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高嶺の花は語り合いたいらしいらしい

 国語の授業が始まり、読書の秋なので隣の人とどんな本を読んでいるかを語り合えと言われた。


(まずい…俺が普段読むのはラノベだけ、それもラブコメに限られる…どう話せばいいだろうか)

「じゃあ私から話し始めていい?」


 俺が何を話すかを考えている間に桐原が自分の読む本を話し始めようとしていた。この前教室でラブコメを読むと話していたが、具体的にどんなものを読むかは知らないし、参考になるかもしれない。


「いいよ」

「私が読むのはねぇネット小説なんだけど幼馴染とはこいなかになりませんってやつなんだけど」

(まじか…)


 その小説、いやラノベは俺が書いている小説を投稿しているサイトの人気作品だ。単行本も出版されていて、アニメ化も期待されている人気作品だ。桐原もそんなのを読むのかと驚く一方これはまずいと思う自分もいる。


「その作品は2人の両片想いを拗らせつつも少しずつ近づいていく恋愛のお話なんだけど、とても甘いお話でどんどん続きを読んじゃうの!」

「ヘ、へ〜そうなんだ俺もその作品のことは知っているけどいいよねぇ」


 まずいと思ったのはこのままでは話が合ってしまい自然と会話の数が増えるからだ。ただでさえ周りは本を読まない人達しかいないので、そこで会話が続くと浮いてしまう…


「え!前原君も呼んでるの?じゃあじゃあこの作品は?」

「俺もそのサイトで読むこと多いからある程度は読んでるよ」

「すごい!初めて会ったよこのサイトで読む人」

「そうだね、俺もあまり見ないかも」


 まだ話し合いは始まったばかりで周りも声量が出ているからマシだが桐原のテンションが謎に高くなってしまい。このままでは桐原と楽しそうに話してて羨ましいだの嫉妬の呪怨をかけられそうなのでここで落ち着かせたい。


「そうだ!この作品って知ってる?」

「う~んあまり読んだことないかも」


 成功だ。サイトの中でも人気の低いあまり読まれていないものを勧めることで同意のテンションを外した!


「これもラブコメなんだけど結構面白いよ」

「そんなんだ、今度読んでみるね。じゃあ、読んだ後に感想を伝えたいからLIME交換しよ?」

「うん、いいよ」


 よしこれで教室での話に終止符を打てた授業の話し合いの時間的にもこれでセーフ………。どさくさに紛れて連絡先を交換してしまった。ふと前を見ると男子たちのすごい視線が突き刺さっていた。


「また面白いのがあったら教えてね?」

「も、もちろん」


 この時俺は思い出した。入学してから桐原は男子に自分から連絡先の交換を申し出てはいないことを、その初めてを男子たちが密かに競っていたことを。


「は、はは」


 桐原にも聞こえないくらいの大きさの乾いた笑いが出てきた。

桐原さんがお気に入りの【幼馴染とはこいなかになりません】ですけどこれは恋仲と濃い仲をかけてるので誤字ではないです。

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