魔剣騎士(ジェノサイダー)
システム(小説)の更新完了。
1
次の日、僕は宿からでてある男の前に立っていた。それはついこないだあったリーデルトの前にだ。
「ヤアヤア、また会ったね。シェオル・アイン・ソフ。シェオルで良い?」
「リーデルト…君が付けた名前じゃないか。あと、好きに呼んでくれ」
「そう、ありがとう。まぁ名前の事はさておいて」
リーデルトはそう言うと、自らが持っている鞄の中を探る。そして一枚の紙を取りだした。
「おめでとう! Lv10以上になった君に、転職のお知らせだ!」
……忘れていた。そうだ、転職と言う訳のわからないシステムが有ったんだ…。
「えっと、これは強制?」
「うん、強制イベントさ。君は今からあるモンスターを倒しに行かなければならないんだ」
おいおい、面倒くさいな。
「ちなみに、モンスターのところまでは転移するから安心してね」
「そうかい。で? そのモンスターてのは何なんだ?」
僕はリーデルトに尋ねる。すると彼は僕の頭に手を載せ、情報を流してきた。
神獣・ティーアマト(Lv50)
光の神獣。一部地域では神として信仰されている偉大なる獣。
……Lv50だと?
「ちょっと待て! 余りにもLvが違い過ぎるだろ! これじゃ死ねと言っている様な物じゃないか!」
僕は柄にも似合わず怒鳴ってしまった。しかし、これは仕方ないだろう。僕のLvは13、対する神獣のLvは50。どうやって倒せと言うのだ!
「おぉおぉ、そう目くじらを立てずに。あぁ、怖い怖い」
今すぐこの男をミンチにしたい。しかし、それが出来ないからまた厄介だ。この男が消えれば、後々面倒な事になる事は分かり切っている。
僕がそんな事を思っていると、リーデルトは口を開く。
「君にはLvうんぬじゃなくて、魔皇剣が有るじゃないか」
魔皇剣。あの普通のゲームならば最後らへんに出てくる最強レベルの武器。確かに、あれを装備すれば勝てる可能性も0では無いだろう。しかし、あれを装備すると、相手の攻撃が100%一撃必殺になる。つまり、一撃も喰らわずに勝てと言う事になる。
「余りにも無理が無いか?」
「う~ん、そうかな? このゲームはLvうんぬより、プレイヤーの強さが一番大きいからね。まぁ頑張ればいけるよ」
リーデルトはそう言うと、僕のアイテムボックス、もと言い懐中時計に手を当てる。すると強制的に魔皇剣が装備状態となる。そして――
「じゃあ、頑張ってね」
――僕は飛ばされた。
2
ブワンと言う音と共に、僕は一つの神殿の前に飛ばされた。其処にはいかにも封印していますよ的な感じの鎖と、巨大な扉が有る。
「痛た…。リーデルトめ、今度会ったらただじゃおかない」
僕はそんな感じで愚痴をこぼしながら、神殿に近づいた。すると上から巨大な鉄槌にも似た光の円柱が落ちてくる。僕は咄嗟にそれを回避する。
近くで落雷があったかのような轟音と、辺りを埋め尽くす砂煙が光の円柱の破壊力を物語っているかのようだった。
暫くし砂煙が晴れて見た光景には驚愕した。神殿の周りにはごつごつとした巨大な岩が多くあったのだが、落ちた所の岩は砂と化し、周りに会った岩は砕けて拡散している。僕は少し遠くに回避していたので岩片に当たる事はなかったが、少し前に会った木に深々と岩が刺さっているのを見て、少し顔を青くした。
恐らく、職業の特性で速度が速くなかったら間違いなく死んでいただろう。全く、とんでもない所に来てしまったようだ僕は。
僕はそんな事を思いながら街で買った煙草を取り出し、それに火を付ける。ちなみに、このゲームの中での煙草は、魔力回復薬として使え、体にいい物で出来ているらしい。全く、健康を害さずに煙草を吸えるなんて夢の様じゃないか。
そんな馬鹿げた事を思いながら、光の円柱が放たれたであろう上を見る。するとそこにはいかにもと言った感じで光を発している巨大な鳥が一匹。
「我はこの神殿の守護獣。汝、この神殿に何用か?」
鳥が問いかけてくる。とりあえず、あなたを殺しに来ましたとか言うのは不味い。
「えっとですね、この神殿の中にある者が気になっただけですよ。何せ、旅人なものでして珍しい者には目が無く」
アウトな気もするが、殺しに来ましたよりはましだろう。
「旅人? 成程、好奇心で此処に近づいたと」
「えぇ、まぁ」
僕がそう言うと鳥の気配が変わった。
「好奇心で……やはり人間とは愚かな生き物ですね。ならば裁かねばなりません! 我は光の神獣・ルフ! 滅されよ、人間!」
BGMが変わり、ルフが攻撃してくる。僕はすぐさま狂人化と魔剣召喚を使う。
羽ばたくだけで台風の様な風を起こす巨大な鳥。それが猛スピードで突っ込んでくる。
僕はそれを避け、持ち前のスピードで反撃した。
「鳥風情が良い気になるな!」
皮一枚と言ったところか、上手く切る事が出来なかった。流石はLv50。37のレベルの違いはかなり大きいようだ。なら、Lv10の時に覚えたスキルでも使おうかな。
「転真乱刃! 羽根を散らして惨めに地面を這うが言い!」
厨二臭いセリフを吐きながら、僕はルフに斬りかかった。翼に一撃! 今度は手ごたえありだ!
