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第一話


主人公:一ノいちのせ 遊里ゆうり

16歳 女性 高校2年生。叔父の経営するカードゲームショップでバイトをしている。

身長160cm 髪型は茶髪のミディアム。



「よし、これで俺の勝ちだ!」

「ま、まだだ、まだ次のドローであのカードを引ければ……」

「ははっ、引けるわけないから。諦めろって」

「うるせぇ、俺のターン、ドロー!」

「………………」

「……よっしゃ、引いた!これで、勝ちだ!」

 なんて、熱い会話をしている人たちを見ながらカードの束を前に作業をしている女子高生の私。何も知らない人から見ればちょっと異様な光景かも知れないけど、カードショップ店員の私からすれば普段と変わらない日常風景だ。

「てんちょー、これいくらですか?」

「えーっと、1200円……にしとこうか」

「はーい」

 キラキラ光ってるだけのカード1枚が1200円もするなんて……って去年の私なら驚愕してたことだろう。でももう慣れたもの。何の感想も抱かずにパソコンに値段を入力していくのだ。ぽちぽちぽち。

「あ、遊里ゆうりちゃん、今日初心者講習会あったよね?何時からだっけ」

「3時からですよ。あと30分ですしそろそろ準備しましょっか」

「そうだね。そこのダンボールに講習会のキット入ってたと思うから、よろしく」

「はーい。準備はしますけど、講習会始まったらちゃんと仕事してくださいよ、てんちょー」

「大丈夫、任せといて!……あ、それカウンターします」

 うら若き乙女を働かせながら、自分は常連の川崎さんとカードゲームを楽しんでいるこのダメな大人がこのお店の店長。で、私の叔父さん。叔父さんと言ってもまだ28歳で、私とひと回りしか違わないのであんまり叔父さんって感じはしない。ずっと遊んでくれてたからお兄さん感覚が強いのだ。一応お店にいる間は店長とバイトの関係なので敬語を使ってるけど……正直最初は違和感バリバリでした。

「遊里ちゃんはしっかりしてるねー、店長は遊んでばっかなのに」

「いやいや、僕も仕事してるからね?お客さんと遊ぶのも営業の一貫だし!」

「えー、店長は完全に遊んでるだけでしょ」

「えぇ!?そ、そんなことないって!」

 わははと笑い声が起こる。店長は仕事はよくサボってるけど、人当たりが良くて人気者。小さいお店だけど、店長の人柄もあって結構繁盛しているのだ。



「そろそろ時間かな、今日の初心者講習会の参加者は……2人かな?」

 時計を見るとちょうど3時。初心者講習会用の長机には2人の中学生ぐらいの男の子が座っていた。どうやら友達同士みたい。

「そうですね、ちょうど3時ですしそろそろ始め……」

カランカラン

 ドアについている鈴が鳴り、入り口の方を振り向くと、そこには1人の女の子が立っていた。黒髪ロングの美少女が。

「いらっしゃいませ」

「あ、いらっしゃいませー」

 ちょっと驚いて挨拶を忘れてしまった。他のゲームはもう少し女性プレイヤーもいるみたいだけど、うちの店で扱ってるゲームは女性プレイヤーが極端に少ないのだ。多分絵柄が一般的には可愛くないからじゃないかな、と思う。そんな事情もあって、うちのお店に入ってくる女の子は大変珍しい。

「あ、えっと……」

 キョロキョロと店内を見渡してる女の子。あ、ひょっとして……

「初心者講習会ですか?今からですけど参加します?」

「あ、そうです!ありがとうございます!」

 ペコリとお辞儀をする女の子。なんだこの子、可愛い。ふと後ろを向くと店内の男性客も同じことを思ったようだ。ちょっとニヤついてたりわざとらしく目をそむけたりしている。

 ……あれ、私こういう反応されたことないような気がするんだけど。

 ちょっと不満を感じる私に気づかない店長がニコニコしながら女の子に声をかける。

「こちらへどうぞ、このゲームは完全に初めてですか?」

「あ、はい。ちょっとネットで見て興味を持って」

「そうなんですね、最近は大会がネット配信されてたりもしますからね。面白いゲームなのでぜひ楽しんでいって下さい!えっと、初心者講習会は2人1組で進めるから誰か他のお客さんに……」

「あ、はい!わたし!わたしやります!」

 思わず反応して手を上げてしまった。

「え、遊里ちゃん?仕事は……」

「えっと……ほら、最初は女の子同士のほうが、気を使わなくていいかなって。それに、どうせあんまりお客さんこないですって」

「えぇ……まあそうかぁ……じゃあ遊里ちゃんに頼もうか。お客さん来たら何とかしようか」

「はーい」

 ちょっと残念そうにしてる他のお客さんを横目に、私は女の子の反対の席に座った。

「私、遊里っていいます。よろしくお願いします」

「私は四宮風音しのみや かざねといいます。よろしくお願いしますね」

 そんな周りの目も気付かずにニッコリと笑う女の子、四宮さんを見て、可愛いなぁ、とか守ってあげたいなぁ、とか思ってしまった私だった。

続きます。

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