12話 悪魔な彼女と勇者の彼らがすべてを終わらせる
【作者より】
この話は『不思議な事件が起こる学校で(http://ncode.syosetu.com/n7464cg/)』の最終話のパターン2として掲載させていただいたものの再掲載です。
彼らはありえないと思っていた。
今まで一緒にいた仲間が敵として彼らの前にいるということを……。
「なんで、よりによってネオンなんだよ」
「それはわたしだって言いたいよ」
「まぁ、事情はよくは分からないが……」
彼らはそれぞれ思ったことを口にする。
「なぁ、ロレンス。ネオンってあんなに細かったっけ?」
「オイ、ベル。近くにラントがいるぞ。そして、彼女も……」
「ベルのデリカシーなし!」
それを耳にしたラントはベルに弓矢を放った。
「ラント、止めろ! デリカシー云々(うんぬん)どころじゃない。今はこの状況を打破しないとならない」
「そうだな」
「そうだね」
その時に何本かのナイフが彼らに向かって投げつけられている。
彼らは反射神経を活かしながら、それを避けているが間に合わない。
「オイ! そんなにナイフを投げてたら危ないじゃないか!」
「何、ぼやぼやしているの? 面白くないわね」
と言いながら胸の隠れている部分からナイフを投げつけるネオン。
「面白いもの? みんなでやってやろう」
「うん。本当はやりたくないんだけどね」
「あぁ。今はやるしかないからな」
ベルは銃を、ロレンスは槍を、ラントは弓矢を構えて彼女に立ち向かう。
♯
第2体育館は銃声やらが響いているので、第1体育館にいる生徒達や先生達はどんな状況なのか全くもって分からないせいか怯えている様子だ。
しかし、彼らはベルモンドと謎の白衣の美女パースエイダープレイヤー・ミサやニャンニャン刑事、ニャンニャン仮面が学校のために戦っていると信じており、予餞会は中断せずに続行していた。
♯
一方の第2体育館は謎の白衣の美女パースエイダープレイヤー・ミサ達は愚か、全くの別人が戦っていた。
空薬莢や的外れに放たれた弓矢、もう使い道がなさそうな槍などが転がっていた。
先ほどもロレンスが魔術を仕掛けたが、ネオンは壁を作ったので、無効となり、彼に戻ってきており、少し横になっている。
「なぜ、俺の魔術が使えないんだ……」
「彼女は細身なのに強すぎる……」
「なんか、だんだん強くなっているのは気のせいかな……」
「っていうかまた俺かよ!」
彼女はベルの胸に向かってナイフを刺そうとしたが、彼は銃で彼女の足首をめがけて撃った。
「っつ……」
彼女の色白の肌に血が流れる……。
「やったか?」
「残念」
「なんだって!?」
「普通、わたし達は身体の一部を撃たれたとしても、痛くて庇ったり、戦うことを止めると思うんだ。でも、今の彼女の身体はわたし達とは違って、痛みを感じることはできたとしても、ご覧の通りに動く」
「これが悪魔の力……」
「その通りだと思うよ。さて、わたしも攻撃してもこようかな」
「ラント、気をつけてな」
「うん」
ラントはポケットから腕時計を取り出し装着すると、
「腕時計で何するつもりなの?」
「ひ・み・つ」
彼女は腕時計を止め、ネオンの動きを止めた。
「ロレンス、大丈夫?」
「あぁ……。ラントにそのような能力があったとはな……。感謝している……」
「いいえ。あと少しで動き始めちゃうからね。まだどうなるか分からないけど、頑張ろう?」
「そうだな」
♯
ラントは腕時計を進め、ポケットにしまった。
彼女らは徐々に疲れた表情になっているが、最後まで諦めないと決意したのである。
♯
一方のネオンも疲れを感じ始めていた。
彼女はナイフを使うことには最初は抵抗があったが、今ではしっかりと手になじむくらいになっていた。
♯
ぴゅんと弓矢が放ち、それを示唆したかのようにナイフでそれを落とす。
彼女に向けられた銃口から銃弾が発射されたら全身全霊で避けたりする。
武器により4人の着ている服は傷み始めている。
「なぁ、これで終わりにしないか……」
「ネオンも疲れたんじゃない?」
「そうね……」
「では、俺から……」
ベルはネオンが持っているナイフを1つ取り上げた。
「これで……終わるならば……」
彼は彼女の心臓に向かってナイフを突きつけたが、あいにく左腹部に深い傷ができ、彼女は意識を失った。
残りの2人は彼らがやっている間に、すでに倒れていた。
そして、彼も彼女を抱えたまま座るように倒れるのであった。
こうして、先ほど練られた秘密作戦は水の泡となってしまったが、すべてを終えたのは確かであろう……。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
本編である『不思議な事件が起こる学校で(http://ncode.syosetu.com/n7464cg/)』もよろしくお願いします。
2016/07/24 本投稿




