休日
アオイが目を覚ましたのは、日がのぼりだして間もない早朝。
意識の覚醒を促したのは明らかに近所迷惑になるであろう単車の走行音だった。
まだ少し眠気の取れない目をこすりながら洗面台へ向かう。
蛇口から飛び出した冷水は程よい眠気覚ましとなった。
先ほどから居候の住民を見かけないとなると、やはり先ほど単車の主は割と察しがついた。
アオイは仕事があるときは仕方なく胃袋に食物を押し込むが、プライベートは少食で済ます。
焼いたトーストをかじりながら、しばらくの予定を考える。
大体がこの連休じたい定休日ではなく、休み返上続けたアオイに会社側が無理やり取らされたもので急なことにアオイも困惑していた。
いつもの休日はBJや同僚と出かけたりするのだが、生憎、BJは遠方に出張すると夜間に着信が入っていた。 他の連中は通常通り仕事、探せば何人か捕まると思うが、そこまでやる気はない。
家事をするにも、趣味の機械いじりも興味がわかなかった。
ソファーにもたれ掛かりながら、暇を持て余した瞳がブラウン管に映しだされた映像を脳に伝える。
どうやら、この時期は流星群が拝めるらしく多くの人々が遠出でキャンプや、日帰りで向かうらしい。
ーーー思考ーーー
アオイはソファーから立ち上がり、自室や居間からガレージから屋外用の道具や食糧を集める。
すべての荷造りをサイドカーに載せ、自宅の戸締まりを確認する。
今頃、岩石を相手に鍛錬に励む、同居人の端末に鍵の隠し場所、夕飯の軽い調理法、部屋の扱い方、最後に帰る予定の日時を記載。
送信完了の画面が表示されたのを確認したあと、端末を懐にしまう。
ずいぶんの間ガレージで眠っていたサイドカー付きの単車に跨り、アクセルを捻る。
いつもの日差しが違うものに感じられたのは、たぶん気のせいであろう、そんなことを考えながら、単車の速度を上げた。
目的地に着いたのは結局その日の夕暮れであった。
途中に休憩を挟んだり、近くの小村に立ち寄ったのが、主な原因であろう。
流星群が訪れるのは明日の真夜中、正確にいえば今日の午前零時になる。
森のなかで丁度木々たちが伐採された拓けた場所でのんびりキャンプを建てる中、あたりに人の気配は全くしない。
いい穴場を見つけたな、と内心アオイは喜び、作業を続けた。
作業が終わり、家から引っ張り出した携帯食糧をかじっていた頃には日はどっぷりと暮れていた。
ふぅ、アオイは手頃な切り株に腰を下ろす。
たきぎを作りたい気分だったが、必要以上の伐採や、森林内での私用着火は法に触れるし、下手したら“森の住人たち”にその場で斬り捨てられる。
アオイ無難に荷物の中から屋外用のランタンを取り出す。
見た目はアナログだが、実用的で獣の嫌う臭いを漂せたり、発光に寄ってきた羽虫が焼き殺すといった機能がある。
薄い水色の発光色をただ見つめる。
風で木葉が揺れる音が心地よかった。
ゆっくりと瞼を閉じ、意識が預けた。
風で木葉が揺れる音が心地よく。
その音色を耳に残し、ゆっくりと瞼を閉じ、意識を睡魔に預けた。
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