プロローグ0 姉の場合
目の前に机があり、椅子があり、机の上には一枚の紙とペンが置かれている。
よくわからないが、前後左右まっしろな空間に私は立っている。
ああ、これは夢だな。と、私は考える。
仕事やら日々のストレスで妄想世界に逃げたがるのは私の得意技だ。最近の世の中は腐ってる人間にも寛容になってきてはいるが、やはりどうも周りに「私って腐ってるんでーす☆」なんてカミングアウトできるのは一部の人間に限られるのでは、と思う。隠れて活動するのが当たり前だった私の時代では、大体が同類というものはなんとなーく解るのだ。カミングアウトされて「ええ!?あの人が!?」と驚く場合もあるような人もたまにいたりするけど。まあ、同類といったってオタク世界には様々な趣味人がいるのでどうしても相互理解には至らない相手がいる。そこらへんは相手の趣味を尊重するのが正しいオタク道だと私は思っている。尊重と同意はまったくの別物だが、住み分けというのは大事だろう。転職して入った会社でどう見ても二次創作品ですBLですという文房具を見てぎょっとしたりとかしても、スルーするのが社会人でしょう。きっと。
さて、私の前にある机。どこにでもある公立の学校で使用されてるような机である。学生でなくなって10年以上経つ私にとってはとても懐かしいものである。気に入らない級友の悪口を書いたりとか卒業記念にカッターで文字を刻んだりとかそんなことはしたことはないが、落書きくらいは書いて消して遊んだ覚えはある。椅子をひくとぎーという耳障りな音がした。ああほんとうに懐かしい。
椅子にすわって机の上に置かれたペンを手にとる。
ああ、高校時代は真っ白な紙を折って4コマをよく書いてたよな、と思いながら机に置かれた白い紙を見る。
見て、目が点になった。
目の前の紙には、こう書かれてあった。
転生希望アンケート用紙
この用紙は神様のきまぐれによってできています。
正直に欲望の限りをぶつけて書いて見ましょう。日々のストレスを忘れることができるかもしれません。
なお、この用紙はランダム質問となっております。運試しもかねてレッツチャレンジ☆
どうせ夢です。なんでもありです。
なんだこれ。