おしょうがつほどひまなのですっ!
ホモじゃないけど、ハルマはロリファザコンに進化した!!←酷いわ
トーマスはハルマの付き添いに格が下がった
巫女服巫女服
「はぁ、なんかネタないの?トーマス」
ハルマがトーマスの方を見て口をへの字にして見せた。
「ブログのネタを要求されてもなぁ、正月ネタでもやれば?」
「お正月ね、お正月お正月、巫女服?」
「極東っぽいな」
腕をくみ、うんうんとトーマスが頷いた。
「確か、僕のメモリーによれば、巫女服あるんだよね」
ガサガサと机の回りを漁る。ハルマの机の回りにはたくさんの女の子が描かれてる同人雑誌やポスター等が散らばっている。非行には走らなかったが育つ道がずれていることには変わりはない。世間一般的にオタクといわれるものになっていた。
「Elenに見せてないんだろ?この部屋」
「見せてないけど、そこに掛かってるメイド服を着せて給仕させたことならある」
写真ならパソコンのデータにあるけど、とハルマは続けた。
「最悪な息子に育ったもんだ」
「ネットしかやることないからね。ロボットだからといって、特に目立つ能力無いし……あったあった」
出てきたのは袴がやけに短い巫女服だった。
「父さんに似合うかな?」
「Elenか?さぁ……」
「今、スリープモードだよね?」
ハルマの顔が喜びに満ち溢れている。コイツはやるなとトーマスは悟った。そして、白衣のポケットに入っていた四角いリモコンをハルマに手渡す。
「くれぐれも無くすんじゃねーぞ」
釘を差すのも忘れなかった。
ハルマはにこやかにリックの部屋へ向かった。無駄に豪華な天蓋付きのプリンセスベッドに彼は寝ている。全体的にお姫様のような家具やらなんやらでまとめられているのは、リックではなくペルセポネの趣味なんだそうだ。彼女のリックに対する願望を叶えたらこうなったらしい。
「いつ来てもすごいな……この部屋」
確かに父さんは興味ないかもとハルマは考えながらベッドのそばによる。リックがすやすやと寝息をたてながら寝ていた。とりあえず一枚写真を撮っておいた。
ノックの音とともにトーマスが入ってきた。ハルマは音をたてんじゃねえと怒鳴りそうな顔をして彼をにらむ。トーマスは手を合わせて謝る動作をした。
「こうしてみると俺の発明はヤバいものを作った気分だな」
「ロリコン親父に食われそうな、か弱い姿してるよね」
はたから見れば体格のいいハンサムな男と可愛らしい顔立ちの少年が、幼い少女が寝ているベッドの横であーだこーだ話している危ない図が出来ているけど全員男だから問題ないよね。とハルマは決めつけていた。
「ネットに住む貴婦人がたは喜びそうだがな」
「う゛っ」
寝ているリックの服を脱がせながらハルマは呻き声をあげた。
「あ、食べかす」
リックの頬にはさっき食べたおせちのタレが少しついている。ハルマはタレを舌で舐めた。
「昆布だ」
昆布だったらしい。上衣を着せて、短い緋袴を穿かせてハルマの大仕事が終わった。そんなことも気にせずリックがずっと寝ていられたのは今、トーマスの持つ四角いリモコンが彼のスリープモードの時間を伸ばしたからなのだ。
「意外と可愛いね。こう白に白だから神聖な感じがしてさ」
コイツが起きたらヤバいんだろうなと二人は考えることはやめて、長めの前髪を耳にかけ、長めの女の子のような後ろ髪をツインテールに結ってから二機と一人の静かな撮影大会が始まった。
「そろそろスリープが解けるぞ」
トーマスの合図でハルマは撮影を止める。ベッドの上ではだけた巫女服を着たリックがゆっくりと目を開ける。目の前には、息子と自分の製作者がニコニコと自分を見てくる。彼は少しずつ自分のおかれた状況を理解していった。
「父さん……これには深いわけがあって……」
リックはオーバーヒートを起こしそうなくらいにまで紅潮し始めた。
「トーマスが見たいって言ったんだ!!僕は違う!!関係ない!!」
「自分のやったことを押し付けるのは悪いと思いまーす。ハルマが悪い」
二人して相手を指差し、知らん顔でこの場を切り抜けようとした。しかし今回はそうはいかなさそうだった。
「君たちねえ……」
「Elenはまだ知らないの?今日は怒ると、一年間怒りっぱなしになっちゃうゾ」
いつの間にかトーマスの手からリモコンが抜き取られていた。リックの動きが大人しくなり、腰が抜けたかのようにヘナヘナと地べたに座り込んだ。
「Ellen……」
リモコンの持ち主はリックと瓜二つの少女だった。膝から先がなくふよふよと浮いている。
「私が生きてたらもっと生き生きと巫女服着れたのに~とりつこうか?」
「やめてくれ」
「彼氏でしょ!喜びなさいよ!!」
とEllenは逆ギレまで始めた。
「恥じらいがまた美しいんだよ。君にはわからないと思うけど」
ハルマは持論を言い始めた。
「トーマス」
リックが彼の名を呼ぶ。
「どうした?」
「出ていってよ」
トーマスの頭の上にはてなマークが浮かんだ。
「着替えるから出ていけ!!」
たまたま人差し指と中指が立っているチョキの形をした右手でリックはトーマスの両目を突いた。崩れ落ちるトーマスに肩を貸して
「父さんのツン度が高すぎてモヤシが最高にうまい!!」
とハルマは彼の部屋を出ていった。
それだけではハルマの野望は終わらない。リックの部屋にはこの研究所には監視カメラがたくさんついている。ハルマは監視カメラの映像を自分のパソコンに繋いでいるのだ。
「わたしとトーマスにできるはずだった息子はさ、こんな子になるかも知れなかったのね」
「まあ、夢があるのは良いことなんじゃないか?ロボットには不可能だったことが彼らで可能になっていってるんだしさ」
「まさかペルちゃんと同じ趣味になるとは思ってなかったわ」
「そうだな」
1月1日午後1時ロボットが二機と人が一人と幽霊が一体。清々しいような騒がしいような楽しい一年が始まりそうな予感がした。
正月は!!神社だ!!