RPG計画
システム(小説)の更新完了
1
コシュマールを退け、僕はすぐさまリーデルトの元へ来た。
体がグラつく。流石に楽園はやり過ぎた。
そんな僕を見てリーデルトが口を開いた。
「……シェオル、もしかしてエーリュシオンを使った?」
「あぁ、コシュマールを倒す為にな」
僕がここまで話すと、リーデルトはため息をつき、紅茶を一杯持ってきた。
「まぁこれを飲んで落ち付くと良いよ」
「ん、すまないな」
「なに、親友だろ?」
「だな」
そんな会話を交わしながら、僕は一杯の紅茶を啜った。
「そう言えば、あの三人はどうした?」
僕は周りを見まわし、裂夜、朔夜、葵の三人が居ないのでそう尋ねた。
「あの三人? あの子たちなら、今頃白協会の残党でも倒しているんじゃないの?」
「成程。だが、僕一人で相当な数を殺ったぞ。コシュマールとの戦いに巻き込まれた奴も換算するなら千を超えたような気がするぞ」
僕はここまで話すと、ある事に気付く。
そう言えば、まだ経験値を貰ってない様な……。
「なぁ、白協会の雑魚やコシュマールを倒した時の経験値はどうなった?」
「あれ? まだやってなかったっけ。あ! そう言えば――」
リーデルトはここで話しを止め、ある一つの汚い書物を持ち出した。
「なんだそれ?」
「これかい? これはね、RPG計画の要でもある、地球の創世記だよ」
「!? これが……」
だが、経験値の事と何の関係が?
「今ね、この創世記に君の溜めた経験値を吸わせているんだよ。その量は大体、君の倒した敵から得る経験値の十割。だからさっきは経験値が入らなかったんだって……無言で鎌を首に添えるのはやめてくれないかな? 流石に私でも怖いよ」
「いや、僕の努力が全てそれに吸われてると思うと、ムカついてな」
それも本人の許可なしにかよ。それは僕でも怒るぞ。
「で、でも、君がコシュマールを倒してくれたおかげで、この創世記はもう破壊寸前まで来ているんだよ!」
そうなのか? いや、まぁそれに関しては一貫してリーデルトに任せているし問題はないけど。
そんな事を思っていると三人が戻ってきた。
「あ、シェオル。戻っていたんだ」
「あぁ、そっちはどうだった?」
「全然だ。雑魚しかいなかった」
「えぇ、余裕だったわ」
僕はそうかと漏らすと、再びリーデルトの方を向く。
「で、リーデルト。そろそろ始めないか?」
「え、あ、うん」
何故か言葉を詰まらせるリーデルト。
どうしたんだ? 何かやましい事でもあるのか?
「え? 何かするんですかリーデルトさん」
僕達が話していると葵が話しかけて来た。
「あ、あぁちょっとね」
「てか、なんだその汚い本は」
裂夜が創世記を指差す。するとリーデルトはそれを誤魔化すようにしまった。
いや、何しているんだこいつ?
「おい、リーデルト。さっさと始めるぞ! それを破壊しない事には、この世界に未来はないんだろうが!」
僕はそう言って創世記をリーデルトから取り上げた。三人は僕の言葉に驚く。そしてリーデルトは、顔を押さえてやってしまったという顔になっている。
「この三人にも関係ある話だろ? なんだその顔は?」
「い、いや、確かに関係あるんだが……あー、シェオル。君が話してくれない?」
ん? 何でこいつはこんなに不味いって顔しているんだ? 意味が分からん。まぁ良いか。
僕はリーデルトの言葉に頷き、三人の方を見た。
「えっとな、僕とリーデルトは数年前から"RuinPerfectGenesisPlan"、通称RPG計画ってのを進めているんだ」
『??』
三人はそろって何言っているんだという顔になる。
「でな、この計画を成功させなければ、この世界は滅びを迎えるんだ」
「!? 何それ!! そんな重大な事なの!?」
「何でそれを俺たちに黙っていたんだ!!」
「そうよ! 私達にも関係ある話しじゃない!!」
三人はそう怒鳴る。
「まぁ待て。少し静かにしろ。まだ説明の途中だ」
僕がそう言って三人を黙らせる。三人の意見も分からんでもないが、とりあえず、今は黙っていてほしい。
「しかしこの計画の要であるこの創世記を破壊すれば、この世界の滅びを回避できるんだ」
「よし! なら早く破壊しようぜ」
そう言いながら裂夜は創世記に攻撃をする。しかし――
「な!? 攻撃が通りぬけただと!!」
創世記はそこに存在していなかったかのように透けていた。
「あー無理だよ無理。仮にも創世記。つまりは世界を作り出す要。普通の攻撃が通るわけないじゃないか」
リーデルトはもうどうとでもなれといった顔でそう言う。そして創世記に手を添えた。
「だから、この本の中に潜り込んで壊すのさ!」
その瞬間、僕らは激しい光に包まれた。
2
「……ッ。! 此処は……宇宙か!」
真っ暗な空間。そして多くの星がその空間を照らしている。前には巨大な太陽。そして僕の後ろには――
「青い……星……」
僕はその青い星に魅了された。そして――
「これが……地球」
僕はそう一言呟いた。
メンテナンス(小説筆記)を開始します。