第8話
この部屋の主人であるあたしがこんなに苦心しているのに……対岸の火事とでも思っているのではないか。
あたしが他界したらこんな残念なピンクの部屋を使いたがるやからなどいないのではないか?
封鎖だ。きっと。そして内装が一変するだろう。部屋の一角をしめるクマや犬のぬいぐるみは灰に変身し風に吹かれ無かったものになる。
この年齢でぬいぐるみは……どうなんだろう。酷すぎかな。今回のあたしは甘やかされ過ぎて残念な人になっている。
自省猛省反省である。ああ、頭痛いわね……もう。あたしはカリカを見て言った。あることに気づいたのだ。
「カリカ……ケホッ……薬ないの? 痛み止めとか……」
それに彼女は迂闊だったみたいで口に手を当て「すみません! 失念しておりました! 今すぐとってきます! すみません!」とペコペコモードになりつつ駆け室外へと進んだ。
あたしが頭をつねって痛みよ消えろと念じているとタッタッタと音が廊下でしてカリカが慌てて入室。
彼女の手にはトレー。その上には水差し、コップ、小袋入りの錠剤と粉薬。
あたしは体をなんとか起こしダルダルだがカリカから薬をもらい口に入れコップの水で体内に流し込んだ。
幸い苦くはない。そして三日ほどして快癒した。やっぱり健康第一ね。生き延びれてよかったー。死にそうだったし。