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望月と少年の非日常譚  作者: 義春みちを
3章 鍛冶屋を求めて。
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2章 25話:ほつれ始める運命

「それじゃあ、宿に戻るのかい?」


キョウカが尋ねる。するとウツキ含め3人はポカンとする。


「野宿じゃ無いの?」


「野宿じゃ無かったの?」


「野宿なの???」


ルナティアはソルティアに。ソルティアはウツキに聞く。メイド2人は野宿のつもりだった様だが、ウツキは驚きを隠せない。なにせ、何も持っていないウツキは、自分の意思では何も出来ない。ただ流されることしかできないのだ。宿の予約等の公共の仕組み、サバイバルだとかの技術を何も知らないのである。


「え、野宿なんですか?」


「野宿なのか?」


おかしいのはウツキでは無かった様だ。オウミョウとキョウカも驚いている。


「でも、こんな夜更けに取れる宿なんてありませんし。馬車…いえ、狼車で寝泊まりします。」


狼車の中なら、夜風の寒さも凌げるだろう。

しかし、男女が同じ車で寝ると言うのは些か問題がある気がする。なにか有らぬ誤解を生んでも嫌だ。それに、スペースが狭くなるだろう。


そう考えたウツキは、1人で外で寝ることを提案しようとした。


「では、泊まっていきます?」


そう口にしたのはオウミョウだった。

皆が彼女の方を見る。「えっ…えっ?」と、辺りを見まわし、困惑するオウミョウ。


「良いんですか…?」


「はいっ、お部屋は2つしかないんですけど…」


「私と姉様は同じで良いで大丈夫です。お心遣い感謝します。」


ソルティアはぺこりとお辞儀をする。それに合わせて、ルナティアも頭を下げた。ウツキも頭を下げる。


「では、お部屋を案内しますね!」


店の奥へと入っていくオウミョウ。着いていくと、右と左に廊下が続いている。それぞれ奥には扉があった。


「右側は、先ほどルナティアさんをお通ししたバックヤードです。危険な武器も取り扱っていますので、右には行かないようお願いしますね。」


オウミョウは何本も鍵の付いたキーケースを取り出す。左側の扉に鍵を入れる。目の前には小スペースと螺旋階段。階段を登るとまたしても廊下が広がる。そこには3つの部屋があった。


「奥と、真ん中はご自由にお使いください!

手前は私の作業場というか、自室なので物が多く…」


少し恥ずかしそうに目線を外す。


「兎にも角にも…!どちらにも寝具がありますので、好きな方でお泊りください!」


「では…私達はこちらのお部屋を使わせていただきます。本当に、ありがとうございます…!」


何度もお辞儀をしながら、奥の部屋へと2人入っていった。


「じゃあ、私は下で商品の手入れをしてから寝ますので…。あ、あのお二人にも渡しているので、ウツキさんにも鍵のスペアを渡しておきますね。自室にかけるなり、何かあったらそれを使って下まで降りてきてくださいね。

それではおやすみなさい。」


オウミョウとキョウカは、手を振って、階段を降りていく。


□ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇


閉まっている扉を、鍵を使って開ける。

扉の先には、談笑しながら晩酌をする少女2人がいた。


「え…ウツキ⁈」


「な、なんでここにっ…?」


相当驚く2人———オウミョウとキョウカ。

咳払いをして、冷静になるオウミョウ。


「商品を手入れする。そう言った手前、晩酌している…すこしお恥ずかしい所をお見せしてしまいましたね。」


「もしかして五月蝿かったか?すまない、もう少し声を小さくする。」


「あっ…いえ、すみません。あの、お部屋使わせて頂くのは、やっぱり心苦しいと言いますか…

見たところ、お二人の寝る場所がありそうに無かったので。…あ、まだベット未使用ですし!そこは気にしないで大丈夫なんで!」


2人はウツキの考えが予想外だったのか、ぽかんとする。


「…それに、外で狼車を引いてくれた狼達が少し可哀想というか。自分だけベットの中で寝るというのがちょっと…

せめて、床寝ぐらいしようかな、と…。」


「…そう、だね。…うん。

オウミョウ、あの子達をここにあげても良い?」


「べ、別に構わないけど。

…! わ、私、大きめの布団とってくるね。」


キョウカはウツキから鍵を受け取り、入り口を開ける。外で狼たちと話しているようだが、夜なので声を小さくしている。その為、それが日本語なのか、狼達の言葉なのかは聞き取れなかった。