転真乱刃、回避不可の連撃スキル。ダメージは通常の半分になるが、20回の連撃を発動できるスキル。
「散らせ羽根を! 散らせ命を! フハハ…ハーッハッハッハッハッハッハ!!」
どこの厨二病悪役だよとは突っ込まないでいただきたい。気分は最高だ。魔皇剣を装備しているのか、ルフのダメージは尋常ではないらしい。
「クッ、その剣は……!? 傍観者ですねあなたは!」
ルフは驚いたような声を上げ、すぐさまスキルを使い体力を回復した。僕もその隙にMPを回復する。
「道理でLvに似合わず強い訳です」
Lvの事は突っ込んでほしくなかった。しかし、今となってはどうでもいい。ルフもスイッチを入れたと言う事が分かる。気配が変わったのだ。これは不味い事になったかもしれない。
「人間! 我が裁きを、その肉の一片まで味わいなさい!
ジャッジメント!」
ルフが魔法を発動する。すると上から大量の羽根がゆっくりと落ちてくる。何か分からないので、僕はとりあえず避ける事にした。すると羽根に当たった物は、原子レベルと言っていいのか? まぁそれくらいにまで分解された。
「!? なんだそれは!」
「我の切り札と言うモノです。ジャッジメント、力の強弱問わず、当たった者は素粒子のレベルまで分解される一撃必殺と言うやつですよ」
なぁ!? そんな規格外な技まで持っているのか神獣は!
神獣本体は当たっても大丈夫なようで、魔法を発動したまま攻撃を再開する。僕は両方を避けなければならないので、攻撃を止め回避に専念する。ルフは力も強いらしく、足で僕を踏みつけようとするたびに、地面に巨大なクレーターを作る。とんでもない化物じゃないか!
レベルの差と言うのはそのまま力の差にもなる。圧倒的に僕が不利じゃないか! どうやっても勝てない。勝つ事が出来ない。ならばどうするか? どうしようもない。とりあえずは魔法が終わるまで回避に専念しなければならない。
「諦めなさい人間!」
「ふざけるな! こんな所で死ぬ訳にはいかないんだよ!」
後少しで魔法が終わりそうだ。落ちてくる羽根の枚数もかなり少なくなっている。そして、ついに羽根は消え去った。ルフの攻撃を避け、僕はそのまま攻撃に撃つる。
「怪鳥風情が! 以津真天じゃないのは残念だが、太平記巻第十二に収録されている広有射怪鳥事を再現する事にしようか!」
僕はテンションがおかしくなって、最早自分で言っている事がわけが分からなくなっている。まぁジャッジメントを避け切った事でテンションが上がっているのだろう。僕はこのままのテンションで、スキルを発動する。
「転真乱刃!」
再び攻撃を開始する。1回、2回と切り刻んでいく。
「僕に刃向かった事を、あの世で悔いろ! 鳥風情が!」
20回目の攻撃後、すぐさま別のスキルを発動する。
「斬って斬って、斬り刻む! 狂剣乱舞!」
一瞬にして5連撃を与える。だが、攻撃の手は止めない。攻撃は最大の防御。つまり、攻撃の手を緩めない限り相手も攻撃はできない。だからまたスキルを発動する。
「同じだが連撃を続けるにはもってこいだからな! 転真乱刃!」
再び発動し、20連撃を与える。力が無いなら攻撃回数を増やせば良い。攻めて攻めてまた攻めて! 手を休めれば此方が死ぬことは分かっているから、攻撃の手は休めない。
流石の神獣も、この攻撃の嵐には耐えきれない様で大分ひるんでいる。
「ガァ……!? 人間が何故ここまで!」
神獣は苦痛の表情と、困惑の表情を浮かべながら考える。
(なぜ人間が此処までやるかって? それは私が力を貸しているからさ)
「!? リードハイデルト! あなたが暗躍していたのか!」
(うんうん、言い表情だ。僕はこの世界をいい方向に導くために彼に手助けしてもらっているのさ)
「クッ! あの人間が地獄を味わう事になるのにですか!」
(あぁそうさ! だからこそ、君に戦いを挑むように仕向けたのさ)
「……!? まさか過去への干渉!」
(エクセレント! うん、やはり君は頭が良い! 彼がなるべく地獄を味合わないように、君を倒しそのまま過去に送るつもりでいるのさ!)
