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prologue
――昼寝とは素晴らしいものだ。
魔術が現実の物となったこの現代。その圧倒的なまでの力に各国は酔いしれ、そして争う。
力は力を以て相対しなければならない。同じ理由で多くの魔術師たちは戦力として数えられ、ぶつけ合わされた。
そんな時代。どこかで誰かが激戦区で命をすり減らし、燃え尽きていくこんな時代では、昼寝など最高の幸福と言えるだろう。
青い空、暖かな気温、ふかふかなベッドなどあればもう最高だ。いや、最強だ。これだけで生きていてよかったと思える。
ただ、1日中ゴロゴロ、ダラダラ、怠惰な生活を毎日続けられたらどれだけいいだろう。
戦地のことなど気にせず、のんびり過ごせたらどれだけ素晴らしいだろう。
だが、それは叶わない。
空は快晴。ついでに言えば気温も暖かい。
こんな絶好の昼寝日和に、しかし今日もどこかに誰かはいるのだ。
血生臭い、この戦場に。