第74話【絶好のチャンス】
『さぁ、2対3で迎えた最終回。この回、先行ショーコウの先頭打者は、フィリアです。ここで、点を取らないと負けてしまう、大事な回です。』
「しゃあ、こーい!」
フィリアがバッターボックスに入り、自信満々に構えた。
『おっと、フィリア。かなり威勢がいいですね。』
『そうですね、これで、先頭打者が塁に出れるかどうかでも試合の流れは、変わりますから…』
低い声の神が言った。
すると、ドスンと痛々しい音がした。
「デッドボール!」
審判がフィリアを1塁に進めた。
『さぁ、バッターは先頭に戻って1番アリス。』
『先程のミスを取り返して欲しいところですね。』
神の低い声がした。
『バットは、かなり振れてるんで当たれば1本行くでしょうね』
「実況と解説上手いなぁ」
エースは、神に思わず言った。
『そぉ?ありがとう。』
神は、気持ち悪い声を出して喜んだ。
「アリス!打てー!」
エースも、ベンチの前線に出て応援する。
しかし、アリスの打席にストライク宣告は、一度も無かった。
「ボールフォア」
審判が宣告し、ランナー1,2塁のチャンスになった。
「ボールフォア」
2番のリョーも塁に出た。
『ここで、野球漫画にありがちな大チャンスがやってきた!普通の野球漫画なら主人公が逆転打を打つが、これは、スポ根漫画ではなくコメディ寄りだ!一体どうなる!?』
「うるさいな!」
打席のエースが緊張もあり、神に八つ当たりした。
『さぁ、ピッチャー第1球目を投げる!』
「ストライク!」
『1球目は、ストライクだ。さて次は、どうだ?』
「ストライク!」
『エースは、2球で追い込まれた。』
「ボール」
「ボール」
『おっと、ボールが2球続いた。2ボール2ストライクです。』
「ファールボール」
「ファールボール」
「ファールボール」
「ボール」
「ファールボール」
『バッターもしっかりと喰らい付いていく。』
『こういった場面で、粘られるとピッチャーからするとかなり嫌になりますね』
低い声の神がしっかり解説している。
『ピッチャー、10球目を投げた。バッター思いっきり空振った!おっと!キャッチャーが後ろに逸らした。振り逃げだ!その隙に、3塁ランナーホームイン!同点だ!おーーっと!2塁ランナーのアリスももの凄い速度でホームに突っ込んで来る!ボールは、ホームベースの上にいるピッチャーに戻ってきた。タッチは、間に合うか?クロスプレーになる!判定はどうだ?』
その瞬間、全員が唾を飲みこんで、審判に注目が集まった。




