創作的な河童さん
すこし、思い立って書きました
少年と河童です。
では
退屈な日々
下らない環境
嫌気がさした今日この頃
少年は、河童に会った
もう、梅雨明けも近かった。それでも、じとっ、とした空気は変わらない。まるで、ぼくをとりまく嫌なものの集合体か、はたまた、世界からの嫌がらせか。
まるでそういうものだというように、この気分は変わらない。
毎日、そう毎日変わらない。
でも、今日は違った。<いつも>とは確実に。
今日は河童に会った。
不思議な河童だった。
道でたおれていた。
助けてみた。
礼を言われた。
礼に何かしてやると言われた。
ぼくは何も望まなかった。
それならと、河童は自分のいる場所を紹介していった。
なぜか、気になった。
その日はそれで終わった。
次の日も、河童に会った。
今度は寝てた。
風邪をひくと思ったので起こした。
起きた。
河童はまた礼を言った。
また、何かしてやると言われた。
また、ぼくは何も望まなかった。
そうか、と、河童はつぶやいた。
昨日教えた場所にいるとさいごに言った。
やはり、気になった。
その日もそれで終わった。
その次の日は、河童は干からびかけていた。
焦った。
水をかけて、きゅうりを出してみた。
きゅうりはいらなかったようだ。
そんな河童が気になってしまった。
また、礼を言った。
また、何かしてやると言われた。
この日のぼくは、河童のいる場所へ行った。
そこには色々あった。
河童はいつも何か創っているらしかった。
文字どおり、創っていた。
なので、見たことないものばかりあった。
そこは、とてもおもしろかった。
河童はいつでも来るといい、と言い残して何か創り始めた。
その日はそこで終わった。
気がつけばぼくは毎日そんな創作的な河童のもとへ向かっていた。
そんな、河童を見なれると他のものはこわくなくなって、世界に溶け込みみはじめた。
それからだ。
河童と会う日は減っていった。
なぜか会えなくなった。
会えば楽しい。
だけど。
会いたくても、会えなくなった。
河童曰く、時間切れ。
もう、こちらにはいられないとのことだった。
さいごにひとつ、創ってくれた。
それは、他愛のないおまもりだった。
なぜこれなのかきいた。
河童なら、もっとすごいものを創れると。
河童はこたえた。
俺の役目は終わった。
意味がわからなかった。
河童は消えた。
次は友達と呟いて。
それから十年だ。
ぼくが僕に変わり。
河童が河童さんになっていたとき。
また、じとっ、とした空気だった。
なにかいた。
河童がいた。
また、たおれていた。
またか、と思った。
また、助けた。
また、今日は違う。