詩「手紙」
掲載日:2026/02/01
人々の叫び声 右耳を舐め惑う
さざなみの音 左耳を塞ぎ慕う
小さなグラスに青いインクを少々
ぼくは手紙を書こうと思います
窓の下には知らない野鳥が巣を作り
旅立つ前から預言者の風格
一文字も書けないぼくはあきらめて
右耳にひと刺し
左耳にフタ刺し
やさしい手がそっとぼくの背をなで
右手をささえてペンを走らせる
うつくしきかな 真紅の文字よ
希望という名の痛みを抱いて
あなたの顔は波にさらわれ
あなたの声は喧騒に負けてしまった
無い音のある部屋で立ち上がり
ぼくはもうひとりのぼくを探すだろう