「その代償が何か分かっているのですか!」
(勿論さぁ! でも、彼は自ら傍観者である事を選んだ。偶然とはいえ魔の影を倒し、今君の前に立ちはだかっている)
「……ッ! どうせ碌な説明もしていないのでしょう!」
(まぁね。でも、この世界にとっては大きな意味を持つ。いや、この世界だけじゃない! 彼が元居た世界も含め、今ある全ての世界の未来がかかっているんだ! だから私は止まるわけにはいかない!)
「……リードハイデルト………、あなたと言うモノは…」
ルフは悲しそうな表情をして、一心不乱に攻撃する僕を見る。何だ? さっきからブツブツ言っていたが、何かをするつもりなのか? それとも、何かをしているのか? どちらにせよ気は抜けない。
「人間…、名は何と言う?」
ルフは名前を尋ねてくる。この場合、リーデルトが言っていた名前を名乗った方がいいのか?
僕はとりあえず、リーデルトが言っていた方を名乗る事にした。
「シェオル、シェオル・アイン・ソフだ」
僕がそう名乗ると、ルフはもう一度口を開く。
「それはあなたの本当の名前では無いのでしょう。本当の名前は何と言うのですか?」
ルフはこれが偽名? と言う事が分かったらしく、再び聞き直してきた。だから僕は本当の名前を答える。
「蒼月だ。紅月蒼月、それが僕の本当の名前さ」
僕がそう言うとルフは優しい笑みを浮かべ此方を向く。
「蒼月……良い名ですね。その名前を、大切に、何時までも大切にしなさい」
「あ、あぁ。承知した」
再びルフの雰囲気が変わり、戦闘の空気になる。
「蒼月、これが今の我が出せる最後の技です。それに耐えきれたのなら、あなたの勝ち! それに耐えきれなかったら、あなたの負けです! 簡単でしょう?」
「そうだな。なら僕も、1/5の確立にかける事にしようかな?」
僕はそう言って魔皇剣を構え、ルフは翼を広げ天に向かって叫び出す。
「Hoor hath a secret fourfold name:
it is Do What?
Thou Wilt.
Four Words: Naught-One-Many-All.
Thou-Child!
Thy Name is holy.
Thy Kingdom is come.
Thy Will is done!
Here is the Bread!
Here is the Blood!
Bring us through Temptation!
Deliver us from Good and Evil!
That Mine as Thine be the Crown of the Kingdom,
even now.
ABRAHADABRA.
These ten words are four, the Name of the One!
