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The way home  作者: 櫻眞理恵
7/10



 ……約束を覚えてる?




沈黙の後

彼が言う



 どの約束?



恋心とプライドが

同時に重傷を負った




 最後の約束



言いながら目を逸らす


瀕死の恋心は

ブレーキを手放した



 約束を

 果たすのが

 遅すぎたみたいね



静かにバッグを手に取り

玄関に向かう

心のハンドルは

今はプライドが握っている


仕方がない

私には

重傷のプライドと

それを支える程度の理性しか

残っていないのだから



遅かった


ここに来るまでに

過ぎていった時間と

出せなかった勇気が

恨めしい



待っていてくれるなんて

どうして思ったんだろう



10年も

会わなかったのに




声も聞かず

顔も見なかった




叫び出したいくらい


会いたかったくせに





せめて俯かないようにと

プライドが言い聞かせるが

恋心が砕け散っている今

それは難しい



彼の脇を

通り抜けようとしたら

正面から

何かに体当たりした




驚いて

目を上げようとしたが

体が石になってしまったようで

動けない


全身で

彼に

捕まっている



体を包み込む温もりを感じて


恋心が

集中治療室から顔を出す



 それは



耳の真横で低い声がする



 俺のところへ

 帰ってきたということか?




プライドが

あまりの痛みに叫び声を上げる

理性だけが冷ややかに

言葉を押し出そうとしていた



 結婚してる人に

 何て応えろって言うの?



壊れた心を

必死でプライドが運転する


泣いてはいけない

今は


あとでゆっくり泣けるから



あまりに必死だったから

次の言葉を聞き逃しそうになった






 ……してない







耳元で小さく声がした


本当にそう言ったのか確認したくて


彼の瞳を探りたくて

体と体に挟まれた腕に力を込めると


更に

抱きすくめられた




 結婚なんてしてない


 約束だって忘れてない




声が

震えている


恋心が

松葉杖と共に

助手席に戻ってきた


あと1話で終了の予定です~。

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