冥王 ~白協会による侵略の始まり~
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1
転移で飛ばされた先は、僕がタルタロスと戦う前にリーデルトといた場所だった。僕の転移が終わると、目の前には当然のようにリーデルトが立っていた。
「うんうん、やっぱり君なら合格すると思っていたよ。ボロボロになっているけど」
そう言ってリーデルトはニコニコしながら近づいて来る。まぁ確かにボロボロではある。あのバカげた力、そして豊富でチートレベルの即死スキル。更に言えば存在そのものがバグキャラだったタルタロス。そいつと戦って無傷で帰ってくるのは恐らく無理だと思う。もう二度と戦いたくない。
「さてと、じゃあ君を冥王にしなければね」
リーデルトはそう言うと、ズボンの中に手を突っ込んで一枚の紙を取りだした。
「何処から取り出しているんだ君は…」
「まぁまぁ、良いじゃないか」
笑いながら紙を破いたリーデルト。その瞬間に、僕の身体を黒い影が包み込む。
「チッ、気持ちが悪いなこれ」
「仕方ないだろ? まぁでも、転職は完了したよ」
僕はそう言われたので、ステータスを開いた。
シェオル・アイン・ソフ Lv122
職業
冥王
ステータス
体力…6041
魔力…3460
突き…909
斬り…2522
魔法…1567
防御…417
対魔…430
技量…578
回避…593
速度…2395
命中…580
特殊スキル
死神 (Lv-)…敵を倒すたびにHPとMPを大幅に回復する。
冥王 (Lv-)…敵を倒すたびに即死スキルの確立がアップする。
冥神 (Lv-)…MPを消費する代わり、次の攻撃は当たれば敵を即死させる。
冥界門(Lv-)…敵を倒した時に上昇するEXゲージの上昇率が大幅に上がる。即死スキルが成功した場合更に上昇する。
十三本目の鎌 …装備している冥王大鎌の攻撃力をアップする。
習得スキル
死刑裁判(Lv-)…1/2の確率で一撃必殺。
九死一生(Lv-)…9/10の確率で一撃必殺。
十三奈落(Lv-)…攻撃が当たった相手を十三奈落に落とす即死スキル。
冥界降誕(Lv-)…冥府の一部を召喚し、即死級のダメージを与える。
死神召喚(Lv-)…相手の動きを止め魂を攻撃する即死スキル。
不死軍隊(Lv-)…不死の軍を呼び出し、相手を殺す即死スキル。
魔皇剣 (Lv-)…魔皇剣の内どれかをランダムで呼び出し、即死級の一撃を相手に与える。
習得魔法
小炎 (Lv1)…マッチより少し大きい位の火を出す。
斬首台 (Lv-)…即死魔法。
冥界接続(Lv-)…自らの体の一部を冥府と接続する即死魔法。
反魂 (Lv-)…戦闘不能になった仲間をHP1/2の状態で復活させる。
殺指揮者(Lv-)…即死級のダメージを与える大魔法。
瞬迅移動(Lv-)…一瞬で一度行った街に転移する魔法。魔法レベルはない。
ポイント
2766
装備
冥王大鎌(取り外し不可)
冥府の黒衣(取り外し不可)
黒いブーツ(取り外し不可)
見えない手枷(取り外し不可)
見えない足枷(取り外し不可)
黒蝶の髪止め(取り外し不可)
黒金剛石の十字架指輪
所持金
647492ギル
所持アイテム
低反発枕
HP回復薬(大)×697
MP回復薬(大)×703
魔法煙草×∞
シンプルな仮面
スキルや魔法が変わってしまったな。装備品も変わっているし。それに殆ど即死か。とち狂った能力じゃないか。まさに冥府の王って感じだ。この様子だと奥儀もタルタロスが使っていた物に変わっている可能性があるな。全く、バグキャラ此処にありだな。他の職業に比べて能力が高すぎる。
「ウワァ…、自分で設定したのにこの能力は………少し引くなぁ…」
リーデルトは苦笑しながら僕のステータスを覗きこむ。
「フッ、確かにこれはやり過ぎだと思うよ。まぁ僕には関係ないけどね」
自分の能力だしね。それに能力は高いけど最強という訳じゃないし。即死スキルだって相手にかわされたら意味がない。倒せない事もないが、ゲームにするならばラスボス並みに偉い奴的な感じになるだろう。
「さてと、じゃあ行くとするよ」
「そうかい。じゃあまた今度ね。私は暫く此処にいるから、用があるなら来ると良いよ」
僕はリーデルトの言葉を聞き、この場所から去った。
2
一人の男、シュバリエ・コシュマールが暗い螺旋階段を上っていく。一歩、また一歩と歩いていく。そして一番上の扉を開いた。
そこには白い服を着た白協会の兵士たちが塔の下に集まっていた。シュバリエは手を上げ十字を切った。
「諸君! 我等の神に祈りを捧げよ!」
シュバリエの声と共に、十字を切り跪く兵士たち。
「世界を越え集った同志たちよ! かつて白協会第14支部だった世界は今や変わり果てた。我等が御神を仇なすようになってしまった。愚かな罪人となり果てた。だからこそ我は! 我々は! 奴らに神の鉄槌を振り下ろさなければならない!
しかし! 振り下ろすのは神の力では無い! 我等の力だ! 愚かなる罪人となり果てた奴らに我等が神の力を振るう等愚の極み!
教えてやるのだ! 我等が力を!
諸君らに問う! 我等が神とはなんだ?」
シュバリエの言葉に全員が立ちあがり、一斉に手を上げて口を開いた。
『我等が神は我等が救済者! そして何人たりとも拝み事の出来ぬ絶対の存在!』
「では我等白協会とはなんだ?」
『白協会は救済者に感謝を忘れず祈りを捧ぐ者! 救済者を貶める罪人共を滅する救済者に認められし罪人である!』
「では我等が罪は何だ?」
『我等が罪は兄弟を殺した事! 救済者を貶める兄弟を滅した事!』
「その通り! 我等もまた罪人である! 罪人となり果てた兄弟を殺した罪人である! 我等白協会、与えられた使命を全うしたならば、自らの命を神への供物としささげる事を誓いとすれば、我等が罪をも神は救済してくれるであろう」
シュバリエがそう言い手を天高く挙げる。その瞬間、兵士たちは自らの武器を天へと向けた。
『罪人である我等までも救済して下さる救済者! 我等は貴方様の為に、この命が例え散ろうとも、貴方様を貶める罪人共との戦いを望ませていただきます!』
そして全員が武器で十字を切り武器を納める。
「よろしい。ならば諸君! 我等が攻め落とす場所は何処だ?」
『元白協会第14支部!』
「ならば諸君! 我等が行う事は何だ?」
『再征服運動!!!』
シュバリエは十字剣を抜き、地面に突き刺し叫んだ。
「諸君よ! 時は来た! 元白協会第14支部の世界に対する再征服運動の始まりだ!」
十字剣を地面から抜き、はるか地平線の向こうを刺した。そして一人の男がシュバリエの横に立ち一言。
「コシュマール将軍に続けぇええええええ!!!」
『ウォオオオオオオオ!!!!』
白協会による、侵略がその声と共に始まった。
メンテナンス(小説筆記)を開始します。