『THE CRY OF THE HAWK』!!!」
何を言っているかは分からなかった。しかし、とんでもない技を繰り出そうとしている事は分かった。雲の隙間からあふれ出た日の光が、円を描くように地上に降り注ぎルフを照らす。その姿はまさに神と言っても過言では無かった。白い羽が日の光でキラキラと光り、辺りを照らし出す。思わず見とれてしまうほどだ。しかし、次の瞬間、凄まじい寒気が僕を襲う。ルフが口を開け、天を向く。そして――
「GAAAAAAAAAA!!!!」
凄まじい叫び声を上げた。その声は先程の神々しい姿からは考えられない様な、地獄の底から響いて来るような化物の叫び声。しかし、驚くべきはそのギャップでは無い。
ルフの叫び声によってなぎ倒された木々、吹き飛ばされた巨大な岩、深く抉られた地面、雲が乱れた天、一撃でも喰らえば間違えなくあの世行きだろう。しかも、なぎ倒された木の葉っぱは、最初からなかったかのように枝ごと吹き飛ばされ、近くの地面に深々と突き刺さっている。
圧倒的な破壊力。どんなに僕がいた世界の兵器を並べても、有象無象に過ぎない物になるだろう。どんなに完成された軍隊が、最新鋭の兵器を駆使して戦っても、恐らく勝てない。いや、絶対に勝てない。根本的な力が違い過ぎるのだ。
兵法の基本で、相手より数が多い事は有利と言う事は誰もが知っているだろう。しかし、此処にいる神獣・ルフはそれを根本的に否定している化物なのかもしれない。数は多くても所詮は肉体も、精神もすぐに壊れてしまう人間。その人間が数で挑むならば、この化物は人間が届く事が無い位の圧倒的力でねじ伏せる。それがこの神獣・ルフの真骨頂かもしれない。
僕は改めて思った。自分がいかに弱い存在なのかと言う事を。そして、今太刀向かっている相手がいかに強大であるかと言う事を。
「蒼月、今のはデモンストレーションです! 次は当てに行きます!」
「!? ~~~ッッ!?」
体が震える。武者震いと強がるつもりはない。ただ単純に、おそれているだけだ。今目の前にいる相手に僕は、恐れ、怖れ、懼れ、惧れ、畏れている。しかし、それと同時にもう一つの感情が少し、ほんの少しだけある。それは男なら誰でも持っているであろう闘争心と言うモノ。
あいつに勝ちたい。
僕の心の中に、極僅か、1μにも達する事はない位小さな気持ちが有った。
「魔剣召喚!」
僕は既に切れていた魔剣召喚を再び使い、魔皇剣を構える。おそれの気持ちを無理やり抑え込み、闘争心を増大させる。
「塵と化しなさい!」
「僕はまだ死ぬ気はないんだよ!」
ルフは叫びを、僕は剣を。ルフの叫びは想像以上にヤバかった。衝撃波にかすっただけで、激しい痛みが襲う。ギリギリのところで避けながら、僕はルフに近づいていく。
近くに行けばいくほど、強くなる叫びに僕は何度も意識を失いそうになる。
「GAAAAAAAAAAA!!!!」
ルフはこれでもかと言わんばかりに叫びを上げる。これはゲームだ。負ければコンテニュー的な何かが有るかもしれない。しかし僕からすれば現実でしかない。つまり、死んだら終わり。本能的に死を避けようとするから何度も逃げ掛ける。しかし、その恐怖心を闘争心で無理やり抑え込み、一歩、また一歩と近づいていく。
そしてついに、ルフの懐に潜り込む。
「死刑執行!!」
斬! と手ごたえはあった。どうだ? これで駄目なら、お終いだ。失敗か、成功か、分かるまでの時間はほんの1秒弱。しかし、今はその時間が長く、とてつもなく長く感じた。
そして僕の頭に浮かんできた。
missと。
「クッ!? 失敗か!」
僕の攻撃はむなしく、失敗に終わる。その瞬間、ルフの叫びが僕を襲った。
「GAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!」
吹き飛ばされ、地面にたたきつけられ、激しい痛みが身体を襲う。
「~~~~ッッッ!!!!」
痛みで筋肉が硬直して、叫ぶことすらできない。死を悟った。
「運命は、あなたを見離した様ですね」
ルフが哀れみの声でそう言う。
クソッ、此処までなのか! 昔からそうだ、僕は肝心な時に何時も失敗に終わる。もしくは微妙な結果になる。小学校の最後のリレーの時だって、アンカーで出た僕がゴール直前で足をくじき2位で終わる。中学校の部活の大会の時だってそうだ。最後の一点が取れずに結果は3位。
その他にもさまざまな所で駄目だった。今回もそうなっただけ。何にも不思議な事じゃない。
あ~あ、此処で終わりかな。
僕がそんな事をおぼろげな意識の中思っていると、BGMが変わった。そしてその瞬間、僕の体にあった傷は全て癒え、HP、MP共に完全回復。しかし、身体の自由が聞かない。勝手に身体が動いている。
!? どう言う事だ! 何が起きているんだ!
ルフもこれには驚いた様で、目を見開いている。そんな中、僕は何かを発動した。
「魔皇狂乱…」
ふざけたスピードでルフを斬り付け、あろうことか空高く投げ飛ばした。僕の力では無い。他の何者かが僕を操っているかのようだった。意識はあるが体が動かない僕。自分自身何をしているかが分からなかった。
そして空高く投げ飛ばしたルフを、斬る、斬る、斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る斬る!!
