、明るい場所が見えてきた。
どうやら、目的地らしい。
大体、8人くらい同僚がいた。
「ようこそ、アリー家へ。ここは楽しい職場です。皆さんがんばりましょう。」
髭を生やした一番古株っぽい奴が無表情で話し始めた。
覇気がない。
「早速ですが、皆さんには名前が無いと思うので呼び名をつけたいと思います。あなたはサナ、あなたは、サヤ、あなたはサク、あなたはヨレ、あなたは...」
皆が命名されていく。
ところで、このネーミングって数字じゃないか?
37、38、39ってなってないか?
ところで、なんで37からスタートしたんだ?偶然か?
そんなことを考えていると、自分の番が来た。
「あなたは、ヨヨ。では皆さんよろしくお願いします。あ、私はニヤって呼んでください。」
28か。
はたして、29から36までの奴らはどうなったのか、気になったが聞くのをやめた。
さて、俺の異世界ライフ最初のクエスト?は廊下を磨くことだった。
通称”ヨレ”と一緒の作業だった。
ヨレは見た感じ20代って感じの男だ。
背は170くらい。
短髪で、髭は生えてない。
顔は...冴えない。
運ばれている時から同僚たちは何も喋らなかったが、作業の時もやはり喋らない。
沈黙のまま作業するのもアレだしなんか話すか。
「おい、お前はなんで奴隷になったんだ?」
話題がなくてとっさにこの質問が出てしまったが、この質問は明らかにアウトだ。
「ギャンブル...」
ヨレがボソッとそう言った。
ギャンブルで奴隷になってしまうとは救えねえ奴だ。
ところでこの世界のギャンブルとはいったい何があるのだろう。
「ギャンブルって、どれをやったんだ?」
「なんでもやった。ダイスとか、コイントスとか...」
は?ギャンブルか?それ?
そもそも、それぐらいしか無いのか?
「スロットとかやってなかったのか?」
「スロット?なんだそれ?」
この世界にスロットは存在してないのか?
まあパチンコは存在してはいないだろうとは思っていたが。
「スロットっていうのは、ルーレットが複数あって止まった数字が全部同じだったら報酬をもらえるみたいなものだ。」
「なんだそれ?面白そうだな」
さっきまで死んだ目をしていた、ヨレの目が少し活き活きし始めた気がした。