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八尾比丘尼、Vtuber始めました!  作者: 蒼井茜


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4/7

ファンネーム

 配信者になって二日目、今日は雑談をする予定だ。

 前回の反省と、そして今後の方針についてリスナーと語ろうと思う。

 今のところ評価はそこそこ、登録者が7000人になっている辺り結構なハイペースなのではないだろうか。

 というわけで、配信スタート!

 待機中の画面から少し心の準備をして……少し気分を落ち着けよう。


「はあー、にこにこちんちん」


 今日も今日とて煙草が美味しい!

 三等級の安煙草がいつの間にか500円なんだよなぁ……禁煙しようか迷ったけど、死ぬことも無いしお金にもそんなに困ってない。

 古銭を記念にと持ち続けてたらどれもこれもとんでもない金額になってたからね。

 大判くれた秀吉君には感謝しかない。


『初手放送事故』

『朗報:切り抜き確定』

『これはさすがに……』

『女の子がちんちんとか言うんじゃありません!』

『女の……子……?』


 ふとそんな文字列が目に飛び込んできた。


「え? あれ? もう始まってる? なんで!? まだ待機中画面なんじゃ……」


『マイクミュートにしてないと音声はいるぞ』

『ここまで機械音痴の配信者初めて見た……』

『失望しました。アナちゃんのチャンネル抜けます』

『悲報:やはりスターライブだった』

『し っ て た』


「みゅ、みゅーとってなに……?」


『いいから立ち絵を出して?』

『電話で言うところの保留……で通じる?』


「あ、あー。相手に声を聞かせないのか。そういう機能があるとは……ハイスぺのPCなんだからそのくらい自動でやってくれないかなぁ」


 そのみゅーととやらを忘れたおかげで痴態が広まってしまったわけだ。

 いや、恥じらうような歳じゃないけどさ。

 それにしたってマネージャーさんももうちょいレクチャーしてくれてもいいんじゃないかなって思うんだ。


「んん! すー、ふぅ。みんなおはよう! ヤオ・ヨロズだよ。今日は雑談配信とやらをやっていこうと思う」


『無かったことにしてはいけないレベルの放送事故』

『これは伝説、歴史の証人になった』

『死ぬ前にええもん見れたわぁ』

『どさくさでヤニ吸ってんじゃねえよハゲ!』


「はげとらんわ。それより……とりあえず昨日の反省をしていこうと思う。


 初手放送事故というのは変わらないが、昨日は記念にするべき初めての配信だったからね。

 失敗が多かった気がする。

 主にスタートのあれとか、設定投げ捨てたりとか……。


『今日の事故も反省するべきでは?』

『恥多い人生を送ってきました』


「お、太宰君か。彼はなかなかユニークな人だったけど、惜しい人を亡くしたよ。もっとたくさんの、彼の作品を読みたかったんだけどね」


『知り合いみたいに言うじゃん』


「知り合いだよ? 心中に誘われたけどどうせ死なないから断った」


 私がな。

 あの頃は少し擦れてたのもあるけど、住居を転々としてたからね。

 ちょっと小旅行のつもりで十年くらい家を空けてたら彼が亡くなったと聞かされて、さもありなんと思ったくらいだ。


「あとは金之助君とかも仲良かったよ。あの子はなかなかやんちゃ坊主だったけどね」


『誰やねん!』

『金之助……?』


「漱石って言った方が通りはいいかな。夏目金之助君」


『夏目漱石……?』


「そうそう、それ。彼の作品も好きだったなぁ。あと海外に行った時に知り合ったドジソンとか、アーサー君とか」


『誰だ……?』

『ドジソンは不思議の国のアリスの作者だと思うがアーサーは誰だ……?』

『アーサー……コナン・ドイルかな?』

『BBAじゃねえか!』


「おいコラ、だれがババアだ! 心はいつまでも若いぞ! あと見た目!」


『発言が既にBBA』

『お前何歳だよ……』

『設定では1000歳ってあったけどまさかな……』


