第92話【第一関門】
「怖っ!」
虹を登り始めてしばらくしたとき、下を見てしまったアリスが震えた。
「高っ!」
声につられて下を見てしまったエースが言った。
「見て、アソコにジジイがいる!」
フィリアが指を指した方に仙人のような人が座っていた。
「ここを通りたくば、私が出すミッションをこなしてみろ!」
年季の入った声が言った。
「よーし、かかってこい」
マリーネが挑発した。
「では、まずはそこの赤髪のペチャパイ。前に出ろ」
仙人がアリスを指名した。
「誰が、ペチャパイよ!…で?ミッションって何?」
アリスは、仙人の言う言葉が納得いかなかった。
「お前のミッションは……猫の真似を可愛くやってみよ」
威厳を一瞬で崩して仙人がアリスに言った。
「え、何それ?」
アリスは、引いた。
「はい、3、2、1…」
仙人が急かすようにカウントダウンをした。
「にゃ、にゃ〜ん♡」
アリスの思う最大の可愛さで猫の真似をした。
「かわいい…」
エースは、目がハートになっていた。
「よし合格!通ってよし」
仙人がアリスを通した。
「よし、次は…そこの白髪の子」
仙人がマリーネを指名した。
「私へのミッションは、なんだ!」
マリーネが1歩前に出て言った。
「お前へのミッションは、バスト、ウエスト、ヒップを正直に言ってみろ。嘘をついたら虹から落とすぞ」
仙人がマリーネを脅した。
「…!なんてハレンチな」
マリーネは、顔を赤らめて言った。
「さぁ、言ってみろ!」
仙人がスケベな顔をして急かした。
「…90、60、85」
マリーネが小声で言った。
「…よし、嘘は付いてない。通ってよし!」
仙人がマリーネを通した。
「なんだろう。なんか、最近ピンクな話多くない?この作品…」
エースが小声でボソッと言った。
「この様子だと、ここを通るのは、簡単そうだね」
フィリアがエースに言った。
「そうですね」
エースが頷いた。
「では、そこのエルフ。前に出なさい」
仙人がフィリアを指名した。
「お前へのミッションは、じゃんけんで私とあいこになれ」
仙人が手を出した。
「何?意外と難しいやつではないか?」
フィリアは、動揺した。
「じゃーんけーん、ポン!」
仙人の合図とともに2人が同時にグーを出した。
「よし!合格!」
仙人がフィリアを通した。
「では最後、唯一の男子よ。前に出ろ」
仙人がエースを指名した。
「大丈夫、これまでの傾向的にそんなに難しいミッションは、無いはずだ」
エースは、少しビビる自分に言い聞かせた。
「お前へのミッションは………よし!ここから落ちろ!」
仙人が簡単に言った。
「………ん?なんだって?」
エースは、混乱した。
「だから、この虹から落ちてみろって言ってるの」
「ん?なんで?僕だけ、命懸け?」
「ここから落ちない限りお前を通すことは出来ん!」
「いやいやいやいやいやいやいやいや!無理っしょ?」
エースが首を振った。
「なんで?」
仙人が尋ねた。
「なんでって…なんで?」
エースが尋ねた。
「いや、こっちがなんで?」
仙人が尋ねた。
「いやいや、こっちがなんで?」
エースが尋ねた。
「いやいやいや、こっちがなんで?」
仙人が尋ねた。
「いやいやいやいや……だからなんで?」
エースが目を丸くして仙人に訊いた。
このやり取りは、数分続いた。
「なにしてんの?!早くして?」
先に通ったアリス達が大声で怒鳴った。
「いやいやいやいやいや、なんで?僕が怒られないといけないの?」
エースがアリス達に言った。
「ごめんて」
アリスが謝った。
「で?なんで、落ちないといけないの?」
エースは、仙人に改めて尋ねた。
「……よし、君の耐久力は並では無い。合格だ!」
仙人がエースを通した。
「いや、なんの時間だった?時間を無駄にする時間だったの?」
エースは、仙人を通り過ぎた後、ツッコんだ。
結局、仙人とエースの「いやいやいや」対決は、1時間にも及ぶ激闘だった。




