1-1…神様
いま、おれの前には口調の悪そうな少年の神様がいる(自称だが、信じられるわけねぇだろ。なので以後、「ガキ」と称する)。名前は「フェイリス」というらしい
とにかく、こうなった経緯を簡単に説明すると、「ヘマをし、死んでしまったのだ」。ん?具体的で経緯がないって?それに神様が目の前にいる時点で死んでるって知ってるって?いいじゃない別に。世の中そういうもんなんだし。まだ理解してないようなので、ちゃんと説明してやろう。
こうなったのには、きちんとした理由がある。経緯はというと、友達がガラの悪いやつにフェンスのない屋上でいじめられていた→紳士な俺様が、止めに入る→友達と一緒に屋上から落とされた→そして紳士な俺様が、友達をかばうように下敷きになりそのまま落下。
という具合だ。ちなみに俺たちは、救急車で病院へ搬送中だ。病院までは結構かかるらしい。友達は、俺のおかげで骨折程度だという。ガキ(自称神様)によれば。
そして俺は、瀕死の状態でゆっくりと心臓が動いているそうだ。まだ生きている理由は、保険だという。(何の保険かは知らないが、)
そして神様は、「さぁ霧真 集、あなたはもうすぐ死にます。いいですか?」
普通、こんな所でふつう聞かないだろ。死んでいいかとか。むろん俺はこんな所では死なないぞ。
てなわけで「良くないですよ」ていうと,ガキンチョは「じゃぁ、じょ・う・け・ん・つ・き・でokしてあげましょう。」
ガキが調子に乗ってやがるし。
「いや、調子に乗ってるつもりはないんですけどねぇ。それに、[ガキ]って言わないでくれませんか?これでも神様なんですから。」
ちょー超調子にのてるし。・・・って、なんで俺の考えてることがわかるんだ~?
「いや、失敬失敬。[ちょー超調子に乗っている]つもりはないんですけどね。」
だから俺の考え読むな―――!と、俺が大声で叫んでいるとガキが「では、その条件を教えて差し上げましょう」と言った。完全にスル―された。
そして心の広い、寛大な俺はそんな小さな「スル―」ごときで怒らずに、ガキの話を聞いてやることにした。
「条件は、僕に呼ばれたらすぐに来ること。無論、悲しんでいても苦しんでいても喜んでいても楽しんでいてもです。そして、来たら仕事をいくつかこなしてしてください」
分からなくなった俺は即座に手を上げた。はーいしつもん。質問です。「しごと」ってなんですか?
「仕事とは、日常的に従事する業務や労働など、技能、知識、能力などをまとめた一群の職務のことです。」
なんと分かりやすく教えてくれたのだろうか。そして俺は・・・お礼を言った。
「ありがトゥース!」きちんとポーズも決めておいた。
「・・・」
なんなんだ、この空気は。
「で、仕事の内容は?」
すぐに俺は話を変えた。
「内容は簡単なものですよ。例えば、世界の歪みをただしに行ったり、ある人の護衛をしたりです。」
・・・んっなこと出来るわけないだろうが。
「無論、そんなことは承知の上です。なので、欲しい能力を一つ与えてあげます。これから先、それを使い仕事をしていくのできちんと考えてください。」
それを聞いた俺は、すぐに考え始めた。
なにがいいかな?例えば、場所をジャンプ出来て敵の後ろに回り込めたり、時間を止められたり、魔法が使えたり、錬金術が使えたり、すごく強い筋力や瞬発力を手に入れたり、瞬時に傷を回復したり。などと考えてるうちに、俺はすごくいいのを思いついた。
そしてその考えをガキに頼んでみた。
「う~ん。考像力ですか~。あなたはまた、すごいものを考えましたねぇ。」
考像力とは、言葉どうり、考えたものを実際に表すことができる力のことを言う。例えば、車を思い浮かばせ目の前にあると思い、目を開けると車を目の前に表す(出現させる)ことが出来たり、錬金術が使えると思い使ってみると使えるようになったりすることだ。
「これは宏大な力になると思うので、制限させていただきます。もちろん、慣れていけばどんどん制限を解除していきます。なので、慣れるように頑張ってください。」
おうよ。がんばってやるさ。あっ、呼ばれたら来るってどこに行けばいいんだ?疑問に思ったので聞いてみることにした。
「なぁ、呼ばれたらどこに行けばい—―――「では、僕に呼ばれる前に人生ライフを楽しんで下さい。また、近いうちにお会いしましょう。」
聞く前に、ガキにさえぎられてしまった。そして、途端に視界が闇へと吸い込まれてしまった。
~~~~~この時はまだ、「霧満 集」も「フェイリス」も本当に近いうちに合うとは思ってもいなかった。~~~~~