第75話【逆転サヨナラ】
『ランナーが先か…それとも、タッチが先か…。審判も悩んでいる。』
時が流れるのが遅く感じる。
『アウトか?セーフか?』
「……セーフ!!!」
審判が両腕を広げた。
ショーコウのメンバー全員が喜びの声を漏らした。
『アリスの時速40キロがここに来て輝いた!ショーコウ逆転!!!バッターランナーは、2塁に到達している。ショーコウのチャンスは、まだ続く!』
その後、ショーコウはチャンスを活かせずに、2得点で最終回を終えた。
『最終回のマウンドには、エースがそのまま立ちます。』
『どうしたことか。エースもストライクが入らない。場面は、0アウトランナー満塁です。そして迎えるバッターは、4番ショオ・ヘータニだ!』
『これは、運が悪いですね。』
エースは、神の解説がだんだんウザくなってきた。
「ふぅ〜」
エースは、一息ついた。
「スキル【名投手】!」
エースは、スキルを使った。
『エース、大事な1球目を……投げた。』
バシンという音が町中に響き渡った。
「ストライク!」
バッターは、手が出なかった。
『なんと、私の手元にあるスピードガンが163km/hを計測した!』
「何あれ、速っ!」
エースのボールを見た選手達は、目を丸くした。
「どれくらいのスピードなんだろう?」
この世界にスピードガンは無いので、選手たちはこの球速を知ることは無かった。
『ピッチャー2球目……投げた!』
「おりゃあ!」
エースの全力の声が漏れた。
「ストライク!」
バットは、風を切っていた。
『165km/h!?これは、なんという名投手だぁぁ!』
『3球目を投げる!これは、どうした?先程の弾丸のような球とは、打って変わって今度は山なりボールだ!』
あまりの緩急でバッターは、ボールを引っ掛けてサードに転がした。
『サードゴロだ!サードが取ってホームに投げ……あー、これは痛い!大暴投だー!3塁ランナーがホームインで同点。そして、ボールが相手ベンチに入ってテイクワンベースでサヨナラだ!!』
選手がホームベース付近に整列した。
「4-5でノーコウの勝利。 ゲーム!!」
「ありがとうございました!」
試合が終了した。
試合終了後のミィーティングで今日の反省をした。
しかし、なぜかチームのみんなは、笑顔だった。
どうやら、ノーコウは、全国大会常連チームだったらしい。一方、ショーコウは、万年ビリのチームだった。
だから、ビリが常勝チームに4-5は、上出来だ。
「まさか、こんなにいい試合が出来るとは思ってなかったよ。君たち、ありがとう。」
3人はヤイチーに感謝された。
「ねぇねぇ、君カワイイね。名前教えてよ」
どこからか、ナンパの様な声が聞こえた。
辺りを見回すと、サヨナラエラーのトリが相手チームのマネージャーにナンパしていた。
「あ…え…カヤ・アズマーサです…」
相手チームのマネージャーがちゃんと答えていた。
「別に答えなくていいのに…」
エースは、ボソッとツッコんだ。
「カヤちゃん、今度一緒にご飯行こーよ」
エースには、ご飯に誘うトリが気持ち悪く見えた。
「あなたみたいな、サヨナラエラーをする人より、私はエースさんみたいな人の方がいいので、嫌です!」
カヤはキッパリ断った。
「いいねぇ、あの子」
エースは、少し照れていた。
「あ、そうだ!」
トリが相手チームのマネージャーと話しているのをみて、アリスが何かを思い出した。




