2章 13話:散らないように
突然に現れた巨漢の持つ斧が、マオ目掛けて振り翳された。マオはアリエスの方を見張っていて、振り向く素振りもない,
瞼を閉じ、来るであろう現実から目を背けようとする。また、繰り返す。そんなことを考えると、苦しくて、吐きそうになる。
斧がマオの背丈ほどまで振り下ろされ、肉の裂かれる音が耳に
入ってくることはなかった。
「強そうでしたので、戦わないに越したことは無いと思っていたのですが…
すみません。先に仕留めておくべきでした。」
恐る恐る目を開くと、マオと背中合わせで、ルナティアが斧を受け止めていた。斧を跳ね除けると、血の滴り落ちる手のひらを握りしめた。
「雲が出てきています。私が巨漢の相手をしますので、マオさんはその女の息の根を止めて、援護を頼みます。」
どこからとも無く棘のついたバットを取り出し、構える。
「な、なんでっ!タウルスさんの一撃を受け止めるなんて…」
「もう話すことは無いか?
ウツキも、殺すことに異論は?」
「…騎士団とかは…いないのか?」
マオは少し黙り込む。目を瞑り、考えた後に口を開く。
「騎士団…。確かに、騎士団には後で日の民の討伐報告をしなければならないし、いっその事引き連れて貰えば…」
「えぇ…私指名手配されてたんですか…?」
「わかった。僕はコイツを騎士団のところへ連れて行く。ここは任せた。」
それだけ残すと、すぐに騎士団のところへ跳んで行ってしまった。騎士団がどのような組織で、何処にいるのかわからないウツキには、マオがどれほどで戻って来るのか想像もつかなかった。
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「ルナティアッ!マオは騎士団のところに行くとかで、戻って来るのに時間がかかるらしい!」
「き…騎士団⁈そう…ですか…。わかりました。ウツキ殿は足手纏いなので下がっててくださいね。」
反論できないので、少し離れたところで戦いを見ていた。
何か出来ることはないのだろうか。今まで読んで来たラノベの主人公と自分を重ねてみる。しかし、境遇は似ていても、戦闘力が月とスッポンである。
頭をフル回転させ、巨漢の男———タウロスの動きを観察する。
2人の戦いは、少しルナティアが押されている。決してタウロスが無傷なわけではない。しかし、あまり攻撃が効いていない。
「ルナティアの攻撃…
武器を使った攻撃より…素手の攻撃の方が効いてる…?」
しかし、素手で攻撃をしようとすると、どうしてもリーチが短くなってしまう。ただでさえ、武器のリーチで負けている。素手で戦うとなれば、斧の攻撃を躱す、相手の懐へと潜り込む必要がある。しかし、躱している間に攻撃されて仕舞えば、相手の一撃を喰らってしまう。
では、なぜ武器を使わないのか。
「リーチを捨てた攻撃…
武器より強い素手…攻撃に武器が耐えられない…?」
だとしたならば、一旦立て直すべきである。
ウツキはタウロスとは真逆の方に走る。そして、息を吸い、
「ルナティア!!!こっちへ来い!!!」
叫んだ。
それを聞いた彼女は、タウロスの攻撃を振り払い、ウツキの方へと走る。
タウロスは走りもせず、ただゆっくりとこちらへ歩いて来る。
「ルナティア、作戦があるんだ」
おはこんばちゃ〜みちをです。
めっちゃ短くないですか?
キリが良いところがここかな?と、思いまして…
1話にまとめるのには少し長いし…かと言って分割すると短い
と、言った感じです。
今回もまた、某smy氏に添削してもらってから投稿しています。ありがとうsmy!Forever smy!!