 そういえばそんな設定あったな。

 すっかり忘れてたがどうでもいい事だったし。

 年齢とか150から数えてないからざっくり逆算するしかないんだよ。

 人魚の肉食ったのが……あれ? いつだっけ。

 当時の有名人の名前とか覚えてないからなぁ……法律とかの記憶もあやふやだし。


「年齢不詳ってことでここはひとつ」


『いや、あの、マジなら大事だぞ?』

『流石にロールプレイだろ』

『冗談きついぜBBA』


「お前次ババアって言ったら殴るからな?」


『BANじゃないの草』

『もっと電子的な方法にしろよwww』

『待てお前ら、ぺけったー使えないBBAにBANとかわかるわけないだろ』


「おーし喧嘩だな? つーかBANってなに? 発砲音? それならZAPじゃないの?」


 少なくとも私はそう教わった。

 実際に銃撃ってみてもそんな音はしないんだよな。

 もっと軽い、例えるならボール破裂させたような感じの音?

 上手く例えられないな……。


「あ、でも火縄銃の音なら案外近いかも」


『火縄銃!?』


「マスケットはもうちょい軽い音だからな……」


『なんで銃声知ってるんですかねぇ……』

『こいつなんでもありだな……』

『ロールプレイというには言葉の重みが違う……』


「少なくとも最近の銃はバンッなんて音しないな。私が知ってる限りだとパーンって感じ? もうちょっと軽いかも。あ、でもコルト・アナコンダの銃声は結構好きだ。あれは撃った時ずしんと来る反動も含めて好みだからな。逆にグロッグとかはあまり好みじゃないし、44マグナムなんかも反動と音はいいんだけど照準の問題がなぁ……」


『ガンマニア?』

『いや、それにしては銃の種類が偏ってるな……』

『海外在住か?』


「日本国籍の日本国民で日本在住だぞ? 血筋的にも純日本人」


 あの時代だとせいぜいがお隣の国から来る人くらいだったんじゃないかね。

 少なくとも欧州の血が混ざったりするとしたらもっと前の、それこそ土器とか作ってた頃じゃないかな。

 原始人時代に混ざった血が云々。

 あとあり得るとしたら神仏妖怪との混血だけど、私の場合はそういうの一切なさそうだったから。

 知人にそういうのいるけど、あそこまで人間離れした存在じゃないし、そういうのがいたという記録はない。


「っと、本題に入るが昨日の反省と今後の課題について話し合いたいんだが?」


『もうこの路線でいいよ』

『合法BBAの話聞いてるだけでもおもろいわ』

『あ、ゲームやってほしい。ダークネスソウルってやつ』


 このコメントは参考になるな。

 ダークネスソウル……そういえば一時期そんなゲームが有名になってた気がする。


「いいねゲーム配信。といってもうちにはゲーム機無いから買ってこないとな。ドライバーどこにやったっけ……」


『なぜにドライバー?』

『何をする気なんだ……』

『それ昭和時代のゲーム機の話じゃ……』

『あぁ今ので少なくとも50以上ってのは確定した』


「50歳ねぇ……そんなに若くないつもりなんだが」


『まさかの還暦超え発現!?』

『マジでBBAじゃねえか! 推せるぞ!』

『ロリコンわい、何かに目覚める』

『……とりあえず電子機器については運営か、同期、あるいは先輩に聞いてもろて』

『ググれじゃないのか……』

『BBAにそんな技術あるわけないだろいい加減にしろ!』


 おぉう、なんかコメントの語気が強くなった気がする。

 というかなんでババアだから推せるってなるんだ?

 ロリコンがそっちに目覚めるのも意味わからんぞ?


「うん、そんな事よりババア言うな」


『じゃあ婆様』

『ばーちゃん』

『おばば』

『ばーさん』


「あー、もうそれでいいや」


 こうして私のあだ名はお婆ちゃん系になったのであった。

 なおそれに乗じてファンネームとやらが介護士になった……解せぬ。


*****

ヤオ・ヨロズ @yaoyorosu

なんでかいごし……?


******


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