通訳者
気付いたら俺は異世界に居た。
自然の中にいるような澄んだ空気に、心地よい川のせせらぎ。
「えーっと、ここは・・・ 草原かな?」
見晴らしのいい草原だ。
天気が良く、今は夏らしい。
RPGみたいなモンスターは・・・ いない。
魔王軍とやらはここにはあまり攻めていないのだろうか。
辺りを眺めていると、2人の女性と3人の男性が見えた。
何か言い争っているように見える。
まずは街にいかなければならないだろう。街への道が分かるといいのだが、辺り一面草原で道がさっぱり分からない。
「この魔術師、胸でかいよな。俺超好みなんだけど!」
「こっちの美人剣士もけっこうあるぜ?」
「貧乳はいねーのか!さっさと1万シオン奪って帰ろうぜ。」
「だから何度も言ってるじゃないですか!ポラリス語で話しなさい!共通語だから分かるでしょ!?」
「カレア、そろそろ逃げたほうが・・・」
さすが転移プラン。なんの言語か感覚で分かる。
男達が話しているのは魔王軍語、女達が話しているのは共通語のポラリス語。
それにしても、何故人間の男達が魔王軍語で話しているのだろうか・・・。
黒っぽい服装だし、顔つきも怖くて明らかに怪しいのだが。
とりあえず、彼女たちが使っているポラリス語で話そう。
「この男たち、今は胸の話をしていますよ。それと、1万シオン奪うつもりだそうです。」
多分、共通語が分からないフリをして絡んでいるのだろう。
この世界には、共通語が分からない人間も存在するのかもしれない。
「何?お前魔王軍の言葉を話せるのか?見かけない顔だな。」
「あなた、魔王軍の言葉が分かるんですか!?」
魔術師の女性も驚いたのだが、それよりも喰いついているのが、この三人組のリーダー格のような男。
「8つ?いや、9つ?の言語を話せますよ。」
「9つ?お前、さては転移者だな?」
高校生くらいの人だろうか。
というか、顔で思い出してしまった。
こいつ、アレじゃん。
日本語が通じるはずだが、一応ここの共通語であるポラリス語で話すことにした。
この3人、明らかに彼女たちの言葉が分かっている表情をしている。
「自殺をしてここに転移した逆林厚則くん!遺書にはなんと『自殺したら異世界転生できると思った。死んで、異世界に行きたかった』と書き、ニュースにもなり、ネット上で晒し者になり・・・!」
「俺と同じ世界からの転移者か!黙れ!殺すぞ!俺は人より300スキルポイント高いんだ!プラン選択に失敗した雑魚め!」
「お前、そうだったのか・・・?」
「300ポイント?500じゃなかったのかよ!」
この恥ずかしい高校生は、顔を真っ赤にして魔王軍の言葉で言い返してきた。
日本語やポラリス語で言い返さない辺り、多分もう魔王軍語に慣れてしまっているのだろう。
って、300ポイント・・・?
その人によって選べるプランの強さは違うらしい。
均衡を保つためだから仕方ないのだけれど。
確か、一つの言語習得に80ポイント。
ポラリス語と魔王軍語で160ポイント使ってるとして、残りは140ポイントか・・・。
女神は、100ポイント溜まるためには1年程かかると言っていた。
こいつが死んだのは半年前だから50・・・
じゃない、1年の長さが2倍くらいだから、たったの25・・・。
最初から強いことを考慮しても、言語以外に回せるのは200ポイントくらいなのでは・・・?
