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望月と少年の非日常譚  作者: 義春みちを
3章 鍛冶屋を求めて。
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2章 28話:呻き足掻き

腹を掴まれ、掠れる視界には、涙目の少女。


「おにぃ…ちゃん…」


その幼さゆえどうすれば良いかなど、わかりもしないのだろう。


視界が大きく揺れた。キャンサーが大きくふらついたのだ。


「助けに来たぜ、ウツキ。」


どうやら、キョウカがドロップキックをお見舞いしたようだ。

手を前に出し、小さな小袋を見せる。中身は石だ。グルーシャがくれた綺麗な石。一緒にいたキョウカなら気づいてくれると思って、途中で落としてきた。

しかし、状況を把握したキョウカの顔は青ざめる。


「おいおい、人質がいるのに危ねえ事しやがるなぁ?」


「そうだよキョウカちゃんっ…。人質を取られてる以上、相手の要求を聞かないと…」


桃髪のオウミョウが月明かりに照らされ、表情を露わにする。


「そうだよなぁ⁈コイツの命がどうなっても良いのかぁ?俺の要求は1つだけだ。お前ら、俺に手出しするんじゃねぇっ!」



完全に足手纏いだ。どうする。このまま村を荒らされるのを黙って見てるのか?


「うあああああああああっ!」


弱小で無力なガキが暴れる。

足を振り回し、蹴りを入れようとする。キャンサーの胴には届かない。

腕で鋏をこじ開けようとする。ウツキの胴の鋏はびくともしない。


「暴れるなよ」


キャンサーは鋏をきつくする。鋏の棘が脇腹に食い込む。足にまで血が滴る感覚。痛みから、奥歯をぐっと噛みしめる。


「い…いいぜ、このまま千切れるまで絞めろよ。俺はお前みたいな奴には殺せねぇよ。」


嘘じゃない。嘘ではないがハッタリとして見栄を張る。痛いのは嫌だ。


「何してるッ!キョウカ、オウミョウさんッ!その子を、グルーシャをお願いします!」


「本当に…死なないんだな…?」


小さい声で呟く。誰に届けるでもなく。一考するよりも先に、グルーシャへと駆ける。

振り下ろされるキャンサーの鋏。


「オウミョウッ!」


キィンッ


金属の音がする。キョウカの背中を守るように、ロングソードで鋏を受け止めるオウミョウがいた。


「ステンr…いえ、テレンス製のロングソードの錆にしてあげます。最も、錆のできる様なお手入れはしませんけど。」


「…あ〜あ。もうめちゃくちゃだぜ。こんなんだから、人が死ぬ」


ブチャッ


「脅しが意味ないなら、コイツも要らないよなぁ…。もう用済みだよなぁ…。邪魔なだけの粗大ゴミだよなぁ⁈」


焼ける燃える痛い熱い寒い痛い気持ち悪い焼けてる燃える痛い寒くない熱くない痛い痛い痛い


声も出ず、自分の嗚咽と五月蝿い耳鳴りだけが耳を通る。高い、ノイズの様な、耳と耳の間を駆け巡るような耳鳴りが、警報の様に周りの音を消し去っていく。

口から血が逆流する。肺や喉にへばりつく様な違和感。吐血が止まらない。お別れした下半身との繋ぎ目から、熱が溢れだす。上からも下からも、全てが抜けていく様な感覚。全て抜けていくのに、痛みで筋肉は強張る。攣りそうなぐらい、力が入る。攣りそうだからと言って、力を抜けるほど器用な生き物ではない。


強い頭痛が走る。背中の痛み、地面に落ちたのだろう。あまりの激痛に、夜なのにも関わらず視界にホワイトノイズが走る。それが黒くなったり、白くなったりを繰り返す。網膜に大きなバツが写っている様な気がする。淡い色合いの図形達が暗闇に浮かび上がる。ジャビジャビとした視界。


「ウツキッッッ!」


「ウツキさんッ!」


がむしゃらに叫ぶキョウカ。泣きそうな声で叫ぶオウミョウ。呼ばれている自分。

まだ、やる事はある。やれる事がある。


「だぃ…じょうぶ……だからっ…コイツを…!」


「…オウミョウ、この子を。こういうのは優しいお前の方が向いてる。」


動揺するオウミョウの手に手を重ねる。ゆっくり納刀する。


「送り届けてあげて。親御さんも心配してるだろうし。…アタシはオウミョウを信じてる。だから、ここはアタシを信じて。」


「…グルーシャちゃん、行くよ。おうち、帰ろう。」


幼い少女を抱え、オウミョウは走り出した。


追いかけようとするキャンサーの足を掴む。 戦えない、動けない自分にできる事。


よろけたキャンサーの顔に、キョウカが回し蹴りをいれる。


「蹴りを入れるのに丁度良い高さによろけてくれたモンだな!」


すかさず、背中の甲羅を踵で叩き割る。倒れたキャンサーの背中に乗り、手首を掴む。


「挟む力は強いみたいだけど、それだけだな。観念しな。」


手を使い、キャンサーへ這い寄る。


「お前…に、命令したのは……誰だ…」


「…日の民。世間一般じゃあそう呼ばれる奴らだ。」


日の民。以前マオの言っていた『忌み嫌われる太陽の民を名乗る頭のおかしい集団』。


「そいつらは何が目的で、お前に命令した?」


「知らねえな。俺はただ言う通りにしか動けねぇ。最初は利害の一致で動いていたが、もう反逆も何も出来ねえよ。…逃げたりすれば殺される。」

おはこんばんちゃ〜みちをです。

今回は日の民の異常さをチラ見せって感じです。

僕が書きたいのは次の話です。

その後の細かい話は決まってません\ ^o^ /

地名覚えるのが苦手すぎるので、あんまり移動しないでねウツキ君。君が移動するたびに世界が広がるんだよ…

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