音速と言っても過言でない位のスピードで斬り付ける。まずもって、このスピードで行動しているのに、僕の体が無事だと言う事が不思議だ。しかし、今はそんな事はどうでも良かった。僕は目の前で、僕自身に斬りつけられ死んで逝くルフの姿をただ見ている事しかできなかった。そしてついに、僕はルフの翼を切り落とし、心臓を刻み、首を刎ねた。そこで僕の攻撃が終わる。
ランブリングとはとりとめもなく話すと言う意味が有る。そしてジェノサイドは虐殺。つまり、この技の意味はとりとめもなく虐殺すると言う意味なのだろう。滅茶苦茶な技だ。何故発動したかは謎。ルフの死を確認すると、僕の体の自由が戻る。
………なんだったんだ?
僕はそんな感じで疑問を持ちながら、頭に流れてくる戦闘結果を見た。
獲得経験値 …111111
ボーナス経験値…000502
獲得金額 …038329
最大Hit数 …000052
戦闘時間 …3995.2
獲得ポイント …000153
Lv24に上がった
アイテム"黒衣装"を拾った
アイテム"シンプルな仮面"を拾った
アイテム"黒いブーツ"を拾った
アイテム"見えない手枷"を拾った
アイテム"見えない足枷"を拾った
アイテム"魔剣騎士の証"を拾った
スキル"神界破壊"を習得した
スキル"神堕とし"を習得した
スキル"魔皇狂乱"を習得した
流石Lv50を倒しただけはある。レベルが一気に11も上がった。凄いな。
そんな事を思っていると、強制転移が発動し飛ばされた。
2
飛ばされた先にはリーデルトが立っていた。
「やあやあおめでとう。神獣に勝ったみたいだね!」
拍手をしながら笑顔でリーデルトは話す。
ウゼェ、人の苦労も知らないで。
「まぁこれで、君は魔剣騎士に転職が出来るようになった」
「そうかい。だったら早くしてくれ」
僕はそう言いながら魔剣騎士の証をリーデルトに渡す。恐らく、これを使う事になるだろうから。
「おや、此方が言う前に出してくれたね。うんうん、関心関心」
リーデルトはそう言いながらそのに何かを書き破り捨てた。その瞬間、紙から黒い影が出てきて僕を包んだ。
「!? なんだこれは!」
「何だって、転職に決まっているじゃないか」
リーデルトは落ちついた表情でそう言う。そしてもう一言。
「君の場合は特殊なんだけどね」
そう言って、リーデルトは哀れみの目を向ける。
「特殊?」
僕がそう疑問に思う。しかしその疑問をリーデルトに尋ねる前に、それは始まった。
過去への干渉を開始します
「!? どう言う事だ!」
僕の問いにリーデルトは答えない。ただ哀れみの目を向けながら笑っているだけ。
代償として、今までの記憶の消去を開始します
記憶を消すだと! フザケルナ! 僕の記憶が消されるだと!
「リーデルト! 貴様これを知ってたな!!」
「あぁ、勿論だよ。蒼月」
「リィイイデルトォオオオオオオ!!!!!!」
僕はそう叫びながら、どんどん薄れていく意識を保っていた。
「君は、今から永遠の放浪者として、この世界を旅し続けるのだよ。この世界を良い方向に導くよう、見守ってもらう」
意識が途切れると同時に、僕は全てを失った。
そのまま僕は過去に送られた。
3
何もない荒野。僕はそこで目を覚ました。何も分からない。
「……僕は…!?」
意識が完全に覚醒した瞬間に、僕の頭に大量の情報が流れ込んでるく。名前や職業、この世界の事等多くの事が頭に入ってくる。道具の使い方、覚えているスキル等どんどん頭に入って行く。そして10分程立つと、全てが終わった。
魔法煙草が何故無限なのかは分からないが、とりあえず魔法煙草を取り出し火を付ける。
「……ふぅ…。僕はどうすればいいんだ?」
率直な疑問。しかし、与えられた使命はこの世界を見護れと言う事だけ。魔法煙草無限は多分、ボクに使命を与えた人がくれたのだろう。
僕はそんな事を思いながら、一人荒野を歩いた。いくら見まわしても、荒野にいるのは僕一人。ただただ、歩いていくだけだった。
「Hoor hath a secret~」と書いた一文は、嘘の書の「ホークの叫び(THE CRY OF THE HAWK)」より。
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