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望月と少年の非日常譚  作者: 義春みちを
2章 風の町 マニャーサ編
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2章 2話:尽きぬ期待を形に込めて

日傘を持って歩く。その傍には純白の少女がいる。少女に歩幅を合わせて、慎重に歩く。

少女は申し訳なさそうにチラチラとこちらを覗く。しかし、女の子には重いものを持たせられない。と言っても、傘が木製の和傘のようにとても重いと言うわけでは無いのだが。両手の空いている身軽な状態にしてあげたいだけだ。それが意中の人なら尚更。


「なんなら、傘を持ってもらう代わりにリリカてゃそを抱えてもいいんだけど。」


「それじゃあウツキの負担が多すぎるでしょう?私がウツキを抱えて、その代わりに傘を持ってもらうぐらいが相場だと思うんだけど。」


「それ結局重量的には、傘+俺で意味なく無い⁈」


リリレヴァは、一瞬驚いた表情をしてから「たしかに!」と、言って笑い出した。


「じゃあ、お言葉に甘えて。傘持っててくれる?」


「いつまでも、君に傘を差し続けるよ。雨の日だって、風の日だって、暑い日も雪の日も。俺が君に出来ることなんてコレぐらいしか無いからさ。」


「…大袈裟なんだから。」


そんな雑談をしながら、マニャーサの街を歩いて行く。

するとウツキはある店を発見する。


「…ここ、入ってもいいか?」


他3人の同意を得て、入店する。その店は着物を借りられる店だった。

文化が全て和風のようで、街行く人々の半分は和服である。


「いらっしゃいませ! 今回はどういたしますか?」


「どう…と、いいますと?」


「うちでは着物の貸し出し、購入と、服の仕立てを行なっております。腕利きの職人がいて、1着までなら小一時間で仕立て上げることができます!」


「是非、仕立てをお願いします!!」


勢いよく発言したのはウツキだった。


「では、デザインをまとめますので、こちらへ来てください。」


ウツキは店員と共に、机の上の紙に何かを書いている。会話は弾み、とても盛り上がっていることが伺える。筆も進んでいるようだ。


「…ウツキ、あんな顔するんだ。」


「リリィ…。 ほら、この服とか素敵じゃないかな?試着できるみたいだし、あっちで着てみたらどう?」


マオに言われるがままについていく。2人は試着室へと入っていく。


「僕、元々着物に近い服だし…どうしよう」


1人取り残されたヘルメスは、その場で立ち尽くす———訳もなく、ウツキ達にちょっかいをかけに行く。


「ウツキ氏〜?進捗どうですかっ…と。」


「ヘルメス!これ、リリカてゃそに似合うと思わないか⁈」


「ええ。新鮮な発想ですし、唯一無二の可愛さって感じでお似合いだと思いますよ。」


「「やったぁ!」」


いつも間にか意気投合している店員とウツキは声を合わせ、ハイタッチをする。目配せをして、店員が早速試着室のリリレヴァのところへ向かい採寸をする。

すぐに出てきて作業場へと走り、数分間轟音が鳴る。作業場から出てきた店員は試着室へと再び向かう。


「お客様、お召し物をお作りいたしました。あちらのお客様のご要望で『着てからのお楽しみ』にしたいそうなので、目を伏せていただけますか?」


リリレヴァは目を瞑り、着せ替えられる。マオに手を引かれ、試着室から出る。ウツキの視界に、自分の考えた衣装を着た想い人が入り、絶句する。


「目を開けてください。」


反応の無い中、不安に駆られつつも、リリレヴァはゆっくりと目を開ける。


全身鏡に映った服を見てリリレヴァの目の色が変わる。


「わぁっ…! 可愛いお洋服。これ、ウツキと店員さんが作ってくれたの⁈」


「…!うん、俺の地元の『制服』と『和服』を組み合わせた服なんだ!」


おそらく元の世界には同じ発想の人はいるだろうが、一応ウツキの考えたオリジナルのデザインである。


装飾のセンスがなかったので、あえてシンプルにワンポイントの線だけを入れ、薄い青色を基調とした服。上はセーラー服にしたが袴で、振袖となっている。セーラーをつけただけ、というのは気にしない。

後頭部には薄青のボリューミーかつ、シンプルなリボン。腰にも形ばかりのリボン型の帯があしらわれている。


「とっても気に入った、ありがとう!」


微笑む彼女に心打たれる。少し高かった料金も払って良かったと思える。さっさと自分も着替えて、街へと繰り出す。なぜなら、早く宿屋を見つけて遊びたいからだ。


□ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇ □ ◇


マオが調べていた宿屋へと辿り着く。宿屋と言われているが、ウツキの認識では旅館というのが近い気がする。


「部屋割りは僕とリリィ組、あとはその他2人だ。」


過保護なマオによって、強制的に部屋割りを決められる。異論はないのだが、


「俺とマオ、リリカてゃそとヘルメスの方がいいんじゃ…」


「ヘルメスはまだ完全には信用できない。信用できない者達と、守らなくちゃいけない人は別にするに決まってるだろ?」


マオの圧に押されて部屋割りが確定したのだった。

どうも!体調不良でお馴染み、みちをです!

いや、タイトル思いつかなすぎて酷くないですかね。

一応、ウツキの作った衣装のことを指しています。


思いついた衣装をリリレヴァに着せたかった。あと、あいも変わらずに深夜0:51分で流石に体調悪化するんで、今回はここまで。

敵さん登場させたかったです。来週をお楽しみに

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