「キョウカちゃん、取ってきたよ!」


キョウカが狼達を中に入れ、オウミョウが持ってきたこたつ布団をかける。


すると、狼が控えめに「わん」と鳴いた。


「な、なんて…?」


「えっとね…」


キョウカがウツキを指差す。


「『どうしてもって言うなら、一緒に温かく寝てあげてもいいんだからねっ!』」


両手を胸の前に持ってきて、指を絡ませる。


「『夜は冷えるから、一緒に寝ましょ。』

って、それぞれ言ってるね。この女タラシめ!」


意外と狼達からは好印象だったようだ。理由はわからないが、そんなに言ってくれるのならお言葉に甘えよう。


「じゃあ、失礼しますよっと。

って…あったけぇ〜⁈もふもふだし、良い匂いもするし最高…!あ、という訳でここで寝させてもらいます!お二人はベットをお使いください!」


「えっ…あ、ああ。そうか。じゃあアタシ達はベットを使わせてもらうからな。おやすみ、良い夢みろよ!」


「おやすみなさいませ。」


2人はちゃっかり酒を手に持って、部屋へと向かった。



□ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇


「…姉様」


「はい、お姉様。お姉様の睡眠を妨害する者は全て捻り潰します。」


『姉様』。その一言でルナティアは全てを理解した。新品の武器を手に装備し、鍵を持つ。


「姉様、私も行くわ。姉様だけでも十分だとは思うけれど、最近物騒だもの。私がいれば不意打ちも避けられるでしょうし。」


2人は月明かりの下へ出る。


ソルティアは自身の『感覚』を頼りに迷わず進む。ルナティアの手を引き、ゆっくりとその違和感の正体へと近づく。


「…子供?」


目の前には、幼い子供が2人いた。

吸い込まれそうなほどに黒い瞳。月明かりに照らされ、キラキラと光る白い髪。

2人は対照的に、短い髪と長い髪を持っていた。


「はな、人いたで。」


「指示は『暴れろ』。それから、『黒い人間』と『白い吸血鬼の一族』の根絶やし。」


「どっちも居ない、から…根絶やし、やね。」


物騒な単語が聞こえ、ルナティアとソルティアは構える。


「乙。」


気づけばルナティア目の前にある拳。防御は間に合わない。


そう思った矢先、目の前に黒く大きな羽が現れる。


「姉様、怪我は?」


「いえ、私は…でもお姉様の羽が…!」


ソルティアの背中からは片翼の黒い羽が生えている。散った羽が、ふわふわと舞う。赤黒く血が滲む。


「大切な姉様の顔に傷をつけるなら、羽をへし折った方がマシ。」


ソルティアは殴りかかってきた長い髪の子供に向き直る。


「あらら、防がれちゃった。うの、どうする?」


「このまま押し通せば、いけるんやない…?」


「禿同。」


次は2人同時に飛びかかってくる。前回油断したというわけではないが、気を抜かずに相手の動きを見る。


髪の短い子供の腕とルナティアのナックルがぶつかり合う。その隣ではソルティアが羽で、髪の長い子供を吹き飛ばす。互角、もしくは押され気味の戦況で攻防を続ける。


□ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇


暗い、暗い、闇の底。

海に落ちるかのように、ゆっくりと沈んでいく。

目を開く。開いているのかも分からないぐらいに暗い闇。


奥には今にも消えそうな、淡い光があった。直感的に、その光に手を伸ばす。

光はそれに応えるように、手を包み、絡み合う。


「…ツキ。こ……達を…………ね。」


そんなの無理だ。君がいなくちゃ何も…


「でき…わ。だって、貴方は…しの」


□ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇


大きな音で目を覚ます。両サイドはふわふわの毛に挟まれている。


狼2匹は、喉を震わせている。


「大丈夫だ。落ち着いて…」


頭を撫でようとした瞬間、腕を噛まれる。

その勢いのまま投げ飛ばされ、壁に打ち付けられる。


目を開けると、服の上から、腕に血が滲むのがわかった。ぽたぽたと、血が流れていく。


「いってぇ…そんな怒らんくても…」


冷たい風が、頬を撫でた。真正面を見る。


2匹は未だに唸り続けている。毛を逆立て、鋭い眼光で。


それよりも、先に目に入ったのは異様な()()だ。

8本の足を地面に差しながら進む。歩みはゆっくりだ。一応、足から上は人の形を成していて、赤い髪を生やし、ニタニタと笑っている。


「お前を、殺しに来た。

おはこんばちゃ〜みちをです!


最低限、普段からこれぐらいの文量を書きたいところです。

ここら辺は、個人的に頑張っていきたいポイントです。

(勿論ここ以外も頑張りますけども)

前々から少しずつ張ってる伏線もありますからね。

(大した物では無いけど)


あー、もっと魅力的な文を書きたいッ!!!

作り込み自体は頑張ってるので、

いつか内容はそのままで、読みやすくしたバージョンとかも作ろうかね…


という事で、今回はここまで。また来週も見てください…!

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