地獄という名を持つ地獄
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1
「おいどういう事だよ! 何で地球が! 俺達の世界があるんだよ!」
裂夜はリーデルトに掴みかかる。
「おいおい、何をおかしなことを言っているんだい? 君達の世界はこの地球ではないだろ。なぁシェオル」
リーデルトが僕にそう言う。
「え、あ、あぁ」
曖昧な返事を返す僕。
何故だ? 何故なんだ? あの地球とかいう世界。何故か見おぼえがあるぞ。
「ねぇ、もしかして……、創世記を破壊すれば、その創世記の世界も消えちゃうんじゃないの?」
葵の問い。
「あぁ、その通りだ。まぁ一時的にらしいが。なぁリーデルト?」
「その通り。勿論、修正が掛かるから消えても元通り。まぁその世界の生き物までも元通りとまでは行かないけど」
何? 最後のそれは聞いていないぞ。
「なっ! じゃあその世界に住んでいる人達はどうなるんだ!」
裂夜はリーデルトを怒鳴りつける。
「どうなるんだって言われてもねェ……。まぁ何かは変わるよ。元の世界では五人家族だったのに、三人家族になっていたり。例え五人でも、その構成が全く違ったり」
「そんな事許されないわ!」
朔夜が声を上げる。
確かに。でも――
「リーデルト、どうすれば創世記を破壊できる?」
「「「!?」」」
三人が驚きと怒りの表情で僕を見る。リーデルトは僕の問いにニヤリと笑みを浮かべる。
「な! シェオル! お前はそれで良いのか!!」
「シェオル! あなたって人は!」
「そんな……、シェオルさんまで……」
三人は怒りと絶望の表情に顔を歪める。
「すまないね。僕は自分が住む世界が掛かっているんだ。その為には……、どんな犠牲も厭わない」
これが僕の800年間の教訓。犠牲を躊躇えば全てが水の泡。
「ふっざけんな!! アレは俺たちが昔住んでいた世界だ! もし破壊するってんなら……、俺はあんたらに剣を向ける!!」
裂夜は怒鳴りながら武器をとる。
「……私も、地球の破壊を黙って見ていられないの……。だから、攻撃させてもらうわ」
朔夜も武器をとる。そして――
「ごめんなさい、リーデルトさん、シェオルさん。私も地球の破壊は見過ごせないの。だから!」
葵も武器を取った。その瞬間、リーデルトが僕に言う。
「創世記の破壊方法。それは……、敵対した三人を倒す事だ」
その瞬間、ガラスの砕け散る音が響き、BGMが変わった。
2
「まさかシェオルと戦うことになるなんてな……」
「えぇ、でも殺す気で行くわ」
「ごめんなさいシェオルさん。私もあなたを殺す気で行くよ!」
三人は武器を僕に向けそう言う。
「あぁ、それでいい。それこそが僕の教えた全て。だから……僕も、君達を殺す!」
僕らは動き出す。
「小手調べだ!
不死軍!」
三人の動きが止まり、死神が三体召喚される。
「不死なる者は薙ぎ払う……、命ある者の魂……」
死神が攻撃しようとした瞬間――
「甘いぜ!!」
裂夜の声と共に、三体の死神はバラバラに崩れ落ちた。
「ふぅん、中々やるね」
「まだまだ行くわよ!! ナイフ・オブ・トリック!!」
朔夜の手からナイフが放たれる。
「残念。その技は簡単に見切れる」
僕はナイフが飛んでくる方向とは逆の方向に鎌を振るう。すると前にあったはずのナイフが消えて、後ろでナイフが三本落ちる。
「君達を鍛えたのは誰だ? 僕だ! だからこそ、君達の技は簡単に見切れる」
僕がそう言った瞬間、僕の体が重くなる。
「そうかもしれない。けれど、私の補助魔法で、貴方の体にかかる負荷を十倍にしたらどうかな?」
葵が僕にそう言い、笑う。
フムフム、それは良い手だ。だが、悪手でもある。何故なら――
「何!?」
「十倍の負荷が掛かるなら、十倍の力で動けばいいだけだろ? もしかして、僕が遅くなるとでも思ったのかい? いや、その顔を見れば分かるよ。でも、それは慢心だ。だからその技は悪手なんだよ」
僕の言葉が終わるとともに、裂夜に1000のダメージが入る。
「グッ……ッッ!!」
「裂夜!?」
朔夜は裂夜の負傷を気に掛け、隙をあらわにする。
「ほら、よそ見は禁物だよ
魔皇剣・アロンダイト!」
冥王大鎌が剣に変化し、朔夜を襲う。
「キャアッ!!」
「フッ……弱いね。
魔皇剣・ティルヴィング!!」
続いて裂夜を切り裂く。
「ッッ!!」
「悲鳴を上げなよ!
魔皇剣・レーヴァテイン!!」
最後に葵を焼き切る。
「きゃぁああああ!!」
「うわぁああああ!!」
主のダメージを代わりに受ける二人。葵に関してはダメージが二人に行くことによる、苦悩が大きいようだ。
僕は三人を切ると、一時距離を取った。
僕を舐めているのか? いくらなんでも弱すぎる。
「ダメだね。話しにならない。だから……
死んでくれ」
僕は剣を鎌に戻し、振りあげる。その瞬間――
~秘儀が解放されました~
その情報が、僕の頭の中に叩きこまれた。
一撃必殺という奴か。ならば、今ここで試させてもらおう!
「僕の過去! 僕の罪! 僕の苦痛!
その全ては快晴の闇が照らし出し、
その一部は曇天の光が照らし出す!
其処では一! 此処ではA!
底では零! 個々ではZ!
パンは土から生み出され、
土は塵から生み出され、
塵は世界から生み出され、
世界は無から始まった!
Aとは人を表します!
一とは間を表します!
Zとは人を表します!
零とは物を表します!」
徐々に、徐々に増していく力。三人は僕を止めようともがくも、僕に攻撃を当てることはできない。
「Aは一で完全で、Zは零で完全である。
神は偶像の産物で、
A一、Z零が壊して回ります!
それ即ち……生きる事!」
滅茶苦茶な詠唱を終え、僕は呟いた。
「秘儀……地獄という名を持つ地獄」
三人が同時に意識を失い倒れる。僕もそれを追うように、意識を失った。
メンテナンス(小説筆記)を開始します。