転落死
俺の名前は相内 太陽
16歳の男子高校生だ。
友達もいるし、勉強もまあまあできる。
そして、こっそりネット小説を投稿している。
先週、異世界転生作品「異世界で納豆を流行らせたら魔王討伐できた件」通称、「異世界納豆」が完結した。
そして、今日から新しい小説を書き始める。
タイトルは「自殺して異世界に転生したら自殺が賛美されていた件」通称、「異世界自殺」である。
キャラクター設定と世界観が完成したので、あとは適当に書き始めるつもりだ。
異世界ブームを壊すという野望を抱いているが、正直異世界ものを本気で書く気にはなれなかったので、適当に書くことにした。
数日後、1話から5話まで書き終えた俺は、30分間隔で5話までを一気に投稿した。
―――2か月後
6日前は俺の誕生日だった。つまり今俺は17歳である。
評価は、前回よりやや高いくらい。
順調に投稿することができ、見事にファンもついた。
ファンが「ついた」、というよりは「つけた」というほうが正しいのだが。
SNSで病んでいる人と沢山仲良くなり、この小説を勧めたのだ。
このままいけば、本当に自殺する人が出るのではないだろうか。
野望に浸っている中、スマートフォンからものすごい数の通知が来る。
(まーた何かバズってるのか・・・?)
通知はSNSからだった。
それを見た俺は驚き、歓喜、そして緊張を感じた。
「あなたの小説を見て自殺した人がいます。ええっと・・・ やめたほうがいいって、何度も言いましたよね?」
沢山の報告、暴言、そして俺を賛美する人もいた。
確かにこれを望んでたんだけど・・・ 本当に大丈夫なのか?これ。
結論としては、大丈夫では無かった。
「ねえ、ちょっと話があるんだけど?」
お母さんである。
「何の話かな?」
「自殺を勧める小説を書いてたって話だけど。ネットで炎上してるよ?シャドウアヴォイドって太陽でしょ?」
「ぷっ」
兄に笑われる。
別に兄はどうでもいい。
とにかくやばい。
やばい、やばいやばいやばい・・・!
「これからどうするつもりなの?もうすぐお父さん帰ってくるし、今日は家族会議するよ?」
いつもなら素直に怒られた俺だけど、今回ばかりは違う。
人が死んでるんだ。
緊張が高まり、頭の中がわけわからなくなる。
「ちょっとコンビニ行ってくる!!」
「待ちなさい、太陽!」
―――――勢いで家出してしまったが、行くあてはない。
財布も飲み物も持っていない。
ああ、寒い。素直に帰ろうかどうか考える。
「あの・・・ すいません。」
警察!?いや違う、20代のスーツのお兄さんだ。
私服警察は聞いたことあるが、スーツ警察は聞いたことが無い。
「相内太陽さんですか?」
俺の名前を知っている・・・?
「はい。そうですけど・・・。」
「おお、おおおお・・・!」
え・・・?
「おおお!田中、橋本、異世界自殺の作者本人だぞ!撮影してネットに晒せ!いいね1万はもらえるぞ!」
えええええ!?
まさか、もう顔と本名がバレているのか?そしたら学校と住所も・・・
とにかく逃げよう。
まずあの田中だか橋本だかのスマホから逃げよう!
とりあえずスマホからは逃げ切った。
「あそこだ!追え!WANTED!警察から金もらえるかもだぞ!」
ほんとどうしようもない奴ばっかりだ。
とりあえず木の陰に隠れて・・・
わさわさ・・・
なんだ・・・ 足に・・・ ムカデ!?
「嫌ぁぁぁぁああああ! ムカデーーー!」
あっ・・・
木の中を全力疾走した俺は、そのまま崖から転落した。
作者の僕は、この話で「自殺のほう助のほう助」はしていません。
作中の描写は曖昧ですが、「自殺のほう助」は犯罪であり、主人公の太陽は犯罪と知っていて行っております。
太陽は「自殺のほう助」を肯定的にとらえておりませんので、そこはご理解頂くようお願いします。




