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山上を調べた。


大道が二人目に聞き込みをした男だった。


大道はとりあえず山上をターゲットにすることに決めた。


今のところは彼しかいなかった。



山上成一。三十二歳。


どんな男かと問われれば、平凡なサラリーマンと答えるしかない男だった。


ただし温厚でまじめな人柄で、周りの評判は良いようだ。


ところがともちゃん絡みで仲間内の前では、並木に対してあからさまな敵意をむき出しにしていたと言う。


動悸は十分にあると思われる。


他の可能性ももちろんあるが、現時点で一番怪しいのはこの男だろう。


――あとはどうやって調べるかだが。


特定の人間に何度も話を聞きに行けば、当然相手は警戒する。


そうなれば記者に対して律儀に答えてくれる人間など、まずいない。


――聞いてもあと一回が限度か。


その一回をどのタイミングでしかけるか。


それが一番大事なことだと大道は思った。


大道は少しだけ間をおくことにした。


その間は、もうすぐ片付きそうでまだ片付いていない前の仕事をすることにした。



数日後、郊外にある小さな一軒家を訪ねた。


山上の家だ。


一人暮らしである。


ともちゃんと言う女の子と付き合っているにもかかわらず、外から確認すると休日だというのに山上は家にいた。


今日はデートの日ではないらしい。


呼び鈴を押すと、ちょっと間をおいて顔を出してきた。


「ああ、あなたですか」


それほど嫌そうな顔はしていなかった。


なんでわざわざこんなところまでやって来たんだろうか、という疑念は読み取れなくもないが。


「いや、まだ例の事件を調べていましてね。それで並木さんの知り合いをもう一度一通り訪ねることにしたんです」


もちろん嘘だ。


が、山上は予想通り、その嘘には気がつかなかった。


「そうですか。ご苦労様です」


この言葉は本心のようだと大道は感じた。


やはり人はいいようだ。


「で、何を聞きたいんですか?」


「まあ、交流関係ですね。今回の場合は、男女のことが一番重要になりますが」


山上がなにか言おうとしたが、大道は口を挟ませなかった。


「並木さんは確か独身でしたが、誰かお付き合いしている異性とかいませんでしたか?」

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