「そこの剣士と魔術師さん。レベルはおいくつですか?」
「すいません、それはさすがに教えられないです・・・」
紫髪の魔術師が、丁寧に答えてくれる。
多分、悪い人ではないのだろう。
魔術師も、その隣の銀髪の剣士も、見た目は強そうに見える。
「この顔真っ赤にしている男、多分レベル240くらいです。剣士さん、魔術師さん、もしかしたら倒せるかもしれませんよ。」
「240とか言ってるぞこいつ、舐めやがって!お前、レベル600だもんな!」
「え、いや・・・」
彼女たちも言語スキルを習得してる可能性があるので、それを考慮しての240だ。
「あたしは218。あたしの親友、このみは230だよ。魔王軍の手下共、勝負しましょう!」
「レベル200代だってさ。この男もまとめてさっさとやってくれよ、ギルマス。」
「おら、レベル600の暴力だぞ!」
「いや、逃げよう!逃げるぞ!」
「は?何を言ってやがる!初めての強盗仕事だからってビビリすぎだ!」
「逃げるぞぉおお!」
「ギルマス!ちょっと!」
「このみ、追うよ。あんなビビリ男、あたしの魔法でイチコロなんだから。」
「魔法は私の方が強いでしょうが!アイスウォール!」
このみという魔術師の少女が叫ぶと、残念高校生の逃げる方向に高い氷の壁が立った。
同時に周囲が暑くなる。
見るからに魔法だが、詠唱時間は無いように感じた。
この世界の魔法はかなり強いのかもしれない。
「あとはあたしに任せて!カルミネイティドソード!」
剣士がそう叫ぶと、彼女が背中から抜いた剣は白い光を纏う。
銀色のロングヘアーと黒い服、そして白く輝く剣がマッチしてとても美しく見える。
「三人まとめてぶっ倒すよ!」
「カレア、危ない!」
剣士はカレアという名前らしい。
魔術師のこのみには、一人の男が投げた手裏剣が見えているのだろう。
この手裏剣は、突っ込んでいく剣士には目視できない。
でも、レベル差があるはずだ。
こんな攻撃、服の防御力で守られるに違いない。
「マスタースラッシュ!ひぁっ!」
剣士カレアの剣先から強い波動が広がり、3人の男は逃げる間もなく波動に飲み込まれてしまう。
それと同時に、彼女に手裏剣が数個刺さる。
あまり深くは刺さっていなさそうだが、血が出ている。
「カレア!大丈夫!?今治すから!」
「そんな深い傷じゃないから、後でいい。それより、あの男達をどうにかしましょ。」
「どうにかって・・・ もう気絶してるし、逃げたほうがいいんじゃ・・・」
「レベル600だよ!?手持ちの金もたくさんありそうだし、マスターチケットの1枚くらい・・・」
「600なわけないじゃない。」
魔法やスキルやらに圧倒され見呆けている俺が、口をはさむ。
「彼は僕と同じ世界から来たんです。300スキルポイントを追加で得た状態で。多分、言語習得スキルに最低160ポイントは使っています。」
このみが驚きと安堵の表情を見せる。
「あの方と顔見知りなんですね。勇敢な判断ありがとうございます。」
完全に他人なんだけどな。
「転移者ってセコいよねー。特典付きなんだから。あ、あんたは何の特典を貰ったの?」
「カレア、見れば分かるでしょ、言語だって。しっかりしないから、そうやって傷を負うことになるのよ。」
「はい。特典として7種類の言語を完璧にマスターしています。ですが、転移したばかりで金もスキルも無くて・・・」
金もスキルも無いんだよ!こういう時は美少女に助けてもらうところだろ!?
「職業証見せてよ。レベルいくつ?」
剣士カレアが男達の荷物をまさぐりながら、俺の相手をしてくれる。
「すいません、職業証はまだ持ってないんです。どこへ行ったら貰えますか?」
「手をあの・・・ こういう風に動かして・・・」
「カレア、その手の動き下品!あなた、なにも知らないんですね。」
カレアは、手で良く分からない動きを伝えようとしている。
下品には見えないが、この世界では下品なんだろうか。
そして、このみはかわいそうな目で俺を見ている。
「手を動かすんですか?」
「ああ!職業証が出ないように伝えるの難しい!」
「レベルはバレてるんだから出てもいいでしょ。こうするんですよ。」
そう言って、このみは右手を動してみせる。
おいでおいで、の仕草である。
確かに、カレアの手の動きはよろしくなかったな。
元の世界でも変な方向に取れなくもない。
このみの右手の上に水色のカードが現れ、このみはそれを右手でうまくキャッチする。
このキャッチはかっこいい。上手くなればモテ仕草だったりして・・・ と、どうでもいいことを考えていると、職業を紹介された。
「私のハンドルネームはこのみ。レベル230のプリーストよ。あなたは?」
ギルド名はブラックバット。名前からして強そうなギルドだ。
にしても、氷魔法も使えるプリースト、か。
仲間にしたらとても頼りになりそうだ。
このみはハンドルネームらしいけど、この世界では本名を表に出さないのだろうか?
俺も右手でおいでおいでの仕草をしてみる。
右手より少し上に現れた職業カードを、かっこよくキャッチ!したつもりだったのが・・・
「そのキャッチは結構難しいんですよ。どれどれ・・・?」
落とした!恥ずかしい!
このみは、俺が落とした職業証を手に取り、じっくり見ている。
「名前、相内太陽。職業名、ノービス。レベル0。ギルド未所属・・・」
「太陽だって、面白い名前してるね。ノービスだから本名でしょ?」
「カレア、失礼でしょ!この人は転移者よ。」
元の世界でも珍しがられたけど、恥ずかしい・・・
「スキルはえっと、ルシフェリッシュマスター、ポラリッシュマスター、イグニッシュマスター・・・」
この女、俺の手の内をどんどん暴いていく!
言語能力がスキル扱いなのは意外だったが、所詮はレベル0の無職だ。知られて恥ずかしいことなんて何もない。
「すごいですね!合計630ポイントじゃないですか!こんなの強すぎるにもほどがありますよ!」
630・・・ あれ、言語習得って80ポイントじゃなかったっけ?もしかして90?
「このみ、言語習得スキルは90ポイントじゃなくて80ポイントでしょ。」
「カレア、計算みたいな得意分野ではいい気になるのね。言語習得は基本は80ポイント、魔王軍の言語だけ特別で150ポイントよ。」
「あちゃー・・・」
なるほどな・・・ ってことは、奴は150と80で言語に230ポイントも使っていたのか。
俺はこのプランを選んで大正解だったようだ。
「このみ、持ち物は全部見たよ。3人でたったの12万ヘラ、マスターチケットは無し。これがレベル600なの?」
「彼は転移時に300ポイントを貰いました。そして言語習得に最低230ポイントも使っています。彼は正真正銘雑魚ですよ。」
「あ、それ私が言おうとしたのに!」
この二人、妙にプライドが高いな・・・
まあ、気が強い女ほどデレるのが可愛いんだよな。
マスターチケットというものが何なのかは分からないが、今はそれよりも・・・
「あの、街まで案内していただけませんか?転移したらいきなり草原の真ん中で訳が分からないんです・・・」
「ねえ君。630ポイントもあるレベル0なのよね。よかったらあたし達と仲間にならない?」
「それ私が言いたかったのに!」
仲間にしてくれるのは嬉しいのだが、利用されそうで何か怖い。
しかし、二人とも可愛い。胸も大きいし。
剣士の名前は、カレア。
銀色のロングヘアーを風になびかせ薄水色の線や模様が入った、黒を基調とした服を着ている。
軽装とすらいえないほど薄い服なので、ミニスカートがあっても細身に見える。身長は160cmほどだろうか。
そして、スレンダー体形ながらも胸は結構ある。
「そろそろ怪我治すわね。ライトヒール!」
「ありがとう、このみ!あともう一回で完治する!」
そしてさらに胸が大きい魔術師、このみ。
紫色の長めの髪をツーサイドアップに結び、空色の魔術師の服を着ている。
ミニスカートとニーハイソックスの間の絶対領域は誘っているとしか思えない。
身長は150cmほどで、良い家系の人なんじゃないかと思わせる美しいスタイルだ。
二人とも歳は15~6くらいだろうか?いや、こことは1年が違うから、えっと・・・
「なーにじろじろ見てんの?」
「視線がいやらしいですよ。」
「お願いします!ぜひ仲間に入れてください!家も金も職業も無いんです!助けてください・・・!」
プライドなんていらない。
一回死んだ身だし、せっかくくれた命を大事にしよう。
「職業証返すよ。しまうときは逆のことすればいいからね。」
あっちいけーの仕草をすると、職業証が消えた。
便利なのだが、誤爆が怖いな・・・。
「街はこちらの方向です。このあたりは強いモンスターもいませんので、安心してください。」
「ありがとうございます。そういえば、二人は強いのになんでここにいたんですか?」
「癒されるためです。ここの空気って、美味しいじゃないですか。」
「そうですね・・・。普段は二人で狩りとかしてるんですか?」
「いえ、私とカレアは別のギルドなんです。」
「あたしたちは親友だけどね。」
話をしながら歩いていると、モンスターにも出会わずすぐに街に着いた。
そこそこ広い街で、中の方に行くと店がたくさんある。
辺りを見回してみると、「レベル300超え商人の果物屋!」というおもしろい看板が見えた。
どうやら、この世界は狩りだけでなく商人向けのスキルもあるみたいだ。
空を見る限り昼間だが、街は大賑わいだ。
「ここがギルドの建物です。職業登録はこの街でしか行えないので、太陽さんはいい場所に転移したんだと思います。」
「そりゃあ、ボーナス付きなんだからいい所に転移するでしょ。」
結果オーライだが、正直言って街に転移するほうが親切ではないか。
ギルドの建物は木造で、外から見る限り7階まであった。
職業登録ができるだけあって、非常に大きな建物である。
「受付は1階で、登録は3階で行います。3階より上は立ち入り禁止ですからね?」
立ち入り禁止って、気になるじゃないか。
「レベル200超えの二人なら、4階くらいは行ったことありますよね?」
「いや、ありませんよ!」
「ないない。」
このみが結構動揺している。
多分、行ったことがあるのだろう。
「いらっしゃいませ。ポラリスギルド本部受付です。」
受付嬢は俺を見るなり、不思議そうな顔をする。
そういえば、俺は部屋着のままだった。
急に恥ずかしくなり、早くかっこいい装備をつけたくなる。
街を見渡した限り、ポラリスは街の名前らしい。
言語のスキル名がポラリッシュやイグニッシュと書いてあるので、言われてみればたしかにそうだ。
「すいません、この方の職業登録をお願いしたいです。」
「3000シオンになります。」
「ほい3000シオン。12万ヘラもゲットしたから、3000くらい気にしないで。」
「随分と気前がいいですね、カレアさん。ありがとうございます。」
「仲間なんだし、これくらい気にしなくていいよ。」
「7言語習得者なので、大事にしたいんですよ。」
このみさん、そういう発言が怖いんだよ!
出身と名前を書いた俺は、呼ばれるまで椅子に座って待っていた。
どうやら、職業登録は1人でいかなければいけないらしい。
担当の人が詳しいことを教えてくれるらしいが、その前に美味しい情報をいただきたい。
「ヘラとかシオンって通貨ですよね?どれくらいの価値があるんですか?」
「5シオンが大体3ヘラ。ヘラは魔王軍の間で使われてて、シオンはこの辺で使われてる。」
それは言語スキルのおかげである程度分かっている。問題はそっちではなく・・・
「果物とか衣服、家などは何シオンですか?」
「林檎が20シオンくらいで、普段着は上下合わせて5000シオンくらい。家は一軒家だと大体100万から1000万シオンです。」
そういえばこの世界、スキルの概念があるんだった!物価がさっぱり分からん!
そんなことより、今は職業についてだ。
「このみさんはプリーストですよね。カレアさんは何ですか?」
「剣士だ!へへっ。」
「アークメイジでしょ。職業証見せなさい。」
アークメイジ?
それって上級魔法職に付ける名前だよね?
剣でバッサリ斬った後に大魔法でとどめでも刺すんだろうか。
カレアはしぶしぶ職業証を取り出す。
名前、カレア。職業名、アークメイジ。レベル218。ギルド名、マジックナイツ3世。えっと、スキルはヘヴィホルダーと・・・
「ちょっと、勝手にスキルまで見るな!」
「さすがにスキルまで見ちゃだめですよ。」
ギルド名のマジックナイツ3世のほうが気になるのだが、今はまず職業だ。
「あ、すいません・・・。見た感じ剣士ですけど、アークメイジでも剣士のスキル取れるんですね。」
「職業名は自分で自由に付けられるんですよ。」
なるほど。俺はどんな名前にしようか。
まあ、気に入らなかったら変えればいい。
「つまり、アークメイジはフェイクなんですね。」
「うるさーい!さっさと3階行けー!」
なんかまずいこと言ったか・・・?
「職業名は一度付けたら変えることはできません。アークメイジを夢見た幼い少女カレアちゃんは立派な剣士になりました。」
「このみはね、回復魔法もまともに使えないくせにプリースト名乗ってるんだよ。このみこそアークメイジなのに。」
酷いシステムだな。
子供に将来見据えろって言ってるようなもんじゃないか。
「どうも、職業登録担当のティタンです。太陽さんですね、3階へ来てください。」
ティタンと名乗る男性。
彼が担当らしい。色黒で筋肉隆々だが、優しそうな人だ。
「いってらっしゃいー」
「いってらっしゃいませ。」
うーん・・・ あんまりいい情報得られなかったな・・・。
「無職のノービスは、スキルを習得することができません。」
「職業名は、一度付けたら変更することはできません。」
「職業名登録時に、ハンドルネームを付ける必要があります。」
大体分かってる事ばかり説明され、書類を書く。
そういえば、二人の職業名やニックネームは共通語のポラリス語だな・・・
「あの、ニックネームにポラリス語以外を使用することはできますか?」
「大体の方は、分かりやすいようにポラリス語を使用します。ですが、言語は自由です。ニックネームだけでなく、職業名もです。」
なるほど・・・
職業名は分かりやすくポラリス語で、ハンドルネームは日本語を使ってみるか。
「太陽さんすいません、ハンドルネームに発音記号の注釈をお願いします。」
恥ずかしくて正直書き直そうかと思ったが、日本語を貫こうと思う。
この人名を別の言語で表記するとダサいのだ。
「ご登録ありがとうございます。では、良い生活を。」
「おかえりー」
「おかえりなさいませ。」
カレアが何か食べている。
ホットドッグみたいな見た目をしているが、味もホットドッグなんだろうか。
見た目や匂いからして、食事の文化の違いには困らなさそうだ。
「なになにー?職業はシャドウ。ハンネは・・・ これ何?記号?」
「元の世界の言語ですか?」
「はい。半蔵です。元の世界にいた有名な忍者の名前です。」
「忍者ってマスターアサシネイトとか習得するアレ!?そんなすごい人が実在する世界だったの!?」
「カレアさんが思っているものとは違うと思います・・・。」
「半蔵さん、よろしくお願いします。」
「このみ、もう敬語じゃなくていいんじゃない?半蔵、お前も敬語じゃなくていいぞ。」
「俺は今日から半蔵だ。よろしくカレア、このみ。」
そういえば敬語の概念があるんだな・・・
元の世界の言語には敬語が存在しないものもあったはず。
「さて、半蔵のギルドはどうしようかねー。」
「私はギルドに入ってますし、カレアのギルドに入れてあげるのがいいのでは・・・」
ギルドの話になると、このみが浮かない顔をする。
何か嫌なことでもあるのだろうか。
カレアのギルドは、えっと・・・
「カレアの入っているギルド、名前なんだっけ。」
「マジックナイツ3世!ギルドマスターだよ。」
『はぁ・・・。』
俺とこのみが同時にため息をつく。
うーん・・・ マジックナイツは分かるんだけど・・・
「3世ってことは、1世や2世があったのか?」
「3世は3世なの!ここから始まったの!」
「ギルド名は重複できないので、カレアは3世って適当につけたんです。」
「だって、マジックナイツって名前が使われてたんだもん・・・」
「そうか。ギルドの人数は?」
「1人。」
「却下だ却下!このみのギルドはどうなんだ?」
「やめておいたほうがいいと思います・・・。」
このみは、とても悲しそうな表情でそう言った。
このみが所属するギルド、ブラックバットは。いわゆる